都営住宅に住む母から同居をすすめられて、迷っています。家賃は抑えられる一方で退去のリスクもあると聞きます。無申告はさすがに避けた方がいいのでしょうか?
子どもであっても、勝手に同居するのは避けるべきです。同居には原則として申請や許可が必要で、収入が増えれば家賃が上がる可能性もあります。
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都営住宅で親族と同居するには申請が必要
都営住宅は、住宅に困っている人のための公的な住宅です。そのため、誰でも自由に住めるわけではありません。入居時だけでなく、入居後に同居者を増やす場合にも、一定の手続きが求められます。
JKK東京の案内では、都営住宅等の同居許可には、条例等に基づく収入基準、申請理由、使用料の支払状況、入居年数、居室の広さなどの詳細な要件があるとされています。
つまり、親子だからといって、必ず同居が認められるわけではありません。
たとえば、母の介護や生活支援が必要で、子どもが同居する合理的な理由がある場合は、申請の余地があります。一方で、「家賃が安いから」「通勤に便利だから」という理由だけでは、許可が難しい可能性があります。
同居を考えているなら、まず母が住んでいる住宅の受持ち窓口センターや、JKK東京お客さまセンターに相談しましょう。住民票を移す前、実際に住み始める前に確認することが大切です。
同居が認められると家賃が上がる可能性がある
都営住宅の家賃は、一般的な賃貸住宅のように部屋ごとに一律で決まるものではありません。世帯の収入や住宅の条件などをもとに決まります。そのため、あなたが同居して収入のある世帯員になると、世帯収入が増え、家賃が上がる可能性があります。
たとえば、母が年金収入だけで暮らしていたところに、会社員の子どもが同居すれば、世帯全体の収入は大きく増えます。その結果、世帯の所得金額にもとづき、使用料(家賃)が上がることが考えられます。
東京都住宅政策本部は、都営住宅の使用料の一例として、2人世帯で練馬区の南田中アパートの例を案内しています(図1)。間取り・建設年度のパターンは二つ紹介されており、世帯の所得金額の区分に応じて、月の使用料(家賃)が設定されています。
図1
出典:東京都住宅政策本部 申込み方法、使用料(家賃)、申込みから入居まで|都営住宅の入居者募集等
「2DK・36平米・昭和44年度建設」の場合、 所得金額が162万8000円以内であれば、使用料は1万7600円です。所得金額が261万2001円~294万8000円になると、使用料は3万8600円となります。
「3DK・55平米・昭和59年度建設」の場合、所得金額が162万8000円以内であれば、使用料は3万300円です。所得金額が261万2001円~294万8000円になると、使用料は6万6600円となります。
また、収入が入居基準を大きく超えると、収入超過者や高額所得者として扱われ、住宅の明渡し努力や明渡し請求の対象になる可能性もあります。都営住宅は低所得者向けの公営住宅なので、高い収入の世帯が長く住み続けることには制限があります。
「同居すれば生活費が浮く」と考えていても、家賃が上がれば思ったほど節約にならないこともあります。母の家計だけでなく、世帯全体の収入でどう扱われるかを確認しましょう。
無断同居は退去トラブルにつながるおそれがある
もっとも避けたいのは、手続きをせずに住み始めることです。住民票を移していなくても、実際に生活の拠点としているなら、無断同居と見られる可能性があります。
東京都営住宅条例の第19条第1項では、「入居の際の同居者以外の者を新たに同居させようとするときは、(中略)知事の許可を受けなければならない」と定められています。
また、同条例の第39条第1項第7号には、この「同居の許可(第19条)」の規定に違反した場合、使用許可を取り消し、住宅の明渡しを請求できることが明記されています。
つまり、無断同居が発覚すると同居を認めてもらえないだけでなく、住宅の使用上の問題として指導を受けることがあります。場合によっては、母の契約にも影響するおそれがあり、明渡し(すなわち退去)を求められる可能性があります。
また、将来、母が亡くなったり施設に入ったりしたとき、「自分が住み続けられる」と考えるのも危険です。都営住宅の使用承継、つまり名義人変更にも厳しい要件があります。
JKK東京は、使用承継には収入基準や申請理由、使用料の支払状況、入居年数、居室の広さなどの要件があると案内しています。正式な同居許可を受けてから一定期間が必要になる場合もあります。
親の支援のために同居するなら、最初から正しい手続きを踏むことが、母の住まいを守ることにもつながります。
まとめ
都営住宅に住む母と同居する場合、子どもであっても勝手に住み始めるのは避けるべきです。同居には申請や許可が必要で、収入基準、同居理由、部屋の広さなどが確認されます。
同居が認められても、あなたの収入が世帯収入に加わることで家賃が上がる可能性があります。収入が高い場合は、将来の明渡しリスクにも注意が必要です。
まずはJKK東京や受持ちの窓口センターに相談し、許可の見込み、家賃への影響、将来の承継の可否を確認しましょう。親を助けるための同居だからこそ、無断ではなく正式な手続きで進めることが大切です。
出典
JKK東京 都営住宅等にお住まいの皆さまへ
東京都住宅政策本部 都営住宅の入居者募集等 申込み方法、使用料(家賃)、申込みから入居まで
東京都例規集データベース 東京都営住宅条例
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー


