函館は「ワンコイン温泉」の宝庫だった! 源泉かけ流しの銭湯が「500円」しかも朝6時から「朝ぶろ」も…東京の銭湯代より安く“天然温泉”が日常になる町【在住者が解説】
観光地として知られる湯の川温泉だけでなく、暮らしに根づいた温泉銭湯が市内に点在します。旅行者にはうれしい非日常が、函館の住民には当たり前の日常です。この記事では、在住者の目線でワンコイン温泉の魅力を紹介します。
FP2級、北海道在住ライター
函館は「銭湯の値段で源泉かけ流し」に入れる町
写真1
筆者撮影
函館の温泉銭湯は、都市部の銭湯より安い料金で本物の天然温泉に入れる点が特徴です。まずは価格の実態と、市内にどれだけ点在しているのかを整理し、あわせて銭湯まで温泉になる理由も見ていきます。
東京の銭湯は550円、函館は500円以下で天然温泉に入れる
東京の銭湯料金は、物価統制令にもとづき東京都が上限(統制額)を定めています。函館の温泉銭湯は、それより安い価格で天然温泉を提供する施設が目立ちます。以下の図表1で両者の料金を比較します。
図表1
| 地域・施設 | 大人料金 | 湯の種類 |
|---|---|---|
| 東京の銭湯(統制額) | 550円 | 沸かし湯が中心 |
| 谷地頭温泉(函館) | 490円 | 源泉かけ流し |
| 湯元 花の湯・北美原温泉(函館) | 500円 | 天然温泉 |
各HPより筆者作成
東京の一般的な銭湯は、2024年8月から大人550円に改定されました。一方の谷地頭温泉は490円で、鉄分を含む茶褐色の天然温泉に入れます。旅行者にとっては、宿の入浴料を抑える選択肢にもなります。
市内に点在する、ワンコイン前後の温泉銭湯文化
函館の温泉銭湯は、1軒だけの特別な存在ではありません。市内に10軒近くが点在し、暮らしの中で使い分けられています。市民はその日の気分や場所に合わせて湯を選びます。代表的な施設を図表2に整理します。
図表2
| 施設名 | エリア | 料金の目安 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| 谷地頭温泉 | 函館山ふもと | 490円 | 五稜郭「形」の露天風呂 |
| 湯元 花の湯 | 桔梗町 | 500円 | 露天・サウナ・岩塩洞窟 |
| 北美原温泉 | 北美原 | 500円 | 朝風呂に対応 |
各HPよりより筆者作成
函館山のふもとから湯の川エリアまで、温泉銭湯は市内に広く分布しています。料金はおおむね500円前後で、露天風呂やサウナを備えた施設も多く、観光の合間にも住民の日常使いにも向いています。
なぜ函館の銭湯は温泉なのか——100mも掘れば湯が出る町
写真2
筆者撮影
函館の銭湯の多くが温泉である背景には、豊かな温泉資源があります。湯の川温泉のエリアでは、井戸水を得ようと掘っても100メートルほどで温泉が湧いてしまい、雑排水用の井戸水を確保しにくい地区があるほどです。
源泉温度は井戸によって差はあるものの平均65度前後と高温で、浴槽清掃のあとに適温へ調整するため加水する施設もあります。日量約7000トン(毎分約4861リットル)にのぼる豊富な湯量が、日常の銭湯にまで温泉が行き渡る背景になっています。
ワンコインで入れる函館の天然温泉
ここからは、実際にワンコイン前後で入れる施設を具体的に紹介します。料金や泉質、名物の風呂を施設ごとに整理しました。
谷地頭温泉:五稜郭「形」の露天風呂が名物
谷地頭温泉は、函館山のふもとにある人気の温泉銭湯です。鉄分を含む茶褐色の湯が特徴で、体が芯から温まります。名物は、特別史跡の五稜郭跡をかたどった星形の露天風呂で、SNSでも話題になりやすい撮影スポットです。
浴室には温度の異なる3つの浴槽があり、熱い湯が得意でない人は40度の気泡風呂から入れます。各浴槽の温度は図表3のとおりです。市電「谷地頭」電停から徒歩5分とアクセスも良好です。
図表3
| 浴槽 | 温度の目安 |
|---|---|
| 高温槽 | 43.5度 |
| 中温槽 | 42.0度 |
| 気泡風呂 | 40度 |
各HPより筆者作成
湯元 花の湯・北美原温泉など、500円前後の源泉かけ流し
谷地頭温泉のほかにも、500円前後で入れる温泉銭湯があります。塩化物泉が中心で、保温効果が高い湯を楽しめます。設備が充実し、長く滞在しても飽きにくい施設です。
・湯元 花の湯:桔梗町。庭園露天風呂やサウナに加え、ハンガリー由来の岩塩洞窟(ソルトピット)も備える。入浴は大人500円。
・北美原温泉:赤川IC近く。露天風呂とサウナを楽しめ、朝風呂にも対応。大人500円。
どちらも観光の拠点にも、日常の入浴先にも使いやすい施設です。
三大温泉郷「湯の川温泉」の湯が、銭湯価格で楽しめる
函館を代表する湯の川温泉は、登別温泉・定山渓温泉と並ぶ北海道三大温泉郷の1つです。宿泊しなくても、エリアの共同浴場や老舗の公衆浴場で、湯の川の源泉をそのまま銭湯価格で味わえます。
たとえば創業70年を超える永寿湯温泉では、3本の源泉井戸から100%の天然温泉が浴槽に注がれます。名湯を手軽に味わえる点が、湯の川エリアの魅力です。
天然温泉が「非日常」ではなく「日常」になる町
函館では、天然温泉が特別なものではなく、暮らしの一部になっています。500円前後で源泉かけ流しの湯に入れる環境が身近にあり、早朝から営業する施設もあって旅行者にも使いやすい町です。観光名所としての湯の川温泉と、日常の温泉銭湯の両方を味わえます。函館を訪れたら、市民に交じって湯めぐりを楽しんでみてください。
出典
東京都 公衆浴場入浴料金の統制額について
函館市公式観光サイト はこぶら 谷地頭温泉
函館市公式観光サイト はこぶら 湯元 花の湯
函館市公式観光サイト はこぶら 函館市熱帯植物園
執筆者 : 木彫りグマ
FP2級、北海道在住ライター



