SNS「病院が救急車をクラファンで購入」投稿に「日本ボロボロ」「信じられない」と反響! 救急車は一台「約2900万円」!? 一部地域で“利用時7700円”と有料のケースも…老朽化でも「買い替えが厳しい」理由
本記事では、話題になった投稿の内容や反応を紹介しながら、救急車クラファンの実態、老朽化が進む現状、そして一部地域で始まった「実質的な有料化」まで分かりやすく解説します。
1級ファイナンシャル・プランニング技能士・CFP
目次
SNSで話題になった「救急車のクラファン」投稿とは
きっかけは、Xに投稿されたひとつのポストでした。投稿者は「救急車 クラファン」で検索すると、驚くほど多くの病院がクラウドファンディングで救急車を購入していることが分かると発信しました。
この投稿には、「日本ボロボロやんけ」「信じられない」といった驚きの声が多数集まっています。
中には「これぐらいクラファン募らなくても税収でお金あるでしょ……過去最高の税収だよ? 救急車位税金で買ってくれよ」と、税金の使われ方に疑問を投げかけるコメントも見られました。
「病院救急車」と「消防救急車」は違う? 誤解しやすいポイント
この投稿を見て、「119番で呼ぶ救急車が不足して有料化されるのでは」と心配になった人もいるかもしれません。ですが、話題になっているのは、ほとんどが「病院救急車」なのです。
病院救急車とは、病院が独自に所有し、転院搬送やドクターカーとして活用する車を指します。一方、119番で呼ぶと来る「消防救急車」は、消防本部が税金で購入・維持しているもので、出動そのものは今も無料です。
つまり、クラウドファンディングの対象になっているのは、主に病院側の車両で、消防の救急車とは別物だと覚えておくと安心です。
救急車クラウドファンディングの実態と必要な金額
クラウドファンディングサービス大手READYFORの調査レポートによると、2025年はREADYFORでクラウドファンディングを行った病院が60件を超え、支援総額は10億円を突破したそうです。
累計の公開件数は200件に達したという発表もあり、この数年で急激に増えていることがうかがえます。
埼玉県のある医療機関では、救急車の更新に向けて目標金額を2500万円に設定し、支援が集まれば3600万円まで活用範囲を広げる計画を立てました。ふたを開けてみると、目標を大きく上回る6406万円もの支援が集まりました。
同じ埼玉県北本市の北里大学メディカルセンターでも、導入から21年が経過した救急車が老朽化し、車体にひび割れが見られるほどの状態になっていました。買い替えの資金をクラウドファンディングで呼びかけたところ、3300万円を超える寄付が集まっています。
救急車は、仕様によって価格が大きく変わり、一般的な高規格救急車で2900万円ほど、特殊な装備を積んだ車両になると7900万円を超えることもあるようです。
救急車の老朽化問題と、一部地域で始まった「実質的な有料化」
老朽化した救急車が抱えるリスク
車体の劣化が進むと、走行中の安全性が下がるだけでなく、最新の医療機器を積みにくくなるといった制約も生じます。
買い替えには数千万円規模の費用がかかるため、予算の確保が追いつかず、老朽化した車両を使い続けている病院は少なくありません。長期間使われ続けている救急車が全国に存在すること自体が、多くの病院に共通する課題だといえそうです。
病院側が車両の維持に頭を悩ませる一方、救急搬送を支える財源そのものが厳しくなっているのは、消防を運営する自治体側も同じです。搬送件数が増え続けるなかで、限られた予算をどう配分するかという課題は、病院と自治体の両方に共通しています。
茨城県で始まった選定療養費「7700円」のケース
こうした財源不足を背景に、利用する側にも一部負担を求める動きが一部地域で始まっています。実際に、救急車を呼んだ際にお金がかかるケースも出てきています。
茨城県では2024年12月から、緊急性が低いと判断された救急搬送について、一定規模以上の病院で「選定療養費」を徴収する運用が始まりました。
金額は病院ごとに異なりますが、7700円を設定している病院が複数あります。ただし、これは消防の救急車の利用そのものが有料になったわけではありません。
あくまで、緊急性が認められない場合に限って、病院が費用を徴収する措置です。とはいえ、呼び方によって費用が発生する可能性がある点は、知っておいて損はないでしょう。
まとめ
SNSで話題になった「救急車のクラファン」は、病院が独自に持つ救急車の老朽化が背景にあります。消防の救急車とは別物だという点を押さえたうえで、地域によっては緊急性の低い搬送で費用がかかることも知っておきましょう。
老朽化した救急車を放置すれば、搬送の安全性や医療の質に影響が出るおそれもあります。今回の話題をきっかけに、救急医療を支える仕組みについて考えてみてはいかがでしょうか。
執筆者 : よし・こう
1級ファイナンシャル・プランニング技能士・CFP

