介護のために「父名義」の公営住宅で同居していましたが、先週父が亡くなりました。このまま家賃を払い続ければ、私1人でも住み続けられるのでしょうか?

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介護のために「父名義」の公営住宅で同居していましたが、先週父が亡くなりました。このまま家賃を払い続ければ、私1人でも住み続けられるのでしょうか?
都営住宅や県営住宅、市営住宅などの公営住宅は、住宅に困窮する低額所得者に対して低廉な家賃で提供される住宅です。
 
名義人が死亡した場合、同居人がそのまま入居者の地位を引き継ぐことはできず、承継の承認を受けられなければ住宅を明け渡す必要があります。しかし条件を満たすことで、公営住宅の使用を承継することも可能です。
 
今回のケースでは父親が名義人として入居していた公営住宅をめぐり、同居していた子どもが住み続けられないか思案しています。
 
本記事では、公営住宅の名義人が死亡した場合に、同居人が明け渡す必要があるか解説します。
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公営住宅は相続できる?

大前提として、公営住宅を使用する権利は、名義人が亡くなった場合に相続人が当然に引き継げるものではありません。
 
最高裁判所は、公営住宅に入居していた人が死亡した場合、同居人でもある相続人がそのまま住み続けられるかを問う裁判において、「公営住宅の入居者が死亡した場合に、その相続人は、当該公営住宅を使用する権利を当然に承継するものではない」との判決を下しました。
 
そのため今回のケースにおいて、父親の死亡後、同居していた子どもが当たり前のように住み続けることはできないと考えられます。
 
公営住宅が相続の対象にならない理由として、住宅サービスの公平性を欠く点が挙げられるでしょう。公営住宅であるにもかかわらず、同一親族が居住し続けると、その自治体に住むほかの人が入居機会を得られなくなるおそれがあります。
 

「承継」制度で居住が認められることもある

とはいえ、同居人である人が必ずしも部屋を明け渡さなければならないわけでもありません。自治体には「承継制度」が存在します。
 
承継制度とは、公営住宅の名義人が死亡や離婚などによって入居状況が変化した場合、別の人がその部屋に住む権利を受け継ぐ制度のことです。
 
国土交通省住宅局が示すガイドラインによれば、公営住宅法第27条6項に基づき、入居者が死亡または退去した場合、その死亡時もしくは退去時に同居していた人は、事業主体の承認を受けて、引き続き居住できます。
 
また、原則として承認されないケースは、次のいずれかに該当する場合です。
 

・死亡した入居者との同居期間が1年に満たない場合(入居者が入居したときから同居している親族は除く)
・同居人の収入が月収31万3000円を超える場合
・当該入居者が、不正入居や家賃滞納などの明け渡し事由に該当する場合

 
これらに該当しない場合でも、自治体の定める条件を満たす必要があります。
 

細かな取り決めは自治体による

国土交通省のガイドラインはあるものの、細かな承継制度の適用方法については、自治体によって多少の相違点が見られます。
 
例として、東京都の都営住宅と大阪府の府営住宅を見ていきましょう。都営住宅では、承継できる人は、原則「名義人の配偶者又はパートナーシップ関係の相手方」に限られます。
 
ただし高齢者や障害者、病弱者に該当する場合、名義人の3親等の親族まで例外的に承継可能です。
 
一方、大阪府営住宅では、令和2年10月1日から、それまで高齢者などの要件を満たす場合に限られていた名義人の子や孫について、原則1回に限り地位承継の申請資格が認められるようになりました。
 
また、入居当初から同居している人か、名義人の直系2親等内の親族として同居承認を受けている人であることなどが要件です。同居承認を受けている高齢者、ひとり親世帯の母親または父親、障害者のいる世帯に属する人、生活保護の被保護者については、名義人との1年以上の同居期間が必要です。
 
このように自治体によって相違点があるため、詳細については事業主体に問い合わせることがすすめられます。承継が認められる場合は、詳しい手続き方法も参照しましょう。
 

承継制度により引き続き居住できる可能性もある

公営住宅の名義人が死亡しても、名義人との関係性や同居期間などの一定条件を満たすことで、引き続き居住が認められる可能性があります。
 
今回のように名義人の子どもであっても、自治体や世帯の状況によっては承継が認められない場合があります。不明な点がある場合は、住んでいる公営住宅の事業主体に問い合わせて指示をあおぐとよいでしょう。
 

出典

裁判所ウェブサイト 平成2(オ)27 最高裁判所第一小法廷 民集 第44巻7号1021頁 公営住宅の入居者の死亡と相続人による公営住宅を使用する権利の承継
国土交通省 公営住宅法施行令の一部を改正する政令案について
東京都住宅供給公社(JKK東京) 都営住宅等の使用承継申請(名義人の変更)
大阪府住宅供給公社 地位承継の制度が一部変わりました
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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