サイトでは“礼金なし”だったのに、契約直前で突然「20万円お願いします」と言われた。これって払わないといけないの?
しかし、いざ契約の段階になって「やはり礼金を支払ってほしい」と言われると、戸惑いや不信感を抱く人も少なくないでしょう。今回のように、契約直前で礼金20万円を求められたケースでは、その支払い義務があるのかどうかが気になるところです。
本記事では、礼金の法的位置づけやトラブル時の対応方法について解説します。
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礼金とは? 支払い義務はあるのか
礼金とは、賃貸住宅の契約時に貸主(大家)に対して「お礼」として支払うお金のことです。
敷金と異なり、原則として退去時に返還されない費用で、地域や物件によって慣例的に求められることがあります。特に東京都や首都圏では「家賃の1~2ヶ月分」が相場とされていますが、近年では「礼金なし」の物件も見受けられます。
法律上は礼金の支払い義務が明確に定められているわけではありません。契約自由の原則に基づき、当事者同士の合意により有無や金額が決まるため、物件によっては「礼金なし」とすることも可能です。
したがって、物件情報サイトや不動産会社の案内で「礼金なし」と明記されていた場合、その情報を信じて申し込みをした借主にとって、契約直前で条件が変わるのは大きな問題です。
契約書に署名・押印する前であれば、借主はその条件に同意していないため、礼金の支払い義務は生じません。ただし、不動産会社の説明が不十分だった場合など、トラブルが生じる可能性もあるため注意が必要です。
契約前に条件を変えられたときの注意点
今回の事例のように、事前の説明と契約内容が食い違っていた場合は、まず貸主や不動産会社に対して説明を求め、「礼金なし」と広告や案内に記載があった根拠を確認するべきです。それが記録として残っている場合は交渉の材料になります。
不動産取引では、重要事項説明書や契約書の記載内容が最終的な契約条件となります。したがって、契約書を交わす前であれば、借主はその条件に同意しなければ契約を締結する必要はありません。納得できない条件変更がある場合には、契約を断ることも可能です。
なお、不動産会社が掲載した情報が実際の契約内容と著しく異なる場合、消費者契約法や景品表示法に抵触する可能性があります。
例えば、明らかに「礼金なし」と広告しながら実際には請求されるケースは、不当表示とみなされる恐れがあります。このような場合には、消費生活センターや宅建業者の監督官庁(都道府県など)に相談することも検討しましょう。
トラブル回避のために覚えておきたいポイント
契約直前での費用変更を防ぐためには、物件探しや内見の段階から、費用の内訳を丁寧に確認しておくことが大切です。例えば、次のような点に注意しましょう。
まず、サイト上などに初期費用の内訳が明記されていない場合、「敷金・礼金なし」となっていても、契約段階で別の名目(名義変更料、事務手数料、サポート料など)で追加費用が請求されることがあります。見積書や明細書を出してもらい、各費用の目的と金額を明確にしておくことが重要です。
次に、重要事項説明書と契約書の記載内容が一致しているかも確認しましょう。初期費用の合計だけでなく、各項目の名称と金額が納得できる内容かどうか、詳細に確認することがトラブル防止に有効です。
さらに、連絡は口頭だけでなく、できる限りメールなど文書で残しておくこともトラブル防止に役立ちます。万が一、後から説明と異なる内容を提示された場合にも、それらの記録が証拠として活用できます。
まとめ
礼金の支払いは契約に基づく合意事項であり、契約書を交わす前であれば、基本的に借主には支払い義務は発生しません。物件情報サイトなどで「礼金なし」と明記されていたにもかかわらず、契約直前で突然20万円もの支払いを求められた場合には、その妥当性や根拠を慎重に確認する必要があります。
納得できない条件変更があれば、契約を見送ることもひとつの手段です。賃貸借契約は生活の基盤に関わる重要な選択です。安心して暮らせる住まいを選ぶためにも、事前に十分な確認と冷静な対応を心がけましょう。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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