長年連絡を取っていない父が「生活保護」を申請したようで、「扶養照会」が届きました。正直わが家も余裕がないのですが、親族としてどこまで対応する必要があるのでしょうか?

配信日: 2026.05.14
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長年連絡を取っていない父が「生活保護」を申請したようで、「扶養照会」が届きました。正直わが家も余裕がないのですが、親族としてどこまで対応する必要があるのでしょうか?
何年も連絡を取っていない親から、自治体などを通じて突然届く「扶養照会」。過去の関係性によっては、「今さら支援を求められても困る」と感じるケースもあるでしょう。
 
一方で、「回答しなければならないのか」「扶養を断ることはできるのか」と、不安や疑問を抱く人も少なくありません。扶養照会は生活保護の手続きなどで行われることがありますが、実際にはどのような位置づけなのでしょうか。
 
本記事では、扶養照会の仕組みや法的な考え方、対応時のポイントについて整理します。
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長年疎遠だった父親から「扶養照会」が届いた場合の考え方とは?

今回のケースのように、父親が生活保護を申請した場合、親族に「扶養照会」が行われることがあります。
 
これは、生活保護法第4条第2項において「扶養義務者の扶養は、生活保護に優先して行われる」と定められているため、行政が親族に援助の可否を確認する公的な手続きです。突然の通知に「援助を求められたら断れないのではないか」と不安に感じる人もいるかもしれません。
 
しかし、扶養照会への回答自体に法的な強制力があるわけではなく、支援が難しい事情がある場合には、その旨を伝えることも可能です。また、援助を行わなかったことのみを理由に、直ちに罰則が科されるものではありません。
 
民法第877条第1項では「直系血族及び兄弟姉妹は、互いに扶養をする義務がある」と定められています。しかし、この義務は自身の生活を犠牲にしてまで尽くすべきものではなく、自分の生活を維持した上で、余力があれば助ける「生活扶助義務」にとどまるとされています。
 
長年疎遠であったことを明確に伝え、現在の状況を正直に記入して返送するのが最も合理的な対応でしょう。
 

10年程度の音信不通は対象外? 厚生労働省が示す「扶養照会を行わないケース」

厚生労働省は、明らかに扶養が期待できないと判断される場合には、扶養照会を行わないものとしています。具体的に「扶養義務履行が期待できない」とされる主なケースは以下の通りです。
 

・当該扶養義務者が、未成年者やおおむね70歳以上の高齢者などである場合
・一定期間(例えば10年程度)音信不通であるなど交流が絶たれていると判断される場合
・当該扶養義務者と相続をめぐり対立しているなど著しい関係不良の場合
・当該扶養義務者に借金を重ねているなどの事情がある場合 など

 
このように、特別な事情がある場合、その背景を説明すれば、親族への連絡や援助要請を止めることが可能とされています。
 

援助すると生活保護費はどう変わる? 負担額を考える際のポイント

仮に、「月々1万~2万円程度なら援助できる」と回答した場合、その金額は基本的に父親が受け取る生活保護費から差し引かれます。
 
生活保護費は、厚生労働省が定める「最低生活費」から本人の年金など収入を引いた差額が支給される仕組みだからです。厚生労働省によると、例えば、東京都区部等で一人暮らしの高齢者(68歳)の場合、生活扶助基準額の例として6万8950円が示されています。
 
援助を検討する場合でも、自身の生活に過度な負担が生じない範囲で判断することが重要です。現在の収入や支出、貯蓄状況などを踏まえたうえで、将来的な家計への影響にも留意しながら、無理のない範囲で検討する必要があるといえるでしょう。
 

まとめ

長年疎遠だった父親からの扶養照会は、戸惑いや精神的な負担を感じる人もいるでしょう。
 
しかし、扶養照会はあくまで扶養の可能性を確認するための手続きであり、直ちに援助を強制するものではありません。回答しなかったことや、支援が難しい事情を理由に援助を断ったことのみをもって、直ちに大きな法的問題に発展するものではない点は、まず確認しておきたいポイントです。
 
もし特別な事情があって連絡を絶っているなら、その事実を自治体に伝えましょう。扶養照会が届いた場合でも、まずは自身の生活状況や家計への影響を踏まえ、冷静に対応を検討することが重要です。
 
過去の関係性や現在の事情によっては、支援が難しいケースもあるため、無理のない範囲で判断する必要があるといえるでしょう。感情的に抱え込みすぎず、制度上の位置づけを整理しながら対応することが、自身の生活を守るうえでも大切なポイントと考えられます。
 

出典

e-Govポータル法令検索 生活保護法(昭和二十五年法律第百四十四号) 第一章 総則 第四条(保護の補足性)2
e-Govポータル法令検索 民法(明治二十九年法律第八十九号) 第四編 親族 第七章 扶養 第八百七十七条(扶養義務者)
厚生労働省 扶養義務履行が期待できない者の判断基準の留意点等について(3ページ)
厚生労働省 生活保護制度に関するQ&A Q.5 具体的にはどれくらい保護費が支給されますか。(3ページ)
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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