年金5万円の母に「生活保護」を勧めたら「親戚みんなに連絡される」と拒否! 受給には“扶養照会が必須”なんですか? バレずに生活保護を受けることはできないのでしょうか?
実際には、生活保護を申請したら必ず親戚全員に連絡がいくわけではないため、必要があるならば制度を活用したほうがよいでしょう。本記事では、年金5万円の母親に生活保護をすすめたら「親戚みんなに連絡がいくから嫌だ」と言われたケースを取り上げ、本当にバレてしまうのかなどを解説します。
2級ファイナンシャル・プランニング技能士
生活保護とは
生活保護とは、資産や能力などを活用しても生活が困窮する人に対して、必要な保護をおこない、最低限度の生活を保障しながら自立を助ける制度です。生活保護の相談・申請窓口は、住んでいる地区の福祉事務所の生活保護担当で、福祉事務所を設置していない町村では、町村役場でも申請の手続を行うことができます。
生活保護の支給額は、住んでいる地域や世帯人数、年齢によって異なり、生活扶助と住宅扶助を合わせて月額12万~15万円が目安です。例えば、生活最低費が13万円とされた場合、月換算の年金が5万円であれば、差額の8万円が支給されます。
厚生労働省の資料によると、生活保護を受けている人は2025年9月時点で約199万人で、人口の1.61%が保護を受けている計算になります。また、保護を受けている世帯のうち、55%以上が高齢者世帯で、次に障害者・傷病者世帯が約25%と続いており、生活に困窮する世帯・人を保障しています。
年金5万円の母親に生活保護を進めたら拒否!
今回は、「年金月5万円で一人暮らしをしている高齢の母親」を取り上げます。亡くなった父親が残した家はあるものの、年金5万円だけでは食費、光熱費などの支払いがあり、生活は苦しそうです。
母親に「生活保護を申請したらどうか」とすすめたところ、「親戚全員に連絡がいくから嫌だ」と拒否されてしまいました。確かに生活保護を申請すると、親族に「援助は可能か?」と問い合わせる扶養照会がおこなわれるケースがあるため、母親の言い分も理解できます。
扶養照会は必須?
それでは、生活保護を申請する際の「扶養照会」は必須なのでしょうか。結論からいうと、必ずおこなわれるわけではありません。例えば、次のようなケースでは、扶養照会をおこなわない可能性があります。
・長期間交流がない
・深刻な親族間の不和がある
・明らかに援助が期待できない
・DVや虐待が疑われる
上記のようなケースであれば、自治体が扶養照会をしないと判断する場合もあります。また、生活保護の相談をする際に「親族には絶対知られたくない」と相談員に伝えれば、申請者の知らないところで扶養照会がおこなわれることは少ないでしょう。
年金5万円であれば生活保護は受けるべき?
それでは、年金5万円で生活が苦しい母親は、生活保護を受けたほうがよいのでしょうか。人によって状況は異なるため、生活保護を受けたほうがよいのかは一概には言えません。
母親に月数万円程度を援助できるのであれば、生活保護を受けなくてもよい場合もあります。一方、身近な親族による援助ができず、母親の生活が苦しい場合は、生活保護の窓口で相談するのも選択肢の1つです。
また、自治体によって異なりますが、生活保護以外の自立支援制度もあるため、それらを活用すれば解決するケースも考えられます。
前記のとおり、生活保護の相談をしたらすぐ親族に問い合わせがいくわけではありません。生活が苦しいと感じているのであれば、国が用意している相談窓口や制度を活用するとよいでしょう。
まとめ
今回は、母親に生活保護をすすめたら「親戚みんなに連絡がいくから嫌だ」と拒否されたケースを取り上げました。扶養照会は、必ずおこなわれるわけではありません。「生活保護を受けているとバレたらみっともない」という気持ちも分かりますが、生活が苦しいのであれば一度相談することをおすすめします。
厚生労働省では、「生活保護の申請は国民の権利です」としています。生活が苦しいと感じている場合は、ためらわずに相談してみましょう。
出典
厚生労働省 生活保護制度
厚生労働省 生活保護の被保護者調査(令和7年9月分概数)の結果を公表します
執筆者 : 藤岡豊
2級ファイナンシャル・プランニング技能士
