「がんにかかる確率は2分の1」は本当? 正しく知っておきたいがんの確率
配信日: 2019.07.07
今回はがんに関する確率について、少し踏み込んで解説します。
執筆者:横山琢哉(よこやま たくや)
ファイナンシャルプランナー(日本FP協会 AFP認定者)
フリーランスライター
保険を得意ジャンルとするFP・フリーライター。
代理店時代、医療保険不要論に悩まされた結果、1本も保険を売らずに1年で辞めた経験を持つ。
FPとして、中立公正な立場から保険選びをサポートしています。
がんの死亡率と罹患率
国立がん研究センターのがん情報サービスのウェブサイトではがんに関連するさまざまな統計情報を公開しています。
そのうち、がんで死亡する確率とがんに罹患する確率を男女別に引用してまとめると以下のとおりです。死亡率と罹患率の違いにも注目してください。
(※1をもとに筆者作成)
この表の見方ですが、たとえば現在の年齢が30歳の男性の場合、10年後である40歳までにがんで死亡する確率は0.1%、がんに罹患する確率は0.6%と読みます。
まず、みなさん自身に一番近い年齢のデータをもとに、がんで死亡または罹患する確率について確認してみてください。各年齢における「生涯」の罹患率を見る限り、一般論として「2人に1人ががんにかかる」と表現することは、決して大げさな表現ではないと言えるのではないでしょうか。
ただ、罹患する確率が高くなるのは高齢になってからということもこのデータから分かります。そのため、「2人に1人ががんにかかる」という知識だけでは正しく理解しているとは言えないでしょう。
その確率は低いのか?
前掲のデータから、現在の年齢が30歳の男性について、がんにかかる確率を列挙すると次のようになります。
・40歳まで:0.6%(約167人に1人)
・50歳まで:2%(50人に1人)
・60歳まで:7%(約14人に1人)
・70歳まで:20%(5人に1人)
・80歳まで:41%(約2.4人に1人)
・生涯:62%(約1.6人に1人)
この確率のとらえ方については個人差があるでしょう。40歳までであれば約167人に1人という低い確率なので、自分はがんにかからないだろうと考える人のほうが多いかもしれません。
しかし、自分がいつ、がんにかかるかは誰にも分かりません。約167人に1人という確率はそれほど高くないかもしれませんが、決してあり得ないとも言えません。こうしたケースを「万が一」ととらえるべきです。
死亡率と罹患率に大きな差があることは前掲のデータから分かりますが、これによると、適切な治療をほどこせば治る(死亡せずに済む)ことが多いということも言えるのではないでしょうか。そのため、いざというときに治療費が用意できるかがカギになります。
がんの治療費は高額になるケースばかりではありませんが、進行がんの治療においてはそういうこともあり得ます。がんの治療費を備える方法は貯蓄か保険のいずれかですが、貯蓄が十分でないうちは、がん保険や医療保険のがん特約が有効な手段になります。
がん保険を選ぶ前に知っておきたいこと
がん保険への加入を検討する場合、がんにかかる可能性が現実味を帯びてくる年齢(50歳くらい)になってからでよいという考え方は危険です。
なぜなら、保険は被保険者(保障の対象となる人)の健康状態が悪いと加入を断られるか、条件の悪い保険にしか加入できなくなるからです。そのため、治療費の備えとして保険を利用するなら早めに検討するべきです。
なお、がんの備えを考えるうえで大事なことは「がんについての正しい知識を持つこと」です。上述の確率の話をはじめ、どんながんにかかりやすいのか、治療がどのように行われてどのくらいの費用がかかるのかといったことです。
がんについての知識を持つと、がん保険の選び方も変わるはずです。なぜなら、「先進医療特約は役立つのか?」「がん保険は診断一時金のみで加入すべきか?」「抗がん剤治療給付金はこれで足りるのか?」といった判断ができるようになるからです。
がん保険への加入を検討しているなら、主体的な商品選びをするために、まずはがんについての基礎知識を学ぶことをおすすめします。
出典
※1 国立がん研究センター がん情報サービス「最新がん統計」
執筆者:横山琢哉(よこやま たくや)
ファイナンシャルプランナー(日本FP協会 AFP認定者)
フリーランスライター