大学生の子どもがいます。我が家は多子世帯に該当し、授業料が減免されています。卒業後は大学院に進学予定ですが、大学院も授業料の減免のまま進学できるのでしょうか?

配信日:
この記事は約 4 分で読めます。
大学生の子どもがいます。我が家は多子世帯に該当し、授業料が減免されています。卒業後は大学院に進学予定ですが、大学院も授業料の減免のまま進学できるのでしょうか?
令和7年度から高等教育の修学支援新制度拡充がされ、子どもを3人以上扶養している『多子世帯』の学部生は、世帯の所得制限なく授業料等減免を受けることができるようになりました。では、多子世帯の学部生が大学院に進学する場合、大学院でも授業料の減免を受けられるのでしょうか。
林智慮

CFP(R)認定者

確定拠出年金相談ねっと認定FP
大学(工学部)卒業後、橋梁設計の会社で設計業務に携わる。結婚で専業主婦となるが夫の独立を機に経理・総務に転身。事業と家庭のファイナンシャル・プランナーとなる。コーチング資格も習得し、金銭面だけでなく心の面からも「幸せに生きる」サポートをしている。4人の子の母。保険や金融商品を売らない独立系ファイナンシャル・プランナー。

高等教育の修学支援新制度、大学院生は対象にならない

2020年から始まった高等教育の修学支援新制度は、経済的理由で大学や専門学校への進学を諦めないよう、住民税非課税世帯とそれに準ずる世帯の学生に給付奨学金と授業料減免を支援する制度です。
 
それに加え、多子世帯の授業料減免と給付型奨学金の範囲の拡充、私学理工農系学科の学生への文系との授業料差額分支援と、制度が拡充してきました。
 
しかし、大学院生は高等教育の修学支援新制度の対象外です。大学院への進学は18歳人口の5.5%であること、短大や専門学校で稼ぐ力を身につけている者が一定数いることから、バランスを取るため大学院生は高等教育の修学支援新制度の対象とならないのです。
 

授業料後払い制度

それでは、大学院生に何か支援制度はあるのでしょうか。
 
修士課程相当(修士課程、博士前期課程、専門職大学院、一貫性博士課程前期相当分)でのみ利用できる制度に、『授業料後払い制度』(令和6年秋以降)があります。授業料支援金と生活費奨学金を無利子で貸与する制度です。
 
授業料支援金は日本学生支援機構が大学に授業料相当額を立替払いするため、授業料のためにまとまった資金を用意する負担を減らせます。
 
卒業後に貸与奨学金として返還が必要です。授業料後払い制度を利用した場合の返還方法は、所得により返還額を見直す『所得連動返還方式』になり、機関保証を利用するため保証料が必要になります。
 
また、授業料後払い支援金額には上限(年間・国公立53万5800円、私立77万6000円)があります。支援金額が授業料に不足する場合は、別途授業料の納付が必要になります。授業料後払い制度を利用する場合の授業料の納付方法については、進学予定の大学院に確認してください。
 

特に優れた業績による返還免除制度

修士課程等だけが利用できる『授業料後払い制度』ですが、卒業後に返還しなければなりません。しかし、奨学金の全額または半額を返還免除できる制度があります。『特に優れた業績による返還免除制度』です。
 
貸与を受けた学生は、貸与終了時に「業績優秀者返還免除申請書」を、業績を証明する資料等を添えて大学に申請します。申請を受けた大学は、業績の評価を行い、日本学生支援機構に推薦をします。推薦を受けた日本学生支援機構は認定委員会で審議をして、返還免除者を決定します。
 
学位論文その他の研究論文の他、発明や授業科目の成績、ボランティア活動などの社会貢献活動等、内容は多岐に渡ります。
 
『特に優れた業績による返還免除制度』には、入学前に手続きする「返還免除内定制度」があります。優秀で経済的に困難な学部生に修士課程への修学の経済的不安を早期に解消して進学へのインセンティブを高める目的のものです。
 
内定制度を利用できるのは、

(1)大学学部等において高等教育の修学支援新制度を利用していること、または非課税世帯であること
 
(2)科学技術イノベーション創出に寄与する分野(情報・AI、量子、マテリアル等)または大学の強みや地域の強み等を活かした分野への進学を希望していること。
 
(3)将来上記(2)の分野における研究能力、または高度の専門性を要する職業等に必要な高度の能力を備えて活動することができると認められる人

(引用:日本学英支援機構〔修士・専門職〕特に優れた業績による返還免除内定制度のご案内 より)
 
この場合も、貸与終了時に「業績優秀者返還免除申請書」を貸与終了時に提出します。内定後も、年に1回の中間評価があり、成績不振の場合は内定を取り消される場合があります。
 
その他、『特に優れた業績による返還免除制度』には、教員になった者に対する奨学金の免除制度があります。
 
特に優れた成績を上げたと認められる人で、教職大学院または教職課程認定の大学院を一定の条件で修了して、教員採用試験に合格し正規教員となる予定の方が申請できます。その後、教員として在籍していることや要件を満たしていることが確認できれば、大学院の貸与分は全額免除になります。
 

まとめ

大学院生修士課程等は高等教育の修学支援線制度の対象ではありませんが、『授業料後払い制度』『特に優れた業績による返還免除制度』といった経済的負担を軽減できる制度があります。制度の詳細については、日本学生支援機構にお問い合わせください
 

出典

文部科学省 高等教育の修学支援新制度
日本学生支援機構 2026年度入学者用貸与奨学金案内(大学院予約)全体版
日本学生支援機構 令和8年3月版_新制度に係る質問と回答(Q&A)
日本学生支援機構 〔修士・専門職〕特に優れた業績による返還免除内定制度のご案内
 
執筆者 : 林智慮
CFP(R)認定者

  • line
  • hatebu

LINE