入院した夫の高額療養費、年収800万円だからと自己負担が“16万円”にもなることもあるって本当ですか!? 隣のベッドの「年収300万円」の人は“半額以下”なのに、稼いで税金を払っているほうが損をするのは理不尽ではないでしょうか…?
入院中に同室の患者との会話から、医療費の自己負担額が人によって異なると知ったら、「なぜ自分のほうが高いのか」「制度として公平なのか」と疑問を抱く人は多いと思われます。
そこで本記事では、高額療養費の自己負担額が決まる仕組みや、入院前に確認しておきたいポイントについて解説します。
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目次
年収800万円なら自己負担が16万円を超えることがある
結論からいうと、年収800万円程度で標準報酬月額が53~79万円の区分に該当する人は、1ヶ月の自己負担限度額が約16~17万円になることはあります。
2026年7月診療分までの制度では、70歳未満で標準報酬月額が53~79万円の人の自己負担限度額は、「16万7400円+(総医療費-55万8000円)×1%」の式で計算します。
標準報酬月額とは、基本給や手当などを一定の幅に区分した金額です。高額療養費の区分は年収そのものではなく、原則として、この標準報酬月額によって決まります。
この区分の自己負担限度額は定額ではなく、総医療費に応じて増える仕組みです。そのため、「自己負担が16万円になる」というより、医療費によっては17万円前後になると考えたほうが正確です。
例えば、年収800万円程度で、標準報酬月額53~79万円の区分に該当する人の総医療費が100万円だった場合、1ヶ月あたりの自己負担限度額は17万1820円です。窓口で30万円を支払った場合は、限度額を超えた12万8180円が高額療養費として支給されます。
なお、2026年8月診療分からは自己負担限度額が見直されます。同じ所得区分では「17万9100円+(総医療費-59万7000円)×1%」となるため、入院時期によって金額が変わる点にも注意が必要です。
年収300万円の人が半額以下になる可能性がある理由
年収300万円程度の会社員は、比較的所得が低い区分に該当する可能性があります。70歳未満で標準報酬月額が26万円以下の場合、2026年7月診療分までの自己負担限度額は5万7600円です。
この区分に該当すれば、年収800万円程度の人と比べて、自己負担限度額が半額以下になる可能性があります。なお、2026年8月以降はこの区分の自己負担限度額が6万1500円に変わります。
ただし、残業代や各種手当を含む毎月の給与、加入している保険制度などによって区分が変わるため、「年収300万円なら必ず5万7600円」とはかぎりません。また、賞与の割合が高い人も、年収だけを見た場合と異なる区分になることがあります。
なお、高額療養費の対象は保険診療分に限られる点に注意が必要です。例えば、差額ベッド代や入院中の食事代、先進医療の技術料などは原則として対象外となります。
そのため、自己負担限度額が5万7600円であっても、対象外の費用を含めた実際の支払総額は、それを上回る可能性があります。
所得が高い人ほど損をする制度とは言い切れない
同じ病室の患者から自己負担額を聞き、自分の負担額と比べると、「税金や保険料を多く払っているのに不公平だ」と感じるのも無理はありません。
ただし、高額療養費制度は、全員の負担を同額にする仕組みではなく、所得や支払い能力に応じて自己負担額限度額を設定する仕組みです。所得が低い世帯に同じ負担を求めると、医療費によって生活が立ち行かなくなるおそれがあるため、所得が低い人ほど限度額を低くし、必要な治療を受けやすくしています。
一方、所得が高い人にも自己負担額限度額は設けられています。医療費が数百万円に達しても、原則として、その3割を全額負担するわけではありません。
高額療養費制度がなければ、保険適用の医療費が100万円の場合は窓口負担が30万円になりますが、年収800万円程度の人にも自己負担限度額が設けられているため、こうした層にとっても負担を抑える効果があります。
なお、税金と健康保険料は別の仕組みです。税金を多く納めた人ほど医療給付が増える制度ではないため、納税額の多寡だけで「高額療養費制度で損している」と判断するのは難しいでしょう。
高額療養費の仕組みを確認して入院費に備えよう
年収800万円程度では、自己負担限度額が16万円を超えることがあります。一方、年収300万円程度であれば、自己負担限度額が半額以下になる場合もあります。ただし、実際の区分は年収だけでなく、標準報酬月額などで決まります。
また、高額療養費の対象は保険診療分に限られるため、差額ベッド代や入院中の食事代、先進医療に係る技術料などは原則として制度の対象外です。入院が決まったら、加入している健康保険に所得区分と自己負担限度額を確認し、マイナ保険証や限度額適用認定証を活用して、家計の負担を抑えましょう。
出典
全国健康保険協会(協会けんぽ) 高額療養費
厚生労働省 高額療養費制度を利用される皆さまへ
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

