アパート退去時「冷蔵庫裏の黒ずみ」で、壁紙の“全張り替え20万円”を支払い! でも後日「通常損耗なら大家負担」と聞きショック…無知なサラリーマンがカモられない“魔法のルール”とは

配信日: 2026.04.29
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アパート退去時「冷蔵庫裏の黒ずみ」で、壁紙の“全張り替え20万円”を支払い! でも後日「通常損耗なら大家負担」と聞きショック…無知なサラリーマンがカモられない“魔法のルール”とは
春の引っ越しシーズン、新生活への期待に胸を膨らませる一方で、頭を悩ませるのが「退去費用」の問題ではないでしょうか。長年住み慣れた部屋を離れる際、管理会社から提示された清算書を見て、思わず目を疑った経験はないでしょうか。
 
「壁紙の全張り替えが必要なので、費用は20万円になります」。そんな高額な請求を突きつけられ、新生活のための大切なお金が消えていく絶望感は、言葉にならないでしょう。特に、毎日遅くまで働く会社員や、家計を必死に守る人にとって、この数十万円という出費は死活問題といえるでしょう。
 
「借りたものはきれいにして返さなきゃいけない」という美徳につけ込み、本来払わなくていい費用までむしり取ろうとする悪質なケースが後を絶ちません。しかし、安心してください。理不尽な請求をはね返すための「魔法のルール」が存在します。
 
それは、国が定めた「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」です。これを知っているだけで、手元に数万円、あるいは十数万円の敷金が戻ってくるかもしれません。今回は、無知なままカモられないための防衛術を徹底解説します。
西村和樹

2級ファイナンシャル・プランニング技能士(FP2級)、第一種/第二種電気工事士、医療情報技師、2級ボイラー技士、ボイラー整備士

「壁紙20万円」の請求は正当か? 原状回復の真実

そもそも、賃貸物件を退去するときの「原状回復」とは、入居時の状態に100%戻すことではありません。
 
国土交通省のガイドラインによれば、原状回復とは「賃借人の居住、使用により発生した建物価値の減少のうち、賃借人の故意・過失、善管注意義務違反、その他通常の使用を超えるような使用による損耗・毀損(きそん)を復旧すること」と定義されています。
 
難しい言葉が並んでいますが、要するに「普通に住んでいて汚れたり古くなったりした分は、大家さんが負担する」のがルールなのです。例えば、家具を置いたことによる床のへこみや、日差しによる壁紙の色あせなどは「通常損耗」と呼ばれ、これらを直す費用を借主が負担する必要はありません。
 

冷蔵庫の裏の黒ずみは大家の負担!?

退去時の立ち会いでよく指摘されるのが、冷蔵庫やテレビの裏の壁にできる「電気ヤケ」と呼ばれる黒ずみです。「壁を汚したから張り替え費用を払ってください」と言われると、つい自分が悪いと思ってしまいがちですが、これも原則として大家側の負担となります。


・冷蔵庫、テレビの裏面の壁の電気ヤケ(黒ずみ)は、通常の使用で起こるもの
・家具の設置による床やカーペットのへこみも通常損耗
・これらはすべて大家さんが負担すべきもの

管理会社から「壁紙の全張り替えで20万円」と言われたとしても、その原因がこうした通常損耗であれば、1円たりとも払う必要はないのです。もし納得できない請求をされたら、「ガイドラインではどうなっていますか?」と一言聞き返す勇気を持ちましょう。
 

最強の武器「6年で価値は1円」という減価償却のルール

さらに知っておくべきなのは、壁紙(クロス)の価値には「賞味期限」といえるものがあるという事実です。ガイドラインでは、壁紙の耐用年数は「6年」と定められています。これは、新築から6年経過した壁紙の価値は、税法上の残存価値である「1円」になるという考え方です。
 
つまり、その部屋に6年以上住んでいた場合、仮に不注意で壁紙を破いてしまったとしても、負担すべきなのは「1円」に近い金額、あるいは張り替え工賃のごく一部だけで済むはずなのです。
 

もし3年住んで壁紙を汚してしまったら?

では、6年たたずに退去する場合はどうなるでしょうか。この場合でも、全額を負担する必要はありません。


・入居期間が3年であれば、壁紙の価値は半分程度まで下がっている
・負担するのは「張り替える部分」だけで、部屋全体の全張り替え費用を払う必要はない
・経過年数による減価償却を考慮し、賃借人の負担割合を決定する

管理会社が「一部だけだと色が合わないから全部張り替えます。費用は20万円です」と言ってきたとしても、それは大家側の都合です。借主が負担するのは、あくまで「自分が汚した部分の、今の価値」分だけでよいのです。
 

理不尽な請求から大切な「新生活資金」を守るために

もし高額な請求をされたら、その場でサインをする必要はありません。「いったん持ち帰って、ガイドラインと照らし合わせて確認します」と伝えましょう。プロの業者であっても、相手が知識を持っていると分かれば、不当な請求を取り下げることがよくあります。
 
また、入居時に部屋の汚れや傷の写真を撮っておくことは、自分を守るための最強の証拠となります。新生活を始める場合、次の部屋では必ず写真を残しておきましょう。
 
住宅ローンの返済や子どもの学費、そして将来への貯蓄。会社員にとって、20万円というお金は大金です。無知ゆえにカモにされるのではなく、正しい知識という「魔法のルール」を身につけて、なけなしの資産を守り抜きましょう。
 

出典

国土交通省 原状回復をめぐるトラブルとガイドラインについて
国土交通省 原状回復をめぐるトラブルとガイドライン(再改訂版)
 
執筆者 : 西村和樹
2級ファイナンシャル・プランニング技能士(FP2級)、第一種/第二種電気工事士、医療情報技師、2級ボイラー技士、ボイラー整備士

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