SNS「奨学金は低利子だからオルカンに投資」投稿が話題! 奨学金「5万円×4年間」を積み立てると、運用益で返済可能になる? 奨学金の趣旨も踏まえると“不適切”でしょうか? 注意点も解説
また、制度的に問題はないのでしょうか。本記事では、奨学金の仕組みを整理したうえで、オルカンに投資した際の具体的な試算とともに、この方法の現実性について解説します。
2級ファイナンシャルプランニング技能士/日商簿記3級/第一種衛生管理者/証券外務員/英検2級など
目次
奨学金の仕組みと本来の目的
日本の奨学金制度の中心となっているのが日本学生支援機構(JASSO)です。JASSOが提供する奨学金には、返済不要の給付型と返済が必要な貸与型がありますが、本記事では利用者の多い貸与型である第二種奨学金について見ていきます。
第二種奨学金は有利子の貸与型奨学金ですが、一般的なローンと比べると低金利で借りられる点が特徴です。
また、奨学金は制度上、資金の使い道が細かくチェックされるわけではありませんが、本来は授業料や生活費など「就学のための費用」に充てることが前提です。そのため、投資を目的として借りることは制度の趣旨から外れる可能性があると考えられます。
奨学金を月5万円4年間借りた場合の総返済額
それでは、JASSOの奨学金貸与・返還シミュレーションを使い、具体的なケースで見てみましょう。前提は次の通りとします。
・毎月5万円を4年間(48ヶ月)借入
・総借入額:240万円
・貸与利率:年2.423%(前年度3月に貸与終了した人の利率固定方式の利率)
・返還期間:15年(元利均等)
この条件の場合、返還総額は約289万円となります。
オルカンで毎月5万円を運用した場合はどうなる?
それでは、毎月5万円を4年間投資に回した場合を見てみましょう。今回は、代表的なインデックスファンドであるeMAXIS Slim 全世界株式(いわゆるオルカン)に積み立てたケースを想定します。
・毎月5万円を4年間(48ヶ月)積み立て
・想定利回り:年10%(過去の実績の一例として想定)
この条件で運用した場合、4年後の資産は約293万円となります。先ほどの返還総額が約289万円だったことをふまえると、「うまくいけば運用益で返済できるのでは?」と感じるかもしれません。
奨学金で投資をするリスク
しかし、この考え方には大きな前提があります。それは「年利10%で安定して運用できる」という点です。年利10%というリターンは、あくまで過去の実績などをもとにした想定であり、将来も同じように得られるとは限りません。市場環境によっては、元本割れとなる可能性もあります。
また、運用期間が4年間と比較的短いため、価格変動の影響を受けやすく、「たまたま下落したタイミングで卒業を迎える」といったリスクもあるでしょう。
精神的な負担や制度趣旨にも注意
奨学金は、一般的なローンと比べて低金利で借りられることが多い点が大きな特徴です。しかし、金利が低いとはいっても借金であることに変わりはありません。投資がうまくいけば問題ないかもしれませんが、思うように増えなかった場合でも、返済義務は必ず残ります。
また、借りたお金を運用に回すという状況は、精神的な負担も大きくなりがちです。価格が下がるたびに「返済できるのか」と不安を感じることになれば、学業や日常生活にも影響が出てしまう可能性があります。
さらに、奨学金は本来、学業を支えるための制度です。投資目的で活用することは制度の趣旨に照らして適切とは言えない面もあるでしょう。このように、数字上のメリットだけでなく、心理的な負担や制度の本来の目的もふまえて、この方法の是非を判断することが重要です。
まとめ
奨学金を活用して投資を行い、その運用益で返済するという考え方は、一見合理的に見えるかもしれません。しかし、実際には運用リスクや期間の短さ、そして、あくまで借り入れであることによる負担を考えると、現実的とは言えないケースが多いでしょう。
また、奨学金は本来、就学のための資金として設計された制度です。その趣旨をふまえると、投資目的で利用することは慎重に考えるべきです。資産形成を考える場合は、まずは無理のない範囲で余剰資金から始めることが重要です。
出典
独立行政法人 日本学生支援機構 奨学金貸与・返還シミュレーション
執筆者 : 三浦大幸
2級ファイナンシャルプランニング技能士/日商簿記3級/第一種衛生管理者/証券外務員/英検2級など
