駐輪場で「ラックギリギリ手前」に停める“不正駐輪”を発見! 駐輪代200円ケチってるのを、善意で「ラックに押し込む」のは問題ない? どかして“自分の自転車”を停めるとトラブルになるでしょうか?
また、見かねて勝手にラックへ押し込んだり、どかして自分の自転車を停めたりしても大丈夫なのかも気になるところです。
本記事で、不正駐輪にまつわる法的リスクと正しい対処法を一緒に確認していきましょう。
1級ファイナンシャル・プランニング技能士・CFP
ラックにわざと入れない「不正駐輪」は法的にどんな問題がある?
筆者の実体験では、そうした実例にはこれまで出会ったことがありません。まれにラックに入っていない自転車があっても、たまたま外れたのだろうと思っていましたし、自身でもそういう悪事を働こうなどとは夢にも思いませんでした。
しかしSNSでは、意図的にロックを避けて駐輪する行為がたびたび話題になっています。では、この行為にはどのような法的問題があるのでしょうか。
民事上の責任―不当利得・不法行為にあたる可能性
有料駐輪場では、自転車をラックの奥まで入れるとロックがかかり、解除時に料金を支払う仕組みが一般的です。ロック部分に自転車を入れないと利用契約そのものが成立しないとされていますが、だからといって「契約が成立していないから無料で使える」わけではありません。
スペースを占有して料金の支払いを免れる行為は、民法上の「不当利得」(民法703条)や「不法行為」(民法709条)に該当する可能性があります。つまり、ロックがかかっていなくても、利用した時間分の駐輪料金相当額を支払う義務が生じるのです。
刑事上の責任―悪質なら業務妨害罪も視野に
では、刑事責任についてはどうでしょうか。駐輪スペースの利用は、「サービス(利益)」にあたるため、有形の財物を盗む窃盗罪は成立しません。また、無人の駐輪場では係員をだます行為が伴わないことから、詐欺罪も成立しないと考えられます。
ただし、この行為を常習的に繰り返すような悪質なケースでは話が変わります。駐輪場の運営を妨げる行為として、業務妨害罪(刑法233条、234条)で刑事告訴される可能性もゼロではありません。
不正駐輪の自転車を勝手にラックへ押し込んでもいい?
ラックの手前に停められている自転車を見つけたとき、「ちゃんと入れてあげよう」と思う人もいるかもしれません。この行為は法的に問題になるのでしょうか。
弁護士の見解によると、ラックに入っていない自転車を押し込む行為は「不法な状態を是正する行為」にあたるため、法的には問題ないと考えられるとのことです。
とはいえ、法的に問題がないからといって安心とは限りません。他人の自転車に触れることで、「勝手に触るな」などとトラブルになる可能性は十分にあります。
不正駐輪の自転車をどかして自分が停めるのはアリ?
では、不正駐輪の自転車をどかし、空いたラックに自分の自転車を停める行為はどうでしょうか。
「自力救済の禁止」の原則を知っておこう
日本の法律には、「自力救済の禁止」という原則があります。これは、たとえ権利を侵害されていても、裁判所などの法的手続きを通さずに実力で権利を回復してはならないというルールです。
不正駐輪の自転車であっても、勝手にどかす行為は器物損壊罪や窃盗罪に問われるリスクがあります。「相手が悪いのだから自分は正しい」と考えて行動すると、逆に自分がトラブルの当事者になってしまう可能性があるのです。
不正駐輪を見つけたときの正しい対処法
不正駐輪を見つけた場合は、駐輪場の管理会社や運営元に連絡するのが最も安全な方法です。管理会社の連絡先は、多くの場合駐輪場内の看板や精算機付近に掲示されています。
管理者側であれば利用規約にもとづいて対応できるため、利用者個人が動くよりもスムーズに解決できるでしょう。それでも改善されない場合は、警察への相談も選択肢の1つです。
まとめ
有料駐輪場でロックを避けて停める行為は、民法上の不当利得や不法行為にあたる可能性があり、悪質な場合は刑事責任を問われることもあります。
一方、不正駐輪の自転車を勝手にラックに押し込む行為は、「不法な状態の是正」として法的には問題ないとする見解がありますが、トラブルを避けるなら管理会社への連絡が最善です。正しい知識を持って、気持ちよく駐輪場を利用しましょう。
執筆者 : よし・こう
1級ファイナンシャル・プランニング技能士・CFP
