お盆は「夫婦+小学生のわが子2人」で帰省予定が、両親から「今年は帰ってこなくていい」と言われショック! 年金生活で“帰省時の費用が負担”らしいですが、ウチも苦しいのに家族の時間を諦めないといけないでしょうか?
40代会社員のAさんは、小学生の子ども2人を育てる共働き家庭です。毎年、お盆と年末年始には子どもたちを連れて実家へ帰省することが恒例となっています。
しかし今年、母親から思いがけない言葉をかけられたそうです。
「今年のお盆は帰ってこなくていいよ」
Aさんによると、毎年孫が帰ってくることを楽しみにしていた母親が、このようなことを口にしたのは初めてでした。「帰らなくていい」と言われたことにショックを受ける一方で、「今年は帰省費用が厳しいと思っていたので、少しほっとしてしまった」と言います。
Aさんの実家は遠方にあり、帰省には毎回新幹線を利用しています。70代後半の両親とは年2回程度しか会えず、孫と過ごせる時間も限られています。
なぜ両親は「帰ってこなくていい」と伝えたのでしょうか。そして、なぜ帰省する子ども側も「ほっとした」と感じたのでしょうか。
本記事では、年金生活を送る親世代と、子育て世代の双方が抱える「実家帰省の負担」について考えます。
ファイナンシャルプランニング技能士1級、介護福祉士
なんで帰らなくていいの? 母親から返ってきた返事
理由を尋ねたAさんに対し、母親は「もちろん会いたい気持ちはある。でも今回は経済的に余裕がない」と打ち明けたそうです。会いたくないからではないのです。
Aさんの両親は70代後半で、夫婦の年金収入は月約16万円です。
週に2回ほど電話で話す中でも、「物価は上がるのに年金はほとんど増えない」「仕事を辞めなければ良かった」と話すことが増えていたといいます。
物価高が影響するのは、現役世代だけではありません。特に、限られた年金収入で生活する親世帯にとっては、日々の食費や光熱費の上昇は大きな負担となっています。
年金生活では、一度仕事を辞めると収入を増やすことは難しく、物価高の影響をそのまま受けやすい世帯も少なくありません。
「今年はいいかとほっとした」帰省する子ども側も負担だった
一方、帰省する子ども世代も生活コストの増加による負担を抱えています。
Aさん一家では、新幹線代に加え、実家へのおみやげや、両親を連れて外食する費用など、毎回まとまった出費を負担していました。子どもの教育費は年々増え、食料品や日用品など生活費も上昇しています。
Aさん自身も「今年はどうしようか」と、ここ数年感じていたそうです。
それでも帰省を続けてきたのは、「お盆や年末年始くらいは親孝行をしたい」「孫の成長を見せたい」という思いがあったからです。
しかし今回、「よく考えると、帰省すること自体が義務のようになっていたのかもしれない」と感じたとのことです。
帰省による親側・子ども側、それぞれの負担
では、お盆の帰省では実際にどの程度の負担が発生するのでしょうか。
親側の経済的負担と体力的負担
年2回という限られた機会を大切にしている親世代が、年金生活で余裕はないものの、孫にお小遣いを渡したり、好きな食べ物を用意したりしたいと、考えるのも自然なことです。
普段の就寝時間を過ぎても、孫や子どもと話していたいと無理をしてしまう親も少なくありません。孫のためであれば、台所に立ちっぱなしで料理することも苦にならないでしょう。
しかし、夏場だとエアコンを使うことから、1週間とはいえ家族が4人増えることで、電気代がかかります。入浴する人数、洗濯物も増えることから、水道代も増えることが予測されます。
帰省する子ども一家側の負担
Aさん一家にとっても、帰省費用は大きな負担でした。
東京と博多間をお盆の最繁忙期に、大人2人・小学生2人で往復した場合、自由席利用の場合でも新幹線代だけで13万3320円になります。おみやげ代、帰省中に両親を連れての恒例の外食代を含めると、さらに負担が増えます。
すぐに用意できる金額ではなく、お盆は夏のボーナス、年末年始は冬のボーナスから捻出していたそうです。
親側も子ども側も、「会いたい」という気持ちは同じでありながら、お互いに大きな負担を抱えていることが分かります。
まとめ
帰省は本来、家族が顔を合わせるための時間です。しかし、親世代も子ども世代も生活コスト増加、手取り減少の影響を受け、「会いたい」という気持ちだけでは実現できない行事になりつつあります。
総務省の消費者物価指数を見ても、ここ数年は食料品を中心に価格上昇が続いています。こうした物価高は、日々の生活だけでなく、帰省という家族のイベントにも影響を及ぼし始めているのです。
「今年は帰ってこなくていいよ」という言葉が出る時代になったということは、その時間さえ家計との兼ね合いで悩まなければならない家庭が増えているということかもしれません。
家族で過ごす時間は、お金では測れない大切な思い出です。無理を続けるのではなく、お互いを思いやりながら続けられる帰省のかたちを考える時代になったと言えるのではないでしょうか。
執筆者 : 藤田寛子
ファイナンシャルプランニング技能士1級、介護福祉士

