一人暮らしの母が生活保護を受給中。古いテレビが壊れかけているため、新しいものを買ってあげたいのですが、そのせいで生活保護費が減らされたりすることはないのでしょうか…?
今回は、生活保護を受給中の親族へのプレゼントや支援について見てみましょう。
CFP(R)認定者
確定拠出年金相談ねっと認定FP
大学(工学部)卒業後、橋梁設計の会社で設計業務に携わる。結婚で専業主婦となるが夫の独立を機に経理・総務に転身。事業と家庭のファイナンシャル・プランナーとなる。コーチング資格も習得し、金銭面だけでなく心の面からも「幸せに生きる」サポートをしている。4人の子の母。保険や金融商品を売らない独立系ファイナンシャル・プランナー。
扶養義務者からの仕送りや贈与は、すべて収入と見なされる?
テレビは、昭和の時代には家電の三種の神器と言われるものの一つで、当たり前のように一般家庭に保有されてきました。
生活用品において、家具什器および衣類寝具は必要数量、趣味装飾品とその他の物品は処分価格の小さいものを保有できますが、貴金属および債券は保有できません。
テレビは「家具什器」ではなく「その他の物品」に分類されますが、処分価格の小さいもの(売ってもいくらにもならないもの)であれば保有ができます。
もし、テレビを他人に買ってもらったら、その分が収入認定されて生活保護支給額が減額されてしまうのでしょうか。2025(令和7)年4月1日施行 生活保護実施要領等では、仕送り・贈与等による収入について、以下のように示されています。
■他からの仕送り、贈与等による金銭であって 社会通念上収入として適当としないもののほかは、すべて認定すること
とあります。
■他からの仕送り、贈与等による主食、野菜または魚介は、その仕送り、贈与等を受けた量について、農業収入または農業以外の事業収入の認定の例により金銭に換算した額を認定すること
(出典:厚生労働省「生活保護実施要領等」)
つまり、社会通念上収入とされない以外の金銭は、収入認定がされてしまいます。また、食材の現物を受けた場合は、金銭に換算した額が収入認定されます。収入認定されると、受給額が減額されます。
しかし、社会通念上収入とされない場合など、収入認定されない場合があります。それはどのような場合でしょうか。
収入認定されない場合
厚生労働省「令和7年生活保護実施要領等 問第8-3」に、収入として認定しない事項が挙げられており、そのなかに以下の事項があります。
1. 社会事業団体などから保護をすべき人(被保護者)に対し、臨時的に与えられた慈善的性質がある金銭であって、社会通念において収入として認定することが適当でないもの
2. 出産、就職、結婚、葬祭等で贈与される金銭であり、社会通念において収入とすることが適当でないもの
上記の「社会通念において収入としないもの」のほかに、以下の「保護世帯の自立更生に充てられるもの」も収入として認定されません。
3. 他法や他施策等によって貸し付けられる資金であり、該当の保護世帯が自立更生するために当てられる額
4. 自立更生を目的に与えられる金銭で、該当の保護世帯が自立更生するために当てられる額
(出典:厚生労働省「生活保護実施要領等」)
被保護世帯の自立更生のための用途に供されるものの基準の一つに、「当該経費が、当該世帯において利用の必要性が高い生活用品であって、保有を容認されるものの購入にあてられる場合は、ただちに購入にあてられる場合に限り、必要と認められる最小限度の額」というものがあります(出典:厚生労働省「生活保護法による保護の実施要領の取扱いについて」)。
このことから、保護生活に利用していたテレビは保有を容認されていたものであり、壊れてしまったため保護者に現物を買ってあげる場合は、自立更生のための用途に該当します。
お金を先に受け取るのは要注意
ただし、「ただちに購入に充てられる」「最小限度の額」に限られます。最小限度額のテレビを買ってもらうのは個々に該当しますが、テレビを買うためのお金をもらった場合は、これに当てはまらなくなります。
お金をもらった場合、社会通念上受け取るのが当然であるもの、明らかに自立更生のために充てられることが確実なものを除き、収入認定されてしまい支給額が減額されます。
お金を受け取る前に、ケースワーカーに相談しましょう。また、テレビを買ってもらった場合やお祝い金をもらった場合など、収入認定されない場合でも必ずケースワーカーに報告しましょう。
まとめ
生活保護者が金品の贈り物を受けたとき、保有可能なものに限りますが、社会通念上受け取るものであれば収入認定はされません。
また、利用の必要性が高い生活用品で保有を容認されるものの購入に充てられる場合は、ただちに購入に充てられる場合に限り必要と認められる最小限度の額は収入認定とされません。
ただし、現物ではなく購入資金を現金で受け取る場合は、収入と見なされてしまうため、受け取る前に必ずケースワーカーに相談しましょう。
出典
厚生労働省 生活保護実施要領等 2025(令和7)年4月1日施行
厚生労働省 生活保護法による保護の実施要領の取扱いについて
厚生労働省 生活保護法による保護の実施要領について
執筆者 : 林智慮
CFP(R)認定者
