海外市場2.1兆円の中身——アニメの国際収益はどの国・地域から生まれているのか
実際に、日本動画協会の発表によると、2024年のアニメの海外市場は、2兆1702億円で初めて2兆円を突破し、国内市場(1兆6705億円)の約1.3倍規模にまで拡大しました。
アニメ産業市場全体のうち、海外だけで約56%を占めている計算です。この2兆円超の海外収益はいったいどこから生まれているのでしょう。本記事では、アニメ分野の海外収益がどの地域や国から生まれているのかを解説します。
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目次
海外収益2.1兆円:「中身」を理解するための基礎知識
日本動画協会の「アニメ産業市場」における海外カテゴリとは、海外の事業者やユーザーが日本のアニメ関連商品・サービスに支払った金額の推計値です。
具体的には、Crunchyroll・Netflix・Amazon Prime Videoなどへのライセンス料、海外での商品化(グッズ)許諾料、海外劇場での興行収入などが含まれます。
地域別に見る日本アニメの輸出先:「東アジア首位・北米・欧州」の3層構造
総務省「放送コンテンツの海外展開に関する現状分析(2023年度)」によると、放送コンテンツ輸出(アニメが輸出額の大半を占める)の地域別では、アジアが最大のシェアを占め、次いで北米・欧州が続くという3層構造が見えてきます。
経済産業省の「エンタメ・クリエイティブ産業政策研究会 資料4-2」(2025年1月)でも、「日本のアニメの海外輸出額としては東アジアが最多で、北米、欧州が続いている」と明記されています。
北米
北米(米国・カナダ)は、アニメのライセンス契約において最も単価が高く、収益成長率も突出している市場です。その熱量を象徴するのが米ロサンゼルスで毎年開催される「Anime Expo」です。
2025年7月の「Anime Expo 2025」では、65カ国以上から延べ41万人以上が来場し、過去最多を記録。ロサンゼルスの地元ホテル・レストランなどにもたらした経済効果は、1.1億ドル以上に達しました。
アジア(東アジア・東南アジア)
放送コンテンツの輸出先としては、中国・台湾・韓国を中心とする東アジア・東南アジアが最大のシェアを占めています。ただし、東南アジアでは米国系・中国系・東アジア系のプラットフォームが乱立しており、日本の権利者への収益還元率が北米に比べて低い場合もあると指摘されているのです。
一方でポテンシャルは高く、Netflixの公式発表によると「ブラジルやメキシコでの継続的な成長に加え、インドやインドネシア、アフリカの一部地域でも人気が急速に拡大している」とされています。
欧州
欧州はアジア・北米に続く第3の市場として、近年急速に成長が加速しています。アニメ配信サービスのCrunchyrollは「Crunchyroll Store」を欧州34カ国に拡大するなど、北米以外では欧州への投資が最も積極的です。
また、舞台「となりのトトロ」「千と千尋の神隠し」のロンドン公演や「進撃の巨人ミュージカル」のブロードウェイ公演なども高評価を得るなど、映像配信にとどまらない体験型コンテンツでも欧州での存在感が増しています。
アニメはゲームに次ぐ「日本コンテンツ輸出産業の第2位」
「海外市場2兆1702億円」というアニメの数字を、日本のコンテンツ産業全体の中で位置づけてみましょう。
2024年の日本コンテンツ産業全体の海外売上は5.8兆円規模で、アニメはその約3割弱を占め、家庭用ゲーム(オンライン)に次ぐ第2位のコンテンツとして日本の輸出産業を牽引しています。
さらに政府も「新たなクールジャパン戦略」でコンテンツ産業の海外市場を2033年までに現状の5.8兆円から20兆円規模へと拡大する目標を掲げており、その実現に向けて「家庭用ゲームとアニメのさらなる成長が不可欠」と位置づけています。
アニメ海外市場2兆円の実態:世界3地域で拡大する日本コンテンツ
日本アニメの海外市場は2024年に2兆1702億円となり、国内市場を上回る規模へと成長しました。その収益は配信ライセンス、海外グッズの商品化許諾、海外での劇場興行など多様な形で生まれています。
地域別に見ると、日本アニメの輸出先は東アジア・東南アジアを中心とするアジア、ライセンス単価が高い北米、そして近年成長が加速している欧州の3層構造が形成されています。
このように、日本アニメは世界各地域で収益源を広げ、日本のコンテンツ輸出を支える重要な産業として存在感を高めているといえるでしょう。
出典
総務省 放送コンテンツの海外展開に関する現状分析
経済産業省 業界の現状及びアクションプラン(案)について
内閣府知的財産戦略推進事務局 コンテンツ関係参考資料
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
