年金暮らしの母が、訪問販売で「30万円」の浄水器を契約してしまいました…。本人は「断れなかった」と言っていますが、支払い後でも契約を解除できるのでしょうか?
しかし、訪問販売においては支払い後であっても一定の対応によって契約を解除できる場合もあります。今回は、親族が訪問販売で不必要な契約してしまった場合の対応について、浄水器の契約を例に解説します。
行政書士
◆お問い合わせはこちら
https://www.secure-cloud.jp/sf/1611279407LKVRaLQD/
2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。
まずはクーリング・オフの検討を
自宅に業者が突然訪ねて来て、高齢になった母親に対して浄水器を契約させたという場合においてまず検討したいのは、クーリング・オフです。
このような場合、訪ねてきた業者の販売方法はいわゆる訪問販売に当たると考えられます。訪問販売によって契約(つまりは販売)した場合、申込書面または契約書面のいずれか早い方を受け取った日から数えて8日以内であれば、書面または電子メールなどの電磁的記録によりクーリング・オフができると特定商取引法により定められています。
つまり、書面で何も受け取っていなければ、いつまでもクーリング・オフできるというわけです。加えて、クーリング・オフは、すでに商品を受け取っていても利用が可能で、さらにはクーリング・オフにかかる返品費用は業者が負担することになっています。
過去には8年前の契約を取り下げるのに10万円という高額な取り下げ費用を請求されたようなケースも報告されていますが、こういった場合であっても、基本的には1円も費用を負担する必要はありません。
また、クーリング・オフは購入者を保護する制度ですので、仮に購入した商品がすでに使用済みでも対価を支払う必要はなく、速やかに全額を返してもらえるとされています。
そのため、高齢の親が「もうお金を払ってしまった、あるいは使ってしまったから仕方ない」と思い込んでいても、訪問販売のクーリング・オフでは関係ありません。今回の購入が訪問販売に当たるか、契約書面をいつ受け取ったか、そして8日を過ぎていないかどうかの3点が重要です。
ただし、化粧品など消耗品については、消費してしまった部分はクーリング・オフできないことが原則ですのでご注意ください。
8日を過ぎても、申し込みの撤回や解除ができる余地はある
とはいえ、実家を離れて親と会うのは数ヶ月に1回というような場合、すでに8日の期限を過ぎていることも少なくないでしょう。その場合でも、すぐにあきらめる必要はありません。
事業者がクーリング・オフについて事実と異なる説明をしたり、威迫してクーリング・オフを妨げたりした場合には、8日を経過していてもクーリング・オフができる可能性があります。必要に応じて、一度最寄りの消費生活センターへ相談をしてみるとよいでしょう。
そもそも正常な判断ができない場合の契約は無効
あらゆる契約においては意思能力・判断能力が必要とされています。特に高齢者は加齢や病気などでその意思能力や判断能力が低下しているケースがあり、契約に際して物事が正常に判断できていないこともあります。
例えば、認知症を発症している方などがその代表例です。そういった場合は、医師の診察を受けるなどして契約当時の意思能力・判断能力を証明することで、契約を取り消すことができる可能性があります。
とはいえ、それを個人で行うことは難しい場合もあります。消費生活センターや、場合によっては弁護士に相談をすることを検討するのもよいでしょう。
まとめ
年金暮らしの母親が訪問販売で30万円という高額な浄水器を契約してしまっても、代金を支払い済みだから解約できない、というわけではありません。訪問販売では、申込書面または契約書面のいずれか早い方を受け取った日から8日以内はクーリング・オフができ、商品を使用済みでも原則全額の返金を受けられます。
万一8日を過ぎても、クーリング・オフ妨害、過量販売、不実告知、判断力低下につけ込んだ勧誘などがあれば、解除や取り消しを検討できる余地があります。
高齢者に対する訪問販売は事後であっても対応策が多く用意されています。あきらめず、制度を確認し、必要に応じてまずは自治体の相談窓口や消費生活センター、または弁護士などに相談をするのも検討してみてください。
出典
独立行政法人国民生活センター 60歳以上の消費者トラブルが40万件を突破!
独立行政法人国民生活センター クーリング・オフ
執筆者 : 柘植輝
行政書士

