失業して貯金が「10万円」まで減りました。生活保護を申請したいのですが、家族に知られたり扶養照会されたりするのでしょうか?
厚生労働省によると、生活保護制度は「資産や能力等すべてを活用してもなお生活に困窮する場合に、困窮の程度に応じて必要な保護を行い、健康で文化的な最低限度の生活を保障し、その自立を助長する制度」です。
本記事では、制度の概要や「扶養照会」などについて確認していきます。
ファイナンシャル・プランナー
住宅ローンアドバイザー ,宅地建物取引士, マンション管理士, 防災士
サラリーマン生活24年、その間10回以上の転勤を経験し、全国各所に居住。早期退職後は、新たな知識習得に貪欲に努めるとともに、自らが経験した「サラリーマンの退職、住宅ローン、子育て教育、資産運用」などの実体験をベースとして、個別相談、セミナー講師など精力的に活動。また、マンション管理士として管理組合運営や役員やマンション居住者への支援を実施。妻と長女と犬1匹。
生活保護の条件
厚生労働省によると、生活保護の判定は世帯単位で行い、世帯員全員が、その利用し得る資産、能力その他あらゆるものを、その最低限度の生活を維持するために活用することが前提となります。つまり、タイトルの家族の範囲が同一世帯の話であれば、バレる・バレないの問題ではありません。
基本的な条件として押さえておくことは、以下のとおりです。
(1)保有する資産があれば活用する
預貯金があれば生活費に充て、生活に利用されていない土地・家屋等の不動産があれば売却して生活費に充てることが原則です。
(2)働くことが可能であれば働く
当然ながら、心身ともに大きな支障がなく、働くことができるのであれば、その能力に応じて働くことが原則です。
(3)基本手当など他の制度が受給できるのであれば活用する
生活の困窮が失業とのことですので、雇用保険の基本手当など他の制度で給付を受けることができる場合は、まずはそれらを優先して活用する必要があります。
(4)扶養義務者からの扶養を受ける
扶養義務者とは、生活に困る親族を援助する法的義務を負う人をいいます。民法では、夫婦、直系血族および兄弟姉妹などを指します。つまり、親・子ども・兄弟姉妹・配偶者です。
これらの条件を勘案し、世帯の収入と厚生労働大臣の定める基準で計算される最低生活費を比較して、収入が最低生活費に満たない場合に、保護が適用されます。
※厚生労働省「生活保護制度」より
扶養照会によって生活保護が知られるケース
前述の生活保護の条件(4)のように、扶養義務者からの扶養(援助)が可能であるかの判断をするため、福祉事務所による「扶養照会」が行われ、そこで親や兄弟姉妹に知られるケースがあります。
ただし、無条件で扶養照会を実施するわけではなく、扶養義務者との関係などを考慮したうえで、実施しない場合もあります。
例えば、長期に音信不通や不仲(おおむね10年以上)であること、虐待やDVを受けていた、兄弟姉妹と金銭トラブルがある、親が高齢で低収入などの理由により、申請者が強く望まないときは慎重に見送ることも認められています。
しかし、ただ「親に心配をかけたくない」「知られたら恥ずかしい」といった理由だけでは、扶養照会を避けることは難しいため注意しましょう。まずは、ご自身の事情を福祉事務所に事前に相談してみることが重要です。
生活保護の申請の流れ
これらを考慮したうえで生活保護を申請する場合、申請の流れは以下のようになります。
(1)福祉事務所への事前相談
お住まいの地域にある福祉事務所の生活保護担当に事前相談します。制度の説明を受けるとともに、生活福祉資金、各種社会保障施策等の活用などについて検討します。
(2)福祉事務所による調査
生活保護の決定のために以下のような調査が実施されます。
1)家庭訪問等による実地調査(生活状況等の把握)
2)預貯金、保険、不動産等の資産調査
3)仕送りの可否などの扶養義務者による扶養照会
4)年金等の社会保障給付、就労収入等の調査
5)就労の可能性の調査
(3)保護費の支給
生活保護が決定すると、厚生労働大臣が定める基準に基づく最低生活費から就労収入や年金等の収入を差し引いた保護費が毎月支給されます。
まとめ
生活保護を受ける場合に、「今の姿を親族(子どもなど)に知られたくない」、「生活保護を受けること自体に後ろめたさを感じる」などさまざまな理由から申請をためらい、無理をしてしまう人もいます。
しかし、生活保護は国が定めた「健康で文化的な最低限度の生活を保障し、その自立を助長する制度」です。いざというときや次のステップに進むための自立に向けた過程として、制度の活用を前向きに考える選択肢もあります。まずは、福祉事務所に相談し、自分では気づかなかった支援策や有益な情報がないか確認してみましょう。
出典
厚生労働省 生活保護制度
厚生労働省 扶養義務履行が期待できない者の判断基準の留意点等について
執筆者 : 高橋庸夫
ファイナンシャル・プランナー

