年明けに「高校受験」を控えたわが子。2026年度から「私立高校」も“無償化”の対象になるそうですが、実際“年間20万円以上”も負担が軽くなる?
しかし、学校に通うために必要なすべての費用が無償になるわけではありません。本記事では、私立高校の授業料実質無償化により負担が減る金額や必要になる教育費を解説します。
ファイナンシャルプランナー
FinancialField編集部は、金融、経済に関する記事を、日々の暮らしにどのような影響を与えるかという視点で、お金の知識がない方でも理解できるようわかりやすく発信しています。
編集部のメンバーは、ファイナンシャルプランナーの資格取得者を中心に「お金や暮らし」に関する書籍・雑誌の編集経験者で構成され、企画立案から記事掲載まですべての工程に関わることで、読者目線のコンテンツを追求しています。
FinancialFieldの特徴は、ファイナンシャルプランナー、弁護士、税理士、宅地建物取引士、相続診断士、住宅ローンアドバイザー、DCプランナー、公認会計士、社会保険労務士、行政書士、投資アナリスト、キャリアコンサルタントなど150名以上の有資格者を執筆者・監修者として迎え、むずかしく感じられる年金や税金、相続、保険、ローンなどの話をわかりやすく発信している点です。
このように編集経験豊富なメンバーと金融や経済に精通した執筆者・監修者による執筆体制を築くことで、内容のわかりやすさはもちろんのこと、読み応えのあるコンテンツと確かな情報発信を実現しています。
私たちは、快適でより良い生活のアイデアを提供するお金のコンシェルジュを目指します。
目次
令和8年度から私立高校の授業料実質無償化が実現の見通し
2026年春に、私立高校における高等学校等就学支援金制度の所得制限が撤廃され、授業料実質無償化が実現される見込みとなっています。高等学校等就学支援金制度とは、国が設けている返還不要の授業料支援制度です。
現在は年収約910万円以下世帯の高校生に向けて支援が行われています。2025年時点での支援額の基準は国公・私立問わず一律で年間11万8800円です。私立高校の場合は年収に応じて加算を行い、最大で年間39万6000円まで支援されます。
文部科学省が2025年7月に公表した資料によると、令和8年度(2026年度)から高等学校等就学支援金制度について見直しが行われ、私立高校に対する加算額を年額45万7000円に引き上げる方向性が示されています。
また、国公私立共通の基準額である年額11万8800円についても、所得制限を撤廃する方針が示されています。これらが実現した場合、世帯の所得にかかわらず、高校に通う子どもを持つすべての世帯が、一定の授業料支援を受けられる仕組みとなる見込みです。
2026年度以降は私立高校でも“年間20万円以上”負担が軽くなる可能性
文部科学省の「令和5年度子供の学習費調査」によると、全日制高等学校における平均年間授業料は私立で23万3102円、公立で4万5194円です。
特に、私立は学校教育費の中でも授業料が占める割合は大きく、公立が12.9パーセントなのに対し、私立では30.4パーセントとなっています。学校によって授業料は異なりますが、支援金は実際の授業料を上限として支給されます。
そのため、これまで支援対象外だった世帯が平均的な私立高校(年間授業料約23万円)に通う場合、授業料相当額として年間20万円以上の負担軽減となる可能性があります。
実質無償化でも、学校教育費だけでも“年50万円以上の教育費は必要”
授業料実質無償化が実現しても、年間で50万円以上の教育費が必要になる点には注意が必要です。
無償化施策で支援を受けることができるのはあくまでも授業料のみであり、教材費や教科外活動費などの費用は引き続き負担する必要があります。
文部科学省の「令和5年度子供の学習費調査」によると、私立学校における学校教育費の年間総額は76万6490円です。前述の私立の平均年間授業料23万3102円を差し引くと、差額は53万3388円となります。
また、学校教育費だけでなく塾や習い事などの学校外での教育費も必要になるでしょう。同調査によると、私立高校における学校外活動費の平均は26万3793円です。
これらを合計すると、年間で必要な教育費の目安は79万7181円となります。授業料無償化で多少の負担は軽減するものの、やはりある程度の額は必要になると考えたほうがよいでしょう。
まとめ
2026年春に、高等学校等就学支援金制度の所得制限が撤廃され、私立高校でも授業料の実質無償化が実現する見込みです。これにより、年間で20万円以上の負担軽減が期待できます。
ただし、無償化されるのは授業料のみで、教材費や学校外活動費は自己負担です。学校や教育方針によって費用は異なりますが、年間80万円程度の予算があれば、私立高校への進学でも余裕を持った教育環境を整えられるでしょう。
出典
文部科学省 2020年4月からの「私立高等学校授業料の実質無償化」リーフレット
文部科学省 いわゆる⾼校無償化をめぐる動向について
文部科学省 結果の概要-令和5年度子供の学習費調査
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
