大卒で就職した娘は「手取り15万円」らしく“毎月3万円”ほど援助しています。独立した子どもに「甘すぎる」でしょうか? 余裕がなく“老後資金”も貯められない…親子共倒れを防ぐポイントとは
しかし、いざふたを開けてみると、新社会人の娘から手取りが少なすぎて生活できないと相談され、結局毎月数万円の仕送りを続けている……独立、自立とは名ばかりで、これでは親の家計はいつまでも楽になりません。
本記事では、子どもへの援助の必要性と、親の家計への影響、そして親子で決めておくべき金銭ルールについて解説します。
FP2級、WEBライター検定3級、情報処理安全確保支援士、ネットワークスペシャリスト
「子の独立=家計が楽になる」は過去の話?
まず直視すべきは、現代の若者の手取り額の低さと生活コストの増大です。民間調査機関である産労総合研究所の「2025年度 決定初任給調査」によると、大学卒の決定初任給は前年度比5%上昇し平均23万9280円でした。
しかし、額面が増えても手放しでは喜べないのが今の新社会人です。ここから、健康保険、厚生年金、雇用保険などの社会保険料や所得税が引かれ、さらに2年目からは住民税の徴収も始まります。
こうした社会保険や各種税金、企業の共済会費などが給与天引きされ、奨学金の返済もあると、手取りが15万円程度になることも十分ありえる金額です。一方、家賃や光熱費、食費といった生活コストは、物価高の影響で高騰しています。
親世代の30年前と比較して、社会保険料率は上昇し、自由に使えるお金は相対的に減少しています。今の若者にとって、自力で余裕のある生活を送ることのハードルは、年々高くなっているのが現実です。
月3万円の援助が老後資金に与えるインパクトを試算
子どもを支援したいという親心は理解できますが、月3万円を安易に考えすぎてはいけません。親自身の老後資金という観点から、そのインパクトを試算してみましょう。
仮に、月3万円の援助を5年間続けた場合、総額は180万円になります。10年間なら360万円です。これだけの金額があれば、定年退職後のリフォーム費用や、病気・介護への備えとして十分な原資になります。
さらに重要なのは、機会損失の視点です。もしこの月3万円を、新NISAなどを活用して年利3%で運用しながら積み立てていたとします。
・5年間運用した場合:約194万円
・10年間運用した場合:約418万円
子どもへの援助を優先した結果、10年で400万円以上の資産形成チャンスを逃す可能性があるのです。定年退職を間近に控えた年代であれば、この数百万円の差は老後の安心感をも左右します。
子どもの生活を楽にするために自分たちが老後破綻するという事態は、子どもにとっても親の介護や生活扶助といった将来の大きな負担となり、本末転倒な結果を招きかねません。
親子で共倒れを防ぐための3つの金銭ルール
子どもに甘いか甘くないか、という感情論で決めるのではなく、家計を守りつつ子どもを自立させるためのシステムを作りましょう。以下の3つのルールを親子で話し合うことをおすすめします。
(1)期限を明確に定める
生活が苦しいうちはずっと援助する、というような曖昧な約束は厳禁です。「仕事に慣れるまでの最初の2年間だけ」「25歳になるまで」といった期限をあらかじめ決めておきましょう。ゴールが見えていれば、子ども自身もそれまでに収支を改善しようという意識が働きます。
(2)援助の出口戦略を作る
いきなり援助をゼロにするのが不安であれば、段階的に減らしていくことも考えておきましょう。1年目は3万円、2年目は2万円、3年目は1万円、と減額していくことで、子どもの昇給や節約スキルの向上に合わせた、ソフトランディングが可能になります。
(3)使途を固定費や奨学金返済に限定する
単なるお小遣いとして渡すのではなく、使途を明確にします。家賃の補助として渡す、奨学金の返済分を肩代わりする、のように自立を助けるための用途に絞ります。可能であれば、毎月の収支報告(家計簿アプリの画面共有など)をさせることで、金銭管理を徹底するようにしましょう。
まとめ
子どもが心配という親心は尊いものですが、無計画な援助は親子双方の自立を妨げるリスクがあります。
まずは現状の収支を可視化し、期間限定としてルール化することが大切です。自分たちの老後資金のことも考慮した上で、無理のない範囲でのサポートを心がけましょう。
出典
株式会社産労総合研究所 2025年度 決定初任給調査
執筆者 : 金田サトシ
FP2級、WEBライター検定3級、情報処理安全確保支援士、ネットワークスペシャリスト
