10年ぶりに「高校時代の友人」から連絡が!→当日会ったら「マルチの勧誘」でショック…“騙されるような人”じゃなかったのに、なぜ「あり得ない話」を信じてしまったの? 洗脳される“巧妙な仕掛け”

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10年ぶりに「高校時代の友人」から連絡が!→当日会ったら「マルチの勧誘」でショック…“騙されるような人”じゃなかったのに、なぜ「あり得ない話」を信じてしまったの? 洗脳される“巧妙な仕掛け”
マルチ商法は利益を得られる人が限られやすく、トラブルにつながりやすい取引形態です。常識ある人なら理解しているはずです。
 
その常識人がなぜマルチにハマってしまうのでしょうか。この記事でその仕掛けを解き明かします。社会経験のある30代・40代であっても、心理的な仕掛けによって信じ込んでしまうことがあるのです。マルチ商法にハマってしまう、恐ろしい心理メカニズムに迫ります。
 
そのうえで、マルチ勧誘への接し方、断り方も解説します。被害を拡大させない必須の知識です。
玉上信明

社会保険労務士、健康経営エキスパートアドバイザー

マルチ商法とは何か、なぜ問題なのか

マルチ商法とは、個人を販売員(会員)として勧誘し、さらにその会員に次の会員の勧誘をさせるという形で、販売組織を連鎖的に拡大して行う商品(権利)・役務の取引のことです。
 
会員は新たな会員を増やすことで「紹介料などの収益を得られる」と勧誘されることがあります。しかし会員を連鎖的に増やす仕組みには限界があり、利益を得られる人は一部に限られやすい点が問題とされています。
 
法律上は「名目を問わず、何らかの金銭負担を伴う取引」が対象となり、書面交付や禁止行為、クーリング・オフなどの規制が設けられています。
 
最近は、「モノ」ではなく、投資ノウハウや副業コンサルなど目に見えないサービスを扱う「モノなしマルチ」に関する相談も目立っています。一見すると「最先端のビジネス」に見えるため、予備知識のない人が見抜くのは容易ではありません。
 

常識ある30代がマルチ商法を信じてしまう巧妙な仕掛け

では、なぜ社会経験があり論理的な思考ができるはずのビジネスパーソンが、この仕組みを信じてしまうのでしょうか。
 
30代前後は、同期の出世や結婚など、周囲とのライフステージの格差が目につき「このままでいいのか」とキャリアの壁を感じやすい時期です。かつ自分の論理的な思考力に自信をもっています。「自分は騙されない」という過信がある人ほど陥りやすい巧みなテクニックが繰り出されるのです。
 

人間の本来の意思決定システム(ビリーフシステム)の入れ替え

人間はもともと意思決定のためのシステム(ビリーフシステム)を持っています。それをマルチ勧誘者は次のように入れ替えていきます。特に、自分は騙されない、論理的思考力に優れている、と考える人ほど「自分が確信できた以上は間違いがない」とかたくなになってしまいます。
 

1. 理想:この商法を活用してビジネスで成功できる。高い評価を受けることができる。
2. 自己:今の自分は駄目だが、才能があるからきっとできる。今はもうかっていないが、きっとやりきれる。
3. 目標:今の勧誘目標を実現すれば、一段ともうかることができる。
4. 因果:この仕組みは理にかなったもうかる商法だ。誰もやっていなかった新しい手法だ。
5. 権威:仲間やリーダーは正しいし、批判する人たちは無知だ。何も知らずに批判している人たちの話を聞いても仕方がない。

 

マインドコントロールの6つのステップ

さらに、マルチ商法の勧誘では、次のような段階を経て、相手を信じ込ませる手法が用いられることがあります。
 
1. .対話の基盤づくり
幼なじみや同じサークルなどの信頼している友人からの勧誘(返報性と好意性)
 
2. 未解決な問題
「今のままでよいのか」と焦りを生ませ(欲求の扇動と恐怖の喚起)、さらに夢をあおられ、「今変われば、夢を実現できる」と思わせる。
 
3. 鮮やかな解決
「理想的な自分」を実現する方法が提示されます。
 
4. 思想を体系的に確信させる
成功者の事例や、多数の人々が参加する様子を見て安心させられる。これだけ多くの人がもうかっている、心配いらない、と思わせるのです。
 
5. 日常的に実践させる
成功する兆しを見せて現実感を醸成、継続的な努力を恒常化させます。
 
6. 後戻りできない環境
経済的・社会的資源を放棄させて、元の環境に戻れなくする(例えば、会社を退職、離婚など)。
 

マルチの勧誘の断り方と注意点

友人からの話がマルチ商法かもしれないと思ったら、どうすべきでしょうか。
 
「話だけは聞いてみよう、後で断ればよい」は禁物です。相手は勧誘のプロです。話を聞くうちに、断り切れなくなります。「一生懸命話してくれる。断るのは悪い」等という心理に陥ります。社会経験のある人ほど、相手を傷つけたくないという配慮が働いてしまいます。
 
「お金がない」「忙しい」といった理由は効果がありません。勧誘のプロは「お金がないなら借金すればよい」「忙しくてこの大切なチャンスを逃すの?」等と巧みにもちかけてきます。
 
「興味がないので、契約しません」などと、理由を述べずに毅然と断ります。相手に理解と納得を求める必要はないのです。毅然と断ったことで相手が態度を急変させるなら、その相手は、もはやあなたの「友人」ではなく、組織の「勧誘員」に変貌しているのです。
 
万一断り切れずに契約してしまった場合は、一人で抱え込まずに消費者ホットライン「188」へすぐに相談してください。脅迫・監禁などで身の危険を感じたら、躊躇せず警察に通報しましょう。
 

まとめ

30代前後のビジネスパーソンにとって、成長意欲や人脈を大切にすることは素晴らしい強みです。
 
しかし、悪質なマルチ商法は、まさにその「前向きなビジネスマインド」を悪用してくるのです。「自分は騙されない」という過信は捨てましょう。人間の心理的弱さを知ることこそが、大切なキャリアと人間関係を守る最大の防御策です。
 

出典

消費者庁 連鎖販売取引
東京弁護士会 「マルチ商法」解説ページ
 
執筆者 : 玉上信明
社会保険労務士、健康経営エキスパートアドバイザー

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