宿坊体験“1泊6万円”が「暴利」「坊主丸儲け」と話題…以前は「1泊1万円」だったそうだけど、原因は“インバウンド需要”? 価格は実際“暴利”と言えるのか―料金相場を確認
本記事では、話題となった投稿の内容と、宿坊体験の実際の料金相場、値上がりの背景までを分かりやすく整理していきます。
FP1級、CFP、DCプランナー2級
宿坊体験とは?
宿坊体験とは、寺院の宿泊施設に泊まり、僧侶に近い暮らしを味わえる特別な滞在を指します。もともとは僧侶だけが泊まる場所でしたが、平安時代の参詣文化を経て、しだいに一般の旅行者にも開かれてきました。
世界遺産である和歌山県の高野山には110以上の寺院があり、うち約50の寺で宿坊に泊まれます。朝の勤行や写経、阿字観と呼ばれる瞑想、肉や魚を使わない精進料理など、日常では味わえない静かな時間を過ごせるのが大きな魅力です。
ホテルとは違い、鍵のない和室や共用の水回りも少なくないため、設備の快適さより精神的な充足を求める旅行者に向いています。
宿坊体験が高すぎる? X投稿の内容とは?
先日、SNS上で宿坊が話題になりました。きっかけとなったのは、高野山の宿坊を家族で予約しようとした人の投稿でした。投稿では、2022年には1泊1万円台の宿坊がほとんどだったものの、今年調べると1泊6万円や7万円といったものが多く、3人で1泊40万円を超える例も普通だったと綴られています。
あまりの値上がりに驚いたという声が、多くの共感を集めました。返信欄には、円安でインバウンド向けの価格になっている、日本人にはもう泊まれない水準だといった意見が数多く並んでいました。
一方で、寺院の維持は大変で、さらに人手を固定給で雇うなどすれば料金が上がるのも当然だという擁護の書き込みも見られました。
実際の価格は? 本当に暴利なの?
結論からお伝えすると、高野山の宿坊の全てが一泊6万円というわけではありません。国内の宿坊情報サイトによれば、相場は今も1泊2食付き・1名あたり1万5000円から2万5000円に収まる宿坊が多いとされています。
価格帯を整理すると、おおよそ次のように分かれます。
・リーズナブル帯:1万3000円台から。設備は簡素でも、精進料理と朝の勤行という核心は味わえる
・スタンダード帯:2万円台から。体験と食事、設備のバランスがとれた王道ゾーン
・プレミアム帯:3万円台から。料理や体験が充実し、快適さも高い
素泊まりプランに絞れば、8000円台で泊まれる宿坊も残っています。一方で、平均は1人あたり3〜4万円、スイートルームだと2食付き5人以上宿泊で1人あたり10万円弱からといったように、最上位の部屋やインバウンド向けとして高額プランを押し出しているところもあります。
値上がりの背景には、人手不足と収容力の減少、労働基準に沿った人件費の増加、そして円安による外国人需要の高まりが重なっています。事情をふまえると、一概に暴利とは言い切れないのが実際のところでしょう。
まとめ
高野山の宿坊が「1泊6万円」で話題になった背景と実態を整理してきました。たしかに一部の宿坊や特別室では6万円から7万円という価格も登場していますが、相場の中心は今も1泊2食で1万5000円から2万5000円ほどに収まっています。
素泊まりや早割をうまく使えば、1万円前後で泊まれる宿坊も残っており、選び方しだいで予算は大きく変わります。値上がりはインバウンド需要や人件費、円安といった複数の要因が絡んだ結果であり、単純な暴利とは言い切れません。
大切なのは、宿坊を検討する際は、予約前に複数のプランと時期をしっかり比べ、自分の目的と予算に合う1室を見きわめる姿勢です。センセーショナルな数字だけに惑わされず、納得のいく宿坊体験を選んでいただければと思います。
執筆者 : 高柳政道
FP1級、CFP、DCプランナー2級

