兄が“相続した実家”を「駐車場にする」と言っています。実家は“地方の住宅地”ですが、本当に「月10万円」も安定収入を期待できるのでしょうか? 駐車場経営の現実とは
本記事では、地方の住宅地での駐車場経営で月10万円の収入が現実的なものなのかを解説します。
2級ファイナンシャル・プランニング技能士
目次
駐車場収入の基本的な考え方
駐車場経営の収益は、基本的に「1台あたりの賃料×契約台数」で決まります。仕組みは単純ですが、その分、立地や台数の条件がそのまま収益に直結します。
例えば、地方の住宅地では月極駐車場の賃料が1台あたり数千円から1万円前後になることが多く、仮に1台1万円で貸せたとしても、10台埋まってようやく月10万円です。実際には常に満車とは限らないため、空きが出ればその分だけ収入は下がります。
つまり、地方で月10万円を目指すには、比較的高い賃料を設定できる場所であるか、あるいは十分な台数を確保できる広さが必要になります。一般的な住宅地の実家跡地では、この点が最初のハードルになりやすいところです。
月10万円が見込めるケースと難しいケース
地方でも、月10万円の収入が見込める可能性はあります。ただし、それはどの土地でも期待できるという意味ではありません。
例えば、周辺に月極駐車場が少ない地域や、駅、病院、商業施設などの近くで駐車ニーズがある場所では、比較的借り手がつきやすくなります。また、車を1世帯で複数台所有している家庭が多い地域では、2台目、3台目の置き場として需要が出ることもあります。
一方、近隣の各戸に十分な駐車スペースがある住宅地では、そもそも外部の駐車場を借りる必要があまりありません。その場合、区画を用意しても埋まらず、期待した収入に届かないことがあります。「その場所で借りたい人がいるか」が、収益を左右することを頭に入れておきましょう。
コインパーキングという選択肢
自宅跡地の駐車場活用を考える際、「月極ではなく、コインパーキングのほうが収益は上がるのでは」と考える人もいるでしょう。しかし、地方の住宅地の場合、コインパーキングが有利とは限りません。
コインパーキングは、継続的に車の出入りがある立地でなければ利用が伸びにくく、駅前や繁華街、病院の近くなどでないと収益が安定しにくい傾向があります。
さらに、時間貸しにする場合は精算機や看板、舗装などの設備費用がかかります。月極と比較すると、初期投資が大きくなりやすい点はデメリットといえるでしょう。
見落としやすい費用とリスク
駐車場経営は、建物経営に比べると管理の手間が少なくなりますが、費用が全くかからないわけではありません。区画線や車止め、看板の設置費用、舗装代、整地費用のほか、不動産会社へ管理を委託する場合は手数料も発生します。
また、建物を解体してさら地にすると、固定資産税の負担が変わる可能性があります。住宅が建っている土地に適用されていた税の軽減措置がなくなるため、手元に残る利益が思ったより少なく感じられることもあります。
加えて、契約が埋まらないリスク、近隣に新しい駐車場ができるリスク、周辺人口の減少といった不確定要素もあります。始めやすい活用法ではありますが、「安定収入」という言葉だけで安心できるものではありません。
判断前に確認しておきたいポイント
実家を取り壊して駐車場にするかどうかを考える場合、まずは周辺の状況を具体的に見ることが大切です。
例えば、近隣の月極駐車場がいくらで募集されているか、徒歩圏内に需要を生みそうな施設があるか、これらを確認するだけでも、収益の見通しが立てやすくなります。
あわせて、敷地の形状も重要です。土地の面積が十分でも、間口が狭かったり、車の出入りがしにくかったりすると、思ったほど台数が取れないことがあります。収益を考える際には、土地の広さだけでなく、使いやすさまで見ておきたいところです。
期待しすぎず、現実的な収支判断を
地方の住宅地でも、条件が合えば駐車場として一定の収入を得ることは可能です。ただ、月10万円の安定収入となると、立地や需要、台数確保など、いくつかの条件がうまくそろう必要があります。
そのため、「実家を壊して駐車場にすれば安心」と考えるのではなく「この場所で何台分、いくらで、どの程度安定して貸せそうか」を冷静に見積もることが大切です。
執筆者 : 小川ひろ
2級ファイナンシャル・プランニング技能士
