「隣の家の木の枝」が伸びてきて邪魔! 業者に「3万円」払って勝手に切除したら、隣人から損害賠償を請求される? トラブルを回避する“新ルール”とは

配信日: 2026.05.30
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「隣の家の木の枝」が伸びてきて邪魔! 業者に「3万円」払って勝手に切除したら、隣人から損害賠償を請求される? トラブルを回避する“新ルール”とは
初夏から夏にかけて気温が上がると庭木の成長が早まり、隣家からの「枝の越境」に関するトラブルが増える傾向があります。長年にわたって放置された状態が積み重なり、持ち家住宅街では深刻な問題に発展するケースも少なくありません。
 
以前は越境した隣家の枝を自分で切除することは法律上認められていませんでしたが、民法改正により一定の条件を満たせば自ら切除できるルールが整備されました。本記事では、法的な留意点や費用の問題を解説します。
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かつては「器物損壊」のリスクも存在した越境トラブルの実態

隣家の木の枝が境界線を越えて自分の敷地内に入り込んでくる問題は、住宅街において昔から見られるご近所トラブルのひとつです。旧民法では、木の根が越境してきた場合は自ら切り取ることが認められていた一方で、枝については勝手に切除することが禁じられていました。
 
そのため、相手方に切除を求めても無視され続ける事態が多く発生し、再三の要請を無視された側が耐えかねて枝を切った途端に「勝手に木を切られた」と苦情を申し立てられ、器物損壊や損害賠償を主張される事例も見られました。
 
被害者側が行動に出ると、かえって法的に不利な立場に置かれるという理不尽な状況が続いていたのです。
 

民法改正により導入された「自ら切除できる」新ルールの条件

こうした不合理な状況を改善するために民法が改正され、2023年(令和5年)4月1日に新しいルールが施行されました(民法第233条)。自ら切除が可能となるのは、以下の3つの要件のいずれかに該当する場合です。
 

1. 竹木の所有者に枝の切除を催告したにもかかわらず、相当の期間内(事案によりますが一般的に2週間程度とされています)に切除が行われなかったとき
2. 竹木の所有者やその所在を確認できないとき
3. 急迫の事情があるとき(台風により枝が折れて家屋に被害が及ぶおそれがあるなど)

 
以上の要件のいずれかを満たした場合には、越境された土地の所有者が自ら、あるいは業者に依頼して枝を切除することが法的に認められています。
 

業者代金「3万円」の費用負担と回収における現実的な課題

自ら切除することが認められるようになった一方で、新たに浮上するのが「費用負担」の問題です。高い場所にある枝を安全に切除するには、専門業者への依頼が一般的です。出張費・剪定費・枝の処分費などを合わせると、おおむね3万円前後の費用が発生するケースも見られます。
 
枝の切除にかかった適正な費用は、不当利得(民法第703条)や不法行為(同第709条)の規定に基づき、本来切除義務を負っていた木の所有者に請求できると考えられています。
 
ただし、実際に3万円を請求しても相手方がすんなり応じるとは限りません。再三の要請を無視するような相手であれば、新たな金銭トラブルに発展する可能性も残ります。
 

トラブルを防ぎ法的手続きを進めるための証拠保全

適法に枝を切除し、費用請求などをスムーズに行うためには、客観的な証拠を残す手順を踏むことが大切です。「相当の期間を定めて催告した」事実を証明するには、口頭や普通郵便だけでは不十分なケースがあります。
 
具体的には、いつ・誰が・どのような要請を行ったかを公的に証明できる「内容証明郵便」を活用した催告が有効とされています。また、枝がどの程度越境していたか、切除前後の状態はどうだったかを示す日付入りの写真を保存しておくことも大切です。
 
手続きを適正に踏んだ記録を残しておくことで、後日不当な苦情を申し立てられた場合や費用を請求する場面で、客観的な根拠として活用できます。
 

新ルールを正しく理解して、冷静な対応でトラブルを回避しよう

初夏から目立つ庭木の越境問題は、2023年施行の民法改正によって、一定の条件を満たせば、隣家の木の枝であっても自ら切除することが可能になりました。
 
ただし、行動を起こす際には感情的な対立を避けるためにも、客観的な記録を残しながら慎重に手続きを進める必要があります。業者に支払った費用の請求についても、法的根拠を理解した上で冷静に対応することが求められます。
 
ご近所トラブルは心理的な負担が大きいため、法律の仕組みを把握し、必要に応じて専門家に相談するなどし、事態が深刻化する前に適正な手続きで解決を図るようにしましょう。
 

出典

法務省 令和3年民法・不動産登記法改正、相続土地国庫帰属法のポイント(相隣関係規定の見直し)
神戸市 越境した木の枝の切り取りルール【2023年4月改正】
民法 | e-Gov 法令検索 第七百三条(不当利得の返還義務)
民法 | e-Gov 法令検索 第七百九条(不法行為による損害賠償)
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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