都営住宅に住む友人に「子どもが私立中学に行く」と聞きビックリ! 学費で「100万円」は必要だと思うのですが、収入制限など超えていないのでしょうか…?

配信日: 2026.03.07
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都営住宅に住む友人に「子どもが私立中学に行く」と聞きビックリ! 学費で「100万円」は必要だと思うのですが、収入制限など超えていないのでしょうか…?
都営住宅に住んでいる家庭のお子さんが私立中学へ進学すると聞き、「私立中学の学費は年間100万円以上かかるのに、収入制限は大丈夫なのだろうか」と疑問に感じる人もいるかもしれません。都営住宅の入居には収入基準がありますが、その仕組みは一般に思われているよりも複雑です。
 
本記事では、都営住宅の収入基準の計算方法や、入居後に収入が増えた場合の扱いを整理しながら、「都営住宅と私立中学進学は本当に両立しないのか」を分かりやすく解説します。
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私立中学は本当に「年間100万円以上」かかるのか?

まず、私立中学の学費水準を確認しておきましょう。文部科学省が実施した「令和5年度子どもの学習費調査」によると、私立中学の学習費総額は公立より大幅に高く、学校教育費だけでも年間100万円を超えるケースが珍しくありません。入学金、授業料、施設費、教材費などが含まれ、初年度は特に負担が大きくなります。
 
こういった金額だけを見ると、「それだけ払えるなら高収入世帯では」と考えてしまうのも無理はありません。しかし、学費を支払えることと、都営住宅の収入基準を超えていることは、必ずしもイコールではありません。
 

都営住宅の収入制限はどう決まるのか

では、都営住宅の収入基準はどのように判断されるのでしょうか。東京都住宅供給公社や東京都住宅政策本部の案内によると、入居資格は世帯の所得金額によって判定されます。
 
ここで重要なのは、「年収」そのものではなく、税法上の控除などを差し引いた後の所得を基に計算する点です。具体的には、世帯全体の年間所得から各種控除(扶養控除、配偶者控除など)を差し引いた「認定所得」を算出し、それを12で割った金額が認定所得月額となります。
 
夫婦と子ども2人(特別区分)の場合、所得基準は370万8000円以下とされています。単純計算では、月額では約30万9000円が目安です。また、家族人数ごとの所得区分は図表1のとおりです。
 
図表1

図表1

JKK東京「所得基準表」より筆者作成
※都営住宅の「特別区分」は、高齢者、障害者、子育て世帯など、特に住宅の確保が難しい世帯に対し、所得基準を一般より緩和する枠組み
 

「認定所得」は控除後の金額

認定所得は、額面年収のことではありません。給与収入の場合、次のような所得控除が認められています。


・給与所得控除(控除後の金額からさらに10万円差し引く)
・特定扶養控除

このため、同じ年収であっても、扶養家族の人数や世帯構成によって判定上の所得は変わります。子どもがいる世帯では特定扶養控除の影響が大きく、額面年収よりも低い金額で認定されることがあります。
 

入居後に収入が増えた場合はどうなるのか

次に、入居後に収入が増えたケースを考えてみましょう。
 
都営住宅では、毎年「収入報告」が行われ、前年の所得を基に家賃や区分が見直されます。仮に収入が基準を超えたとしても、すぐに退去になるわけではありません。まずは収入に応じて家賃が段階的に引き上げられます。
 
さらに一定以上の所得となり「高額所得者」と認定された場合には、明け渡しの努力義務が生じますが、これも要件や経過期間をふまえて判断されます。
 
このように、収入が増えた場合の取り扱いは、家賃の増額や区分変更といった段階を経て進められる仕組みになっており、ただちに退去となるわけではありません。
 
また、判定は原則として前年所得に基づきます。一時的な収入増や祖父母からの援助、貯蓄の取り崩しなどは恒常的な所得増とは異なります。そのため、私立中学へ進学するからといって、ただちに収入基準を超えていると断定することはできません。
 

「都営住宅×私立中学」は本当に矛盾するのか

ここまで見てきたように、都営住宅の基準は課税所得ベースで判断され、しかも段階的措置が取られます。一方、私立中学の学費は確かに高額ですが、家計は収入だけで成り立っているわけではありません。
 
教育費を優先的に支出する家庭もあれば、祖父母からの支援を受けるケースもあります。特待制度や奨学金を活用したり、貯蓄を取り崩したりして進学費用に充てる家庭もあるでしょう。
 
家計は「収入」「資産」「支出の優先順位」という複数の要素で構成されています。外から見えるのは学費という支出だけですが、制度上の所得基準とは必ずしも一致しないケースも多いのです。
 

制度を知れば見え方が変わる

私立中学の学費は年間100万円を超えることもあり、家計への負担が大きいのは確かです。しかし、都営住宅の入居基準は額面年収ではなく、控除後の所得を基に判定されます。
 
また、入居後に収入が増えた場合も、すぐに都営住宅を退去になるわけではなく、まずは家賃の見直しなどが行われます。家計にはそれぞれの事情があり、私立中学の学費を支払っているという点だけで収入超過と決めつけることはできません。制度の仕組みをふまえて考えることが大切です。
 

出典

文部科学省 令和5年度子供の学習費調査 調査の概要 P.6
JKK東京 都営住宅募集情報
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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