卒業後「手取り18万円・奨学金300万円」で“1人暮らしする”という娘…就職先は東京ですし、親としてしばらく“生活費を援助”してあげるべきですか? 判断のポイントを確認
本記事では、家計シミュレーションと奨学金返済額を踏まえ、援助の必要性や判断のポイントを整理します。
2級ファイナンシャル・プランニング技能士
手取り18万円で一人暮らしは可能? 家計を試算
まずは、単純な家計のイメージを見てみましょう。不動産サイトや、総務省の家計調査などを参考に、東京での女性の一人暮らしの場合の家計は次のように仮定します。
・家賃:10万円
・食費:3万円
・光熱費:1万円
・通信費:6000円
・日用品、交際費:1万5000円
毎月必要な金額は合計約16万円で、これに奨学金の返済が加わります。
仮に300万円を金利0.5%、15年(180回)で返済する場合、毎月の返済額は約1万7000円です。すると支出は約18万円で手取りとほぼ同額になり、貯金は難しい計算です。追加で急な出費があれば、赤字になる可能性もあるでしょう。
奨学金300万円の返済負担はどのくらい?
JASSO(日本学生支援機構)の奨学金は、利子が付かない第一種奨学金と、利子が付く第二種奨学金があります。第一種の場合、300万円を返済期間15~20年程度で返すと、月々の返済額はおよそ1万4000円前後です(利子なし)。
一方、第二種は利率が返還時に決まり、同じ返済期間でも毎月の返済額がやや増えて総返済額も利息分だけ負担が大きくなります。利率が高まると返済負担が増えるため、返済計画を立てる際は利率や期間をよく確認することが大切です。
親が援助するメリット・デメリット
娘の生活を思えば「少しでも助けてあげたい」と感じるのが親心でしょう。しかし、援助には良い面と注意すべき点があります。ここでは、金銭的・精神的な側面からメリットとデメリットを整理します。
援助するメリット
・生活基盤が安定する
・奨学金の繰り上げ返済に回せる可能性
・精神的な安心感につながる
月2万~3万円を一定期間サポートするだけでも、家計には大きな余裕が生まれます。例えば、月3万円を援助すれば、年間36万円、2年間で72万円となり、奨学金の一部繰り上げ返済に充てる選択肢も出てきます。
また、生活が安定すれば資格取得や転職活動など、将来の収入アップにつながる挑戦もしやすいでしょう。短期的な援助が、長期的な自立を後押しするケースもあります。
援助のデメリット
・自立心が育ちにくい可能性
・親の老後資金を圧迫する
・「いつまで続けるのか」曖昧になりやすい
特に、親世代が50代~60代の場合は、自身の老後資金形成が優先課題であることも忘れてはいけません。
仮に月3万円を5年間援助すると、総額は180万円です。その分を年3%で運用できたと仮定すると、将来の資産差はさらに広がります。感情だけで決めるのではなく、家計全体への影響を数字で確認することが重要です。
あわせて、娘自身にも毎月の収支を「見える化」してもらいましょう。家計簿アプリなどで収支を把握し、年間でいくら貯蓄できるのかを確認する習慣を持てば、援助の必要性も客観的に判断できます。
援助するなら「期間」と「目的」を決める
支援する場合は、「1年間だけ月3万円」「ボーナスが安定するまで」など、期間や条件を明確にしましょう。また、「奨学金の繰り上げ返済用に限定する」「家賃補助として支給する」など目的を決めておくと、漫然とした仕送りになりにくいです。
収入が増えたら援助を減額・終了するルールを事前に話し合っておくことも、自立を促すうえで大切です。
まとめ
手取り18万円で奨学金300万円を返済しながら一人暮らしをするのは、不可能ではありませんが家計に余裕がないのが実情です。親が援助する場合は、老後資金とのバランスを確認したうえで、期間や目的を明確に決めましょう。
一時的な支援であれば、娘の自立を後押しする選択肢にもなります。感情だけではなく、数字をもとにした冷静な判断が求められます。
出典
独立行政法人日本学生支援機構 大学・返還例
執筆者 : 仲千佳
2級ファイナンシャル・プランニング技能士
