生活保護世帯ですが、子どもの大学進学に備えて、塾代や受験料等のためにアルバイトしてお金を貯めています。アルバイトするとその収入は生活保護費から差し引かれますか?
本記事では、高校就学中のアルバイト収入について、収入認定除外の範囲について解説します。
ファイナンシャル・プランナー。
ライフプラン・キャッシュフロー分析に基づいた家計相談を得意とする。法人営業をしていた経験から経営者からの相談が多い。教育資金、住宅購入、年金、資産運用、保険、離婚のお金などをテーマとしたセミナーや個別相談も多数実施している。教育資金をテーマにした講演は延べ800校以上の高校で実施。
また、保険や介護のお金に詳しいファイナンシャル・プランナーとしてテレビや新聞、雑誌の取材にも多数協力している。共著に「これで安心!入院・介護のお金」(技術評論社)がある。
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高等学校等就学費
生活保護制度では、高校等で必要な費用を支援する制度があります。
具体的には、「生業扶助」の「技能習得費」の一環として「高等学校等就学費」が支給されます。高等学校等修学費として、次のものが支給されます(基準額は令和7年4月現在)。
(1)基本額(学用品費や通学用品費など):月額7300円
(2)学級費等(学級費、生徒会費およびPTA会費):月額2170円以内
(3)教材代:実費支給
(4)授業料:公立高校授業料相当額
(5)入学料:公立高校入学料相当額
(6)入学考査料(原則として2回まで):1校について3万円以内
(7)通学交通費(通学に必要な最小限の額):実費支給
(8)入学準備金(学生服、通学用かばん、ワイシャツ等の購入費):年間上限額11万8200円以内
(9)学習支援費(クラブ活動費):年間上限額10万1000円以内
修学旅行の費用や、公立高校の相当額を超えてしまう私立高校の就学費用、学習塾等費用、大学等の入学金・受験料・転居費用等は、生活保護費の給付対象となっていませんので、アルバイト等で賄う必要があります。
公立高校の相当額を超える私立高校の授業料については、就学支援金(国の制度)と自治体の支援制度が利用できます。また、修学旅行費等については、自治体の高校生等奨学給付金(奨学のための給付金)が利用できます。
高校就学中のアルバイト収入の取り扱い
大学等に進学するための費用を貯めるためにアルバイト等をしても、収入として認定され、その分生活保護費が減らされるのでは、不足分を補えませんし働くだけ損です。そのため、生活保護費から引かれるのは、収入から基礎控除額等を控除した額としています。
さらに、控除後の金額も、高校就学中のアルバイト収入については、修学旅行費や公立高校の相当額を超える私立高校授業料の不足分、クラブ活動費等に充てられる費用は、就学のための費用と考え、必要最小限度の額を収入として認定しない取り扱いをしています。
大学等へ進学するための費用としては、学習塾費(入会金、授業料、講習会費、教材費、模擬試験代、交通費)、受験料、入学金、前期授業料等は収入から除外できます。
アルバイト収入の取り扱いの具体例
生活保護費から引かれるアルバイト収入は、必要経費や控除を引いた金額です。
例えば、1ヶ月のアルバイト代が4万円(1日の交通費400円、8日勤務)の場合、基礎控除額1万7600円、20歳未満控除1万1600円、必要経費(交通費)3200円を差し引きますので、収入充当額は7600円になります(手元に残るお金は3万2400円)。
この7600円を、高等学校等就学費の給付対象とならない修学旅行の費用や、公立高校の相当額を超えてしまう私立高校の就学費用、学習塾等費用、大学等の入学金・受験料・転居費用等に充てた場合、収入認定は0円になり、保護費は減額されません。
まとめ
大学等に備えて、学習塾費、受験料、入学金、前期授業料等を貯めるためアルバイトをしても、原則、生活保護費から引かれることはありません。
ただし、アルバイト収入については、必ずケースワーカーに申告してください。高校生のアルバイト収入は申告義務があることをしっかり説明しないケースワーカーもいますので、知らされていない高校生もいます。申告しない場合、生活保護法78条(不正受給)により、保護費の返還を求められる場合がありますので注意してください。
出典
厚生労働省 生活保護制度
厚生労働省 子どもの進路に関する情報について【○カツ(まるかつ)令和7年度改定】
デジタル庁 e-Gov 法令検索 生活保護法 第七十八条
執筆者 : 新美昌也
ファイナンシャル・プランナー。
