町内会を退会したら、近所の人に「防犯灯の費用だけは払って」と言われました。会員でなくても負担する必要はあるのでしょうか?
一方で、防犯灯の電気代や維持費のように、地域住民が共通して利益を受ける費用については、会員でなくても一定の負担を求められる可能性があります。まずは、請求内容が何の費用なのかを確認しましょう。
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町内会費と防犯灯などの共益費は分けて考える
町内会を退会すると、通常の町内会活動には参加しないことになります。親睦行事、清掃活動、祭り、回覧板などに関わる町内会費については、退会した人に同じように支払いを求めるのは難しい場合があります。町内会は法律上、加入が義務づけられている団体ではないためです。
しかし、防犯灯の費用は少し性質が違います。防犯灯は、道路や通学路を明るくし、地域の安全に役立つものです。町内会の会員だけでなく、非会員の住民もその明るさや防犯効果を受けています。
白馬村が町村会弁護士へ相談した資料では、自治会は任意団体である一方、防犯灯などの共益施設について、未加入者も恩恵を受けているため、共益費のみの請求は可能とする考え方が示されています。また、防犯灯事業は周辺住人が便益を受けるため、不当利得を根拠に支払いを認めた判例が紹介されています。
つまり、「町内会費は払わないが、防犯灯など共通の利益を受ける費用は別」という考え方があります。請求された金額が、町内会全体の会費なのか、防犯灯の電気代や維持費だけなのかを確認することが大切です。
防犯灯の費用は自治体が負担している場合もある
防犯灯の費用負担は、地域によって異なります。町内会が設置や電気代を負担している地域もあれば、自治体が補助金を出している地域、自治体が直接管理している地域もあります。
そのため、近所の人から「防犯灯の費用を払って」と言われた場合でも、すぐに支払うのではなく、費用の内訳を確認しましょう。年間の防犯灯電気代、修理費、交換費、自治体からの補助額、世帯ごとの負担額が分かれば、妥当かどうか判断しやすくなります。
このように、地域の共用設備に関する費用は、「実際にどのような費用がかかっているのか」「1世帯当たりの負担額は妥当か」を確認することが重要です。
参考になる事例として、2025年の福井市の判決があります。この判決では、町内会を退会した住民に対するごみステーション利用料が争点となりました。裁判所は、利用料が妥当かどうかを判断するため、ごみステーションの維持・管理にかかる実際の費用を精査し、1世帯当たりの適正な負担額まで詳しく検討しています。
2025年の福井市の判決事例では、住民が「共通の利益を受ける費用」である、ごみステーションの利用について争われました。町内会を退会した住人は高額な利用料を求められましたが、どこまで支払うべきなのかを決めるために、1世帯当たりの負担に至るまで詳細な費用の確認が行われた事例です。
たとえば、町内会費が年間1万円で、その中に防犯灯費用、祭り、敬老会、親睦行事、寄付金などが含まれている場合、退会者に全額を求めるのは説明が難しいかもしれません。一方、防犯灯の電気代として1世帯あたり年間数百円から数千円の負担を求める形なら、共益費として理解しやすい場合があります。
また、自治体によっては、町内会未加入者の防犯灯費用負担について相談窓口を設けていることがあります。トラブルになりそうな場合は、市区町村の自治会担当、防犯担当、地域振興課などに相談してみましょう。
支払う場合も書面で内訳と範囲を確認する
防犯灯の費用だけを負担する場合でも、口約束で済ませると後でトラブルになることがあります。支払う前に、何の費用を、いくら、いつまで、どのように負担するのかを確認しましょう。
特に、「防犯灯費用だけ」と言われていたのに、後から他の町内会費や行事費まで求められると不満が生じます。会員ではない立場で支払うなら、共益費としての範囲を明確にすることが大切です。
支払いを拒否したい場合も、感情的に対立するのは避けたほうがよいでしょう。防犯灯は自宅周辺の安全にも関係します。地域で暮らし続ける以上、近隣関係を完全に切ることは難しいためです。まずは、「町内会には加入しませんが、防犯灯費用の内訳を見せてください」と伝えるとよいでしょう。
もし請求額が高すぎる、内訳が不明、支払わないと嫌がらせをされるなどの問題がある場合は、自治体や消費生活センター、法律相談を利用しましょう。町内会を退会したことを理由に、ゴミ出しを妨害する、回覧板以外の重要情報を知らせない、村八分のような扱いをすることは問題になる可能性があります。
まとめ
町内会は任意団体なので、退会した人に通常の町内会費をそのまま支払わせることは難しいと考えられます。しかし、防犯灯の電気代や維持費のように、地域住民が共通して利益を受ける費用については、会員でなくても一定の負担を求められる可能性があります。
大切なのは、請求されているお金が町内会費なのか、防犯灯などの共益費なのかを分けて考えることです。支払う場合も、金額の内訳、自治体補助の有無、負担する範囲を確認しましょう。
納得できない場合は、町内会だけでなく市区町村の担当窓口に相談するのがおすすめです。退会の自由はありますが、地域の安全に関わる費用は話し合いが必要になることがあります。感情的に対立せず、費用の根拠を確認しながら冷静に対応しましょう。
出典
白馬村 行政区運営の手引き
裁判所 令和7年4月16日判決言渡 令和5年(ワ)第273号 使用権確認請求事件
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

