子どもが就職して「公営住宅」の“収入基準”をオーバー!収入超過者と認定されると家賃が2倍になることも? 同居を続けるか、独立してもらうかで迷います。公営住宅のルールを確認!
ただし、上がる金額は全国一律ではありません。自治体、住宅の条件、世帯の所得、収入超過者に該当するかどうかによって変わります。まずは、収入申告の内容と自治体の家賃計算を確認しましょう。
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公営住宅の家賃は世帯収入をもとに見直される
公営住宅は、住宅に困っている低額所得者に、低い家賃で住まいを提供する制度です。そのため、入居後も毎年、収入申告を行い、世帯の所得に応じて家賃が決まります。
ここで注意したいのは、家賃計算で見るのは入居名義人だけの収入ではないことです。同居している家族の所得も含めて判断されます。子どもが就職して同居を続ける場合、その子どもの給与所得も世帯収入に含まれる可能性があります。
世帯収入が増えると、家賃区分が上がり、翌年度以降の家賃が高くなることがあります。さらに、一定の基準を超えると収入超過者と認定される場合があります。
収入超過者になると、通常の家賃より負担が増え、近傍同種家賃に段階的に近づくような計算になります。(図1)
近傍同種家賃とは簡単にいえば、その住宅の立地や広さ、建物の状態などを考えた「本来の家賃」に近い金額です。
図1
※出典:国土交通省住宅局 公営住宅制度の概要について
ただし、子どもの額面年収だけを見てすぐ判断するのは危険です。公営住宅の収入判定では、給与収入から一定の控除を行った所得や、扶養親族の有無などが関係します。(図2)
実際の判定は自治体に確認するのが確実です。「12で除した」とは加減乗除の「除」で、「÷12(か月)」で月収に換算するということです。
図2
※出典:国土交通省住宅局 公営住宅制度の概要について
家賃がいくら上がるかは自治体と住宅ごとに異なる
「収入基準を超えたら家賃はいくら上がるのか」は、多くの人が気になる点です。しかし、具体的な上昇額は一律ではありません。公営住宅の家賃は、世帯収入だけでなく、住宅の広さ、築年数、立地、設備なども反映して決まるためです。
立地について見てみます。家賃を左右する大きな要因に、地域の地価を反映する「市町村立地係数」があります。この係数は0.7から1.6の範囲で国が定めています。
具体例を挙げると、最も高いのは東京都千代田区の1.60で、次いで港区が1.50です。名古屋市や川崎市、京都市などの主要都市は1.10で、福島市は0.90、四万十市は0.75、係数リストにない多くの町村は最低値の0.70となります。
図3
※出典:国土交通省 公営住宅制度について
図3にあるように、公営住宅の家賃は、世帯所得に応じた「家賃算定基礎額」に、立地・規模・経過年数・利便性の4つの係数を掛け合わせて算出します。立地係数はこの計算式の一つで、地域の地価水準を直接家賃に反映させます。そのため、同じ所得や広さの住宅でも、住む街の係数次第で家賃額に大きな差が生まれる仕組みです。
収入超過者と認定されると、この家賃に段階的な金額が上乗せされることは前述のとおりです。一方で、高額所得者と認定された場合、明渡し請求の対象となる上に、明渡しまでの間は近傍同種家賃に近い、またはそれに基づく高い家賃が求められることがあり、それは民間家賃と同等か、ときに2倍近くとなることもあります。
同居を続けるか独立するかも家族で話し合う
子どもが就職して収入が増えた場合、同居を続けるか、独立するかも家計に大きく関わります。子どもが同居を続けると、世帯収入が上がり、公営住宅の家賃も上がる可能性があります。一方で、家に生活費を入れてもらえれば、家計全体では助かる場合もあります。
たとえば、家賃が月2万円上がっても、子どもが毎月5万円を家に入れるなら、世帯全体ではプラスになるかもしれません。反対に、家賃が大きく上がり、将来的に収入超過者や高額所得者として住み替えを求められる可能性があるなら、独立を考える時期かもしれません。
子どもの収入を理由に公営住宅の負担が増えることを、親だけで抱え込む必要はありません。就職した子どもにも、家賃や光熱費、食費の一部を負担してもらう話し合いが必要です。
また、同居家族を変更する場合は、自治体への届出や承認が必要なことがあります。勝手に住民票だけを動かしたり、実際の居住状況と申告内容を変えたりするとトラブルになります。正しい手続きを確認しましょう。
まとめ
子どもが就職して世帯年収が増えると、公営住宅の家賃が上がる可能性があります。公営住宅の家賃は、入居名義人だけでなく、同居家族の所得も含めて判断されるためです。
ただし、家賃がどれくらい上がるかは、自治体、住宅の条件、世帯所得、収入区分によって異なります。収入超過者になると、近傍同種家賃を基準に負担が増えることがありますが、すぐに一律で民間並みになるとは限りません。
まずは自治体の住宅管理窓口に、来年度の家賃見込みを確認しましょう。そのうえで、子どもが家に入れる生活費、将来の独立、家族全体の家計を話し合うことが大切です。収入が増えること自体は悪いことではありません。制度を正しく理解すれば、慌てずに住まいと家計の方針を決められます。
出典
国土交通省住宅局 公営住宅制度の概要について
国土交通省 都道府県別 市町村立地係数
国土交通省 公営住宅制度について
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー




