姉から「生活保護を申請したらから扶養は断って」と連絡が! ウチは夫が「年収1000万円」ですが、扶養照会は“断って大丈夫”ですか? 実際「住宅ローン・教育費」などで余裕もありません…

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姉から「生活保護を申請したらから扶養は断って」と連絡が! ウチは夫が「年収1000万円」ですが、扶養照会は“断って大丈夫”ですか? 実際「住宅ローン・教育費」などで余裕もありません…
生活に困窮した人たちの最後のとりでともいえる「生活保護」ですが、基本的には生活保護を受ける前に、支援できる親族がいれば、その助け合いが優先となります。
 
もし、親族で生活保護を受けようとする人がいる場合、収入が安定している家庭に「扶養」の義務はあるのでしょうか。特に、自分や配偶者の収入が比較的高い場合、「年収1000万円あるなら援助できると思われるのでは」と不安になることもあるでしょう。
 
しかし、一見すると収入が多いように見えても、住宅ローンや教育費などが重なり、「実際には余裕がない」という家庭もあります。
 
親族の生活保護に対して「扶養照会」がされたら、必ず応じなければならないのでしょうか。また、親族から「断って」と頼まれた場合、どう考えればいいのでしょうか。本記事では生活保護制度と扶養照会の仕組み、援助を断ることは可能なのかについて解説します。
渡辺あい

ファイナンシャルプランナー2級

生活保護とは? 「扶養照会」って何?

生活保護とは、「生活保護法」に基づく制度で、病気や失業、高齢などさまざまな事情で生活が苦しくなった人に対し、国が最低限度の生活を保障する制度です。
 
ただし、生活保護は、「まず利用できる制度や資産、親族からの援助を優先する」という考え方があります。そのため、生活保護受給の申請があった場合は、「本当に親族からの援助が難しいか」を確認するために、自治体が親族に対して「扶養が可能であるか」という旨の「扶養照会」をすることがあります。
 
ただし、この扶養照会は、生活保護を申請した人のすべての親族に対して必ず行われるわけではありません。親族がいても長年交流がない場合や、家族間のDV・虐待など特別な事情がある場合、扶養照会を行わないケースもあるとされています。
 

配偶者が高収入なら、扶養を断れない?

「夫の年収が1000万円なら、扶養照会を断れないのでは」と感じる人もいるかもしれません。しかし、扶養照会は「援助できるか」の確認であり、「絶対に援助しなければならない」という強制力のあるものではありません。
 
また、民法では、兄弟姉妹にも扶養義務があるとされているものの、実際のところ配偶者や親子に比べると、兄弟姉妹間の扶養義務は比較的限定的と考えられています。つまり、「援助できる余裕があるか」が重視されているのです。
 
「年収1000万円」という数字だけを見ると、裕福に感じる人は多いかもしれません。しかし、実際には年収が高ければ税金や社会保険料も大きく、手取りは想像より少なくなることがあります。
 
会社員で年収1000万円の場合、手取りはおおよそ700万~750万円程度になるケースもあり、そこから住宅費、教育費、食費、保険料などを支払うと、「自由に使えるお金」は大きく減る家庭も珍しくありません。このような状況では、「数字上は高収入でも、継続的な援助は難しい」というケースもあるでしょう。
 
扶養照会は「扶養義務」ではなく、親族に扶養できる人がいるかを調査するものなので、たとえ収入が高くても、生活状況を踏まえて援助は現実的でない場合は、「扶養不可能」と回答することもできるのです。
 

「断って」と言われたらどうする?

「扶養照会をすると、その回答次第では生活保護が通りにくくなるのでは」と心配して、親族に事前連絡する人もいます。しかし、扶養照会で「援助できない」と回答したからといって、それだけで生活保護の申請結果が左右されるわけではありません。生活保護は、本人の収入や資産、生活状況などを総合的に見て判断されます。
 
「援助を断る」という判断は、「姉を見捨てる」ような気持ちになるかもしれませんが、「援助」は金銭面以外でも行うことができます。感情だけで判断せず、「自分たちの家計で無理なく支援できる範囲はあるのか」「家族は自分たちの援助を望んでいるのか」などを踏まえて決めるようにしましょう。
 
また、自治体から扶養照会が来た際に、「扶養を断って」と言われているから「無回答」ではなく、しっかりと「扶養できない」という旨を伝えるようにしましょう。無回答でも「扶養の意思なし」とみなされることがほとんどですが、回答をしたほうが生活保護の申請がスムーズに進みやすくなります。
 

まとめ

生活保護の扶養照会は、「援助が可能か」という確認であり、必ずしも援助を強制する制度ではありません。また、兄弟姉妹間の扶養義務は、配偶者や親子ほど強いものではないと考えられています。たとえ配偶者が高収入でも、実際の家計状況によっては「援助が難しい」こともあるでしょう。
 
家族間の助け合いは大切ですが、自分の生活を困窮させてまで援助をする必要はありません。また援助する際でも、家計の状況を考え、無理のない範囲で行うことが大切なのです。
 

出典

e-Gov法令検索 生活保護法
厚生労働省 扶養義務履行が期待できない者の判断基準の留意点等について
e-Gov法令検索 民法
 
執筆者 : 渡辺あい
ファイナンシャルプランナー2級

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