大学生の子どもがいる近所の40代夫婦。4人家族で、「奨学金も利用できない」とのことですが、いくら稼いでいるのでしょうか?

配信日: 2025.12.28
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大学生の子どもがいる近所の40代夫婦。4人家族で、「奨学金も利用できない」とのことですが、いくら稼いでいるのでしょうか?
奨学金は、経済的な理由で修学が難しい学生に対して、学資の貸与や給付を行う制度です。
 
進学費用の負担を軽減する制度として広く利用されていますが、すべての家庭が対象になるわけではありません。世帯の経済状況によっては、奨学金を利用できないケースもあります。
 
本記事では、奨学金制度の概要をご紹介するとともに、世帯の収入状況によって申し込みが制限される「家計基準」について解説します。
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奨学金の概要

奨学金事業を手がけている機関はさまざまです。「JASSO(独立行政法人日本学生支援機構)」や、地方自治体、民間企業などがあります。
 
今回は、奨学金事業において代表的な機関である「JASSO」の基準を例にして解説します。
 

JASSOの奨学金の種類と家計基準

「JASSO」が提供する奨学金には、大きく以下2種類があります。
 

・返済不要の「給付奨学金」
・返済が必要な「貸与奨学金」

 
給付型の方が、返済義務がない分、利用基準が高く設定されています。
 
貸与奨学金は、無利子で借りられる「第一種奨学金」と、有利子で借りられる「第二種奨学金」があります。第一種と第二種は併用可能です。
 
奨学金を受けるためには、学力基準のほかに家計基準も考慮されます。家計基準を、生計維持者の収入と比較して、制度利用の可否が判断されます。
 
生計維持者は原則的に父母2名ですが、いずれか1名や父母以外の人が当てはまる場合もあるようです。
 
表1に、給付型・貸与型の家計基準をまとめました。
 
表1

奨学金の種類 家計基準
区分 学生本人と生計維持者の「支給額算定基準額」の合計
給付型 第1区分 100円未満
(学生本人と生計維持者の市町村民税所得割が非課税)
第2区分 100円以上2万5600円未満
第3区分 2万5600円以上5万1300円未満
第4区分 5万1300円以上15万4500円未満
貸与型
第一種奨学金
生計維持者の「貸与額算定基準額」が18万9400円以下
貸与型
第二種奨学金
生計維持者の「貸与額算定基準額」が38万1500円以下

※筆者作成
 
「支給額算定基準額」および「貸与額算定基準額」が家計基準の要となります。いずれも「課税標準額」に6%を乗じた金額を基礎とし、給付型では市町村民税調整控除額など、貸与型では多子控除やひとり親控除など、制度ごとに定められた控除を差し引いて算出されます。
 

どれくらいの収入があると奨学金を利用できない?

今回の近所に住む大学生の子どもがいる40代夫婦は、4人家族で、「奨学金を利用できない」と言っていることから、家計基準を超えている可能性も考えられます。
 
では世帯収入がいくらあると基準から外れるのか、JASSOが示す4人家族のモデルケース4タイプを例に、収入の上限額の目安を表2~5に示します。収入は給与所得を念頭に置いたものです。
 

・ケース1:家族構成が本人、親A(収入あり)、親B(無収入)、中学生の場合

表2

奨学金の種類 年間収入
給付型
(進学前)
第1区分 271万円
第2区分 303万円
第3区分 378万円
第4区分 635万円

出典:JASSO(独立行政法人日本学生支援機構)「進学前(予約採用)の給付奨学金の家計基準」を基に筆者作成

 

・ケース2:家族構成が本人、親A(収入あり)、親B(無収入)、高校生の場合

表3

奨学金の種類 年間収入
給付型
(進学後)
第1区分 295万円
第2区分 395万円
第3区分 461万円
第4区分 698万円

出典:JASSO(独立行政法人日本学生支援機構)「進学後(在学採用)の給付奨学金の家計基準」を基に筆者作成
 

・ケース3:家族構成が本人、親A(収入あり)、親B(収入あり)、中学生の場合

表4

奨学金の種類 年間収入
貸与型第一種奨学金
(進学前)
803万円
貸与型第二種奨学金
(進学前)
1250万円

出典:JASSO(独立行政法人日本学生支援機構)「進学前(予約採用)の第一種奨学金の家計基準」を基に筆者作成
 

・ケース4:家族構成が本人、親A(収入あり)、親B(収入あり)、高校生の場合

表5

奨学金の種類 年間収入
貸与型第一種奨学金
(進学後)
880万円
貸与型第二種奨学金
(進学後)
1309万円

出典:JASSO(独立行政法人日本学生支援機構)「大学等で受ける第一種奨学金の家計基準(在学採用)」を基に筆者作成
 
表5のケースは両親ともに収入がある場合(親Bは収入300万円)で、年間収入1309万円を超えると、このケースでは第二種奨学金(在学採用)の対象外となる可能性があります。
 
今回の40代夫婦の世帯では、給付型・貸与型いずれの制度も利用できないようであり、もしかしたら世帯収入が1309万円を超えているのかもしれません。
 
世帯状況は各々異なるため、詳しいシミュレーションをしたい場合は、JASSOの「進学資金シミュレーター」を使うとよいでしょう。
 

世帯収入が1300万円を超えていると奨学金を利用できないケースがある

奨学金にはさまざまな種類があり、学力基準や家計基準も異なります。そのため、収入がいくらあると奨学金を利用できないか断定はできません。
 
今回の大学生のお子さんがいる近所の40代夫婦(4人家族)に関していえば、JASSOのモデルケースを用いると世帯収入が1309万円を超えている可能性があります。ただしモデルケースの家族構成と実際には異なっている場合もあるため、あくまで目安に過ぎません。
 

出典

JASSO(独立行政法人 日本学生支援機構)
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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