『予防接種法改正案』が通れば「単クローン抗体医薬品」も公費で受けられるようになるって本当?将来的には「RSウイルス感染症」の予防も対象になる可能性も?
現在開会中の第221回国会では、「予防接種法の一部を改正する法律案」が審議されています。
この法案の行方や、2026年度以降のワクチンの変更点を知っておくことは、家族の健康だけでなく家計を守るうえでも大切です。今回は、予防接種の費用がどのように決まるのか、無料で受けられる期間を逃さないために何を確認すべきかを解説します。
ファイナンシャルプランナー
FinancialField編集部は、金融、経済に関する記事を、日々の暮らしにどのような影響を与えるかという視点で、お金の知識がない方でも理解できるようわかりやすく発信しています。
編集部のメンバーは、ファイナンシャルプランナーの資格取得者を中心に「お金や暮らし」に関する書籍・雑誌の編集経験者で構成され、企画立案から記事掲載まですべての工程に関わることで、読者目線のコンテンツを追求しています。
FinancialFieldの特徴は、ファイナンシャルプランナー、弁護士、税理士、宅地建物取引士、相続診断士、住宅ローンアドバイザー、DCプランナー、公認会計士、社会保険労務士、行政書士、投資アナリスト、キャリアコンサルタントなど150名以上の有資格者を執筆者・監修者として迎え、むずかしく感じられる年金や税金、相続、保険、ローンなどの話をわかりやすく発信している点です。
このように編集経験豊富なメンバーと金融や経済に精通した執筆者・監修者による執筆体制を築くことで、内容のわかりやすさはもちろんのこと、読み応えのあるコンテンツと確かな情報発信を実現しています。
私たちは、快適でより良い生活のアイデアを提供するお金のコンシェルジュを目指します。
予防接種法改正案で抗体製剤も使える可能性がある
現在、国会に提出されている予防接種法の一部を改正する法律案は、これからの予防接種の選択肢を広げる内容です。
これまで予防接種法に基づく接種では、原則としてワクチンが使われてきました。今回の改正案では、近年の医薬品技術の進歩を踏まえ、ワクチンと同じように長期間の免疫効果が期待できる単クローン抗体医薬品も、予防接種法に基づく接種で使えるようにすることが検討されています。
単クローン抗体医薬品とは、体の中で病原体に対抗する抗体を人工的に作った医薬品です。一般的なワクチンは、体に免疫を作らせることを目的にします。一方、抗体製剤は、外から抗体を補うことで感染や重症化を防ぐ働きが期待されます。
この改正案で念頭に置かれているものの一つが、乳幼児で重症化しやすいRSウイルス感染症への対応です。RSウイルスは、多くの子どもがかかる感染症ですが、乳児や持病のある子どもでは重症化することがあります。
もし法案が成立し、今後の審議会で対象として認められれば、RSウイルス感染症の予防に抗体製剤が定期接種のような形で使われる可能性があります。これまで費用が高かったり、対象が限られていたりした予防薬が、公費で受けられるようになれば、子育て世帯にとって大きな安心材料になります。
定期接種と任意接種で家計負担は大きく変わる
予防接種にかかる費用は、そのワクチンが定期接種か任意接種かによって大きく変わります。
定期接種とは、予防接種法に基づいて実施される接種です。特に子どもの定期接種には、麻しん・風しん、水痘、日本脳炎、ヒブ、小児用肺炎球菌、B型肝炎、ロタウイルスなどがあります。対象年齢や接種期間内に住んでいる市区町村で受ければ、公費負担により無料で受けられることが多いです。
高齢者のインフルエンザや肺炎球菌などは、定期接種の中でもB類疾病に分類されます。こちらは全額無料ではなく、自治体の助成によって一部自己負担で受けるケースが一般的です。自己負担額は自治体によって違うため、住んでいる市区町村の案内を確認しましょう。
一方、任意接種は、本人や保護者が希望して受ける予防接種です。代表例には、流行性耳下腺炎、いわゆるおたふくかぜワクチンや、対象外の年齢で受けるインフルエンザワクチンなどがあります。任意接種は原則として全額自己負担です。
同じワクチンでも、対象年齢の中で受ければ無料、期限を過ぎると自費になることがあります。これが、予防接種費用で家計に差が出る大きなポイントです。
HPVワクチンは無料で受けられる期間に注意する
2026年度のワクチン事情で、家計の観点から特に注意したいのがHPVワクチンです。HPVワクチンは、子宮頸がんなどの原因となるヒトパピローマウイルスへの感染を防ぐためのワクチンです。
厚生労働省によると、HPVワクチンの定期接種の対象は、小学6年生から高校1年生相当の女子です。この対象期間内に接種すれば、公費で受けられます。
一方で、接種機会を逃した人向けに行われていたキャッチアップ接種は、一定の経過措置を経て終了しています。そのため、無料で受けられる年齢を過ぎてしまうと、任意接種として全額自己負担になる可能性があります。
HPVワクチンは、自費で受けると1回あたり数万円かかることがあります。ワクチンの種類や接種回数によっては、合計で数万円から10万円近い負担になるケースもあります。無料で受けられる時期を逃すと、家計への影響は小さくありません。
また、HPVワクチンは接種する年齢やワクチンの種類によって、2回または3回の接種が必要です。1回受ければ終わりではないため、対象期間の終わりぎりぎりに気づくと、スケジュールが間に合わないこともあります。対象年齢に近い子どもがいる家庭は、早めに母子健康手帳と自治体の案内を確認しましょう。
まとめ
予防接種は、家族の健康を守るために欠かせないものです。ただし、定期接種として公費で受けられるものと、任意接種として全額自己負担になるものでは、家計への影響が大きく違います。
現在審議されている予防接種法改正案では、ワクチンと同じように長期間の効果が期待できる単クローン抗体医薬品も、予防接種法に基づく接種で使えるようにする内容が盛り込まれています。将来的には、RSウイルス感染症の予防などで、公費負担の対象が広がる可能性があります。
一方で、今すぐ家庭でできる家計防衛は、無料で受けられる定期接種の期限を逃さないことです。HPVワクチン、MRワクチン、日本脳炎、二種混合などは、対象年齢や接種時期が決まっています。期限を過ぎると、数万円単位の自己負担になることもあります。
春休みや進級のタイミングで母子健康手帳を見直し、必要な予防接種が残っていないか確認しましょう。制度改正に期待しつつ、今使える公費負担を確実に活用することが、家族の命と家計を守る大切な備えになります。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

