『名探偵コナン』映画の聖地効果——函館の観光客が前年比10%増えた仕組みを検証

配信日: 2026.03.31 更新日: 2026.04.07
この記事は約 4 分で読めます。
『名探偵コナン』映画の聖地効果——函館の観光客が前年比10%増えた仕組みを検証
2024年4月12日に公開された劇場版『名探偵コナン 100万ドルの五稜星(みちしるべ)』は、最終興行収入158億円・観客動員数1100万人と、シリーズ史上最高記録を打ち立てました。
 
しかし、この映画が生んだ経済効果は映画館の中だけにとどまりません。舞台となった北海道・函館市では、映画公開後の2024年4〜9月(上半期)の観光客数が前年同期比10.0%増の345万3000人に達し、外国人宿泊客数は同37%増を記録しました。
 
本記事では、アニメ映画が地方都市の観光を動かす仕組みをお金の視点から読み解きます。
FINANCIAL FIELD編集部

ファイナンシャルプランナー

FinancialField編集部は、金融、経済に関する記事を、日々の暮らしにどのような影響を与えるかという視点で、お金の知識がない方でも理解できるようわかりやすく発信しています。

編集部のメンバーは、ファイナンシャルプランナーの資格取得者を中心に「お金や暮らし」に関する書籍・雑誌の編集経験者で構成され、企画立案から記事掲載まですべての工程に関わることで、読者目線のコンテンツを追求しています。

FinancialFieldの特徴は、ファイナンシャルプランナー、弁護士、税理士、宅地建物取引士、相続診断士、住宅ローンアドバイザー、DCプランナー、公認会計士、社会保険労務士、行政書士、投資アナリスト、キャリアコンサルタントなど150名以上の有資格者を執筆者・監修者として迎え、むずかしく感じられる年金や税金、相続、保険、ローンなどの話をわかりやすく発信している点です。

このように編集経験豊富なメンバーと金融や経済に精通した執筆者・監修者による執筆体制を築くことで、内容のわかりやすさはもちろんのこと、読み応えのあるコンテンツと確かな情報発信を実現しています。

私たちは、快適でより良い生活のアイデアを提供するお金のコンシェルジュを目指します。

映画そのものの記録:興収158億円・1,100万人のインパクト

まず、映画自体の経済規模を把握しておきましょう。
 
2024年4月12日に全国515館で公開され、初日だけで観客動員63万人・興行収入9億6000万円を記録しています。公開22日間で興行収入100億円を突破(前作を2日更新したシリーズ最速)し、公開52日間でシリーズ初となる観客動員1000万人を達成しました。
 
公開73日間では、観客動員1,052万人・興収150.5億円で邦画史上10本目の150億円突破を達成。東宝2025年2月期決算説明資料では、最終興収158億円と確定し、前作『黒鉄の魚影』の138億円を約20億円上回るシリーズ歴代最高となりました。
 

「コナン効果」の全貌:函館市の観光データで見る経済波及

映画公開後、函館市の2024年度上半期(4〜9月)の観光入込客数(推計値)は、前年同期比10.0%増・345万3,000人で、これはコロナ禍前の2019年度を上回り、過去10年では北海道新幹線開業直後の2016年度に次いで最多の数値です。
 
さらに外国人宿泊客数は同37%増の20万2,000人を記録しており、インバウンドへの波及効果も鮮明です。
 
函館市は本作との連携に2,000万円のプロモーション予算を投じました。特定の民間コンテンツに対して、これほどの公的予算を組んで公式タイアップを実施した自治体事例は珍しく、自治体が「コナン効果」に積極的に賭けた形と考えられるでしょう。
 

函館市が仕掛けた「コナン経済」の設計図:2000万円投資の全貌

函館市が2000万円の予算を投じてどのような施策を展開したのかを整理します。「函館×名探偵コナン」特別イベント実行委員会(函館市観光部観光誘致課が事務局)が主体となり、多層的な仕掛けが設計されました。
 
・スタンプラリー(市内10カ所):
市内10カ所のスポットを巡り、5スポット達成でオリジナルグッズ進呈
 
・ラッピング電車・バス:
函館市電・函館バスのラッピング車両
 
・フォトスポット整備・パネル設置:
各スタンプ設置スポット近くにキャラクターパネル設置
 
・オフィシャルグッズ販売:
「名探偵コナンプラザ」でのグッズ販売
 
・ふるさと納税への活用:
函館ラスク・五島軒函館カレーなどコラボ返礼品を追加
 
スタンプラリー10カ所を回り、ラッピング電車に乗り、グッズを買い、宿泊する、など滞在型の行動モデルが意図的に設計されており、これが宿泊客数・飲食消費などの地域内消費額を押し上げた要因と考えられます。
 

「コナン聖地効果」の再現性:函館だけではない過去の実績

「函館の観光客増は函館が元々人気だったからでは?」という疑問もあるでしょう。しかし、コナン映画の聖地効果は過去の作品でも同じパターンが繰り返し確認されています。
 

・『名探偵コナン 黒鉄の魚影(サブマリン)』(2023年公開):東京都・八丈島

東海汽船の八丈島行き乗船人数が2022年4月〜1年間比で約1.2倍(1万8984人増)。7〜9月は3ヶ月連続で月2000人超が来島しました。
 

・『名探偵コナン 紺青の拳(フィスト)』(2019年公開):シンガポール

HISのシンガポール送客数が前年比124%。旅行会社・シンガポール政府観光局・シンガポール航空の三者タイアップ公式ツアーに計3800人が参加しました。
 

アニメ映画が地域経済を動かす「聖地効果」

劇場版『名探偵コナン 100万ドルの五稜星』の影響は、映画館の外にも広がりました。舞台となった函館市では観光客数や外国人宿泊客数が大きく増加し、映画公開が地域観光に波及したことがデータから確認されています。
 
函館市はスタンプラリーやラッピング電車、グッズ販売など複数の施策を組み合わせ、観光客の滞在時間を延ばす仕掛けを設計しました。こうした取り組みは、過去のコナン映画でも確認されてきた「聖地効果」と共通する特徴です。
 
この事例は、アニメ映画が作品の枠を超えて観光や地域消費を動かす力を持つことを示しているといえるでしょう。
 

出典

はこぶら 【2024/4/12~9/30】劇場版「名探偵コナン 100 万ドルの五稜星(みちしるべ)」公開記念コラボイベント開催
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

  • line
  • hatebu
【PR】 yumobile
FF_お金にまつわる悩み・疑問