公営住宅の隣人曰く「パート収入が増えたら、収入超過者になるかも」とのこと。収入が増えたら“明渡義務”が発生するのでしょうか?また場合によっては“明渡し請求”の対象になるのでしょうか?
ただし、収入基準を少し超えたからといって、すぐに強制退去になるわけではありません。公営住宅は低額所得者向けの住宅であるため、収入が増えた場合には、家賃や住み替えについて段階的に対応する仕組みがあります。
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収入超過者になると家賃が上がる可能性がある
公営住宅の家賃は、世帯の収入や住宅の広さ、立地、築年数などをもとに計算されます。民間の賃貸住宅より安い家賃で住めるのは、住宅に困っている低額所得者を支える制度だからです。
そのため、入居後に収入が増え、一定の基準を超えると「収入超過者」と認定されることがあります。国土交通省の通知でも、公営住宅は住宅に困窮する低額所得者に低廉な家賃で供給する目的の住宅であり、その趣旨から収入超過者や高額所得者に対する措置が定められていると説明されています。
ここで確認しておきたいことは「入居者は、引き続き3年以上入居している場合において政令で定める基準を超える収入のあるときは、公営住宅を明け渡すよう努めなければならない。」(国土交通省住宅局 「公営住宅制度の概要について」)と明記されていることです。
つまり、入居後すぐの増収ならまだ該当しません。そして、3年以上の入居状況であっても、「明渡努力義務」であり「明渡し請求」ではないという点を理解しておきましょう。
収入超過者になると、「明渡努力義務」とともに、本来の入居者よりも高い割増家賃が課せられ、 これまでの家賃より高くなる可能性があります。家賃は急に民間並みになるとは限らず、収入や入居年数などに応じて見直されます。実際の金額は、自治体の条例や住宅の条件によって異なります。
まずは、自治体から届いた収入申告や認定通知を確認しましょう。分からない場合は、住宅管理課や公営住宅の管理窓口で「どの収入で判定されたのか」「来年度の家賃はいくらになる見込みか」を聞くことが大切です。
収入超過者でもすぐ退去になるとは限らない
前述のとおり、収入超過者になっただけで直ちに退去を迫られるわけではありません。収入超過者には、公営住宅を明け渡すよう努める義務が生じます。
これは「すぐに出て行かなければならない」という意味ではなく、収入状況に応じて民間賃貸や別の住宅への住み替えを考える必要があるということです。国土交通省の通知でも、収入超過者には明渡し努力義務を喚起すること、高額所得者には明渡し請求の対象となることを十分認識させるよう示されています。
つまり、収入超過者と高額所得者では扱いが違います。収入超過者は家賃が上がり、住み替えを促される段階です。一方、高額所得者に該当すると、明渡し請求の対象になる可能性が高くなります。
パート収入が少し増えた程度で不安になりすぎる必要はありません。ただし、収入申告をしない、虚偽の申告をする、通知を無視するのはよくありません。正しく申告し、分からないことは窓口に確認しましょう。
家賃上昇に備えて手取りと働き方を確認する
パート収入が増えると、家計にはプラスになる一方で、公営住宅の家賃、税金、社会保険料などに影響することがあります。収入が増えた分より家賃上昇や負担増が大きいと感じることもあるかもしれません。
まず、世帯全体の収入を整理しましょう。公営住宅の収入判定では、本人だけでなく同居する家族の所得も関係します。パート収入の額面だけでなく、給与所得控除後の所得や家族構成、扶養状況も関わるため、自分で簡単に判断しにくい場合があります。
自治体の窓口では、収入申告書をもとに家賃の見込みを確認できることがあります。来年度どのくらい家賃が上がるのかを早めに知れば、働き方を考えやすくなります。
ただし、家賃が上がるのを避けるためだけに、必要以上に仕事を減らすのがよいとは限りません。将来の年金、貯蓄、子どもの教育費、老後資金を考えると、収入が増えること自体は大きなメリットです。家賃の上昇だけでなく、手取り全体で判断しましょう。
まとめ
公営住宅でパート収入が増え、収入超過者になると、家賃が上がる可能性があります。公営住宅は低額所得者向けの住宅であるため、収入が増えた世帯には、より適正な家賃負担が求められる仕組みになっています。
ただし、収入超過者になったからといって、すぐ退去になるとは限りません。入居して3年が過ぎている収入超過者には明渡し努力義務がありますが、直ちに強制退去という意味ではありません。高額所得者に該当すると明渡し請求の対象になりやすいため、そこは区別して考えましょう。
まずは、自治体の通知内容を確認し、来年度の家賃見込みを窓口で相談することが大切です。収入が増えることは、家計を安定させる面もあります。家賃だけを見て不安になるのではなく、手取りや将来の生活も含めて働き方を考えましょう。
出典
国土交通省住宅局 公営住宅制度の概要について
国土交通省 公営住宅制度の概要
執筆者:FINANCIAL FIELD
編集部ファイナンシャルプランナー

