【実録】「地域のライブカメラ」で“自宅の玄関”がYouTube配信されてて恐怖! 毎日の「出勤・帰宅時間」「ゴミ捨ての姿」が世界に公表されてたなんて…空き巣に行動パターンが筒抜け!? 刑事罰の対象にならないの?
事故発生時の状況確認のため、自家用車にはドライブレコーダーが多く備え付けられるようになり、防犯意識の向上から、地域の見守りのために防犯カメラが設置されている場所も増えています。
そのような「カメラだらけ」の世界で、自宅の玄関が地域のライブカメラに常時映っていた、という事件が起きたことをご存じでしょうか。
FP2級・AFP、国家資格キャリアコンサルタント
映画「トゥルーマン・ショー」のような世界が現実に?
ある住宅地に住むAさんがYouTubeで自分が住んでいる地域について検索したところ、地域のライブカメラ配信を見かけました。
よく見ると、図表1のように配信は自宅のはす向かいからカメラが向けられていて、しかも住宅街の狭い道のため、画面にメインで映って配信されているのは、自宅と隣家の玄関となっていたそうです。
図表1
筆者作成
そのため、家族の誰が何時に出掛けて、何時に帰ってくるのかが、大きなごみ袋を持ってごみ捨てをする姿まで、見た人に分かってしまう状況になっていました。ライブカメラ配信のチャンネルには「個人情報保護のため解像度を落としている」という記載がありましたが、実際は近くを通った人の顔は判別可能なレベルだったようです。
空き巣や強盗、ストーカーに家族の行動パターンが知られたら大変だと危機感を抱いたAさんは、ライブカメラ配信元の会社に動画配信を停止するようメールを送りました。
すると、ライブ配信自体は数時間後に停止されましたが、録画されていたアーカイブ動画は1週間ほど待っても削除されず、電話でアーカイブ動画の削除請求について連絡をして、ようやく削除されたとのことです。
会社側に悪意はなかったのかもしれませんが、一歩間違えれば重大な犯罪が発生しかねない、後味の悪い出来事だったと言えるでしょう。
今回のエピソードを目にして、筆者の頭に浮かんだのは、1998年に公開された大ヒット映画の『トゥルーマン・ショー』でした。平凡な男性である主人公のこれまでの人生が、実は巨大なセットの中で隠し撮りされる形で撮影され、本人の知らないうちに365日・24時間生配信のテレビ番組として全世界に中継されていた、という設定の映画です。
映画の公開当時、テレビ撮影をするような高性能カメラは、大型かつ極めて高価なものであったため、「無理のある設定だな」と筆者は思っていたものですが、30年近い年月を経て、フィクションが現実になってしまったような気がします。
一般住宅の玄関を映すライブ配信は「盗撮」や「個人情報漏えい」になるのか
「地域のライブカメラ」とはいえ、一般住宅の自宅玄関を映し続けるライブ配信は、法的に問題があるのでしょうか。3点に分けて調べてみました。
1. プライバシー権・肖像権の侵害(民事上の責任)
日本の法律においては、個人の私生活上の事実や情報をみだりに公開されない権利(プライバシー権)や、自分の容姿を無断で撮影・公表されない権利(肖像権)が認められています。
今回のように、特定の個人の生活パターンが把握できるような映像を無断で配信する行為は、プライバシー権の侵害にあたる可能性が極めて高く、被害者は民法第709条(不法行為による損害賠償)に基づき、配信の停止や慰謝料を請求することができる場合があります。
2. 個人情報保護法違反の可能性
映像に映っている顔や姿形から「特定の個人を識別できる」場合、その映像データは「個人情報」に該当します(個人情報保護法第2条)。
防犯目的でのカメラ設置は、例外として認められるケースが多いですが、今回のようにYouTube等で不特定多数に公開(第三者提供)することは、本人の同意がない限り、個人情報保護法に違反している可能性があります。
3.「盗撮」として刑事罰の対象になるか
公道や外から見える玄関先を撮影する行為自体は、それだけでは直ちに各都道府県の「迷惑防止条例違反(盗撮)」などの刑事罰に問われるとは限りません。盗撮として罰せられるのは、主にトイレや更衣室、衣服の中などを撮影した場合です。
しかし、撮影行為が執拗(しつよう)であるとか、特定の人物に付きまとって監視するような目的があれば、ストーカー規制法違反や軽犯罪法違反に問われるケースもあるでしょう。
まとめ
防犯カメラやライブカメラの設置が手軽になった現代、誰でも簡単に地域の動画を世界中へ配信できるようになりました。しかし、風景を配信しているつもりでも、他人のプライバシーや安全を脅かしているケースが多々あります。
Aさんのように、自分の家が知らないうちに配信されていないか、近所の「ライブカメラ」を検索して確認してみるのも自己防衛の1つかもしれません。
もし不適切な配信を見つけた場合は、スクリーンショット等で証拠を残した上で、配信元やプラットフォーム(YouTube等)へ速やかに削除要請を行い、悪質な場合は警察や弁護士へ相談しましょう。
執筆者 : 山田圭佑
FP2級・AFP、国家資格キャリアコンサルタント


