友人に「函館は都会だから車いらない」と言われた! でも“雪国”なのに「市電・バス」だけで本当に暮らせるのでしょうか?「年間の移動費」を比較

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友人に「函館は都会だから車いらない」と言われた! でも“雪国”なのに「市電・バス」だけで本当に暮らせるのでしょうか?「年間の移動費」を比較
「函館は都会だから車はいらない」。移住を考える人が耳にしやすい言葉です。市内には市電が走り、幹線道路にはバス路線が通っています。ただし冬には雪が積もり、市電やバスがカバーする範囲にも限りがあります。本記事では車を持ち続けた場合と、市電やバスを使う場合の年間費用を、公的な資料から比べていきます。
木彫りグマ

FP2級、北海道在住ライター

「函館は車がいらない」は本当?

写真1

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筆者撮影
 
函館市には市電が走り、多くの幹線道路にバス路線が通っています。この環境だけを見れば、たしかに車は不要にも思えます。しかし市民の移動実態を調べると、印象とは違う姿が見えてきます。
 

市民の移動のうち、約7割は自動車が占めている

函館市の資料「函館市地域公共交通計画」には、市内の移動手段の割合が示されています。おもな内容は次の3点です。
 

・市全体では、68.4%の移動に自動車が利用されている
・東部地区では、自動車の割合が85.5%とかなり自動車に依存している
・西部地区では市電が、東央部地区や中央部地区ではバスが、ほかの地区より多く使われている

 
市電やバスが整っていても、暮らしの主役は自動車という結果です。住む地区による差も見逃せません。
 

それでも「運転できなくなる日」はいずれ訪れる

同資料のいま運転している人に、運転が難しくなった場合をたずねた設問では、約75%が公共交通を使うと答え、83%が外出は減ると回答しました。
 

車を持ち続けると、年間でいくらかかる?

ここからは車を保有する側の費用です。排気量1500cc以下、車両重量1.5トン以下の乗用車を想定しました。走行距離は年間5000km、燃費は1リットル15kmとして計算します。
 

走らせなくても発生する税金と保険

車は保有しているだけで費用が生じます。おもな固定費は図表1のとおりです。
 
図表1

費目 年間の負担額 前提
自動車税種別割 3万500円 排気量1.0リットル超1.5リットル以下
自動車重量税 1万2300円 車検2年分2万4600円を年で割った額
自賠責保険料 8800円 24ヶ月分1万7650円を年で割った額
合計 5万1600円 車検費用と任意保険料は含まない

北海道、国土交通省の資料より筆者作成
※自動車重量税は、新規登録から13年未満かつエコカー減税が適用されていない場合で計算
 
3つを合わせると、1kmも走らないうちに年間5万円を超えます。車検の整備費用は含んでいません。
 

ガソリン代を加えると、年間10万円を超える

続いて燃料費です。資源エネルギー庁によると、2026年7月27日時点の北海道のレギュラー価格は1リットル171.4円でした。
 
年間5000kmを燃費15kmで走れば燃料費は約5万7000円、固定費と合わせて10万8600円ほどです。任意保険料や駐車場代、冬タイヤ代はこの先に加わります。
 

市電とバスだけの暮らしなら、年間いくら?

写真2

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筆者撮影
 
次は公共交通の側です。函館市電の運賃と定期券の価格は、市が公表しています。使い方で年間の金額は大きく変わるため、通勤の場合と、買い物や通院が中心の場合に分けて考えます。
 

通勤と、買い物・通院では答えが変わる

市電の大人普通運賃は2025年12月1日に改定されました。使い方ごとの年間費用は図表2のとおりです。
 
図表2

使い方 想定した使用条件 年間の費用
毎日の通勤 おとくなIC定期券(6ヶ月6万8040円) 13万6000円
買い物・通院が中心 週3往復、1回270円 8万4240円
たまに利用 週1往復、1回270円 2万8080円

函館市 乗車料金(函館市電)などより筆者作成
 
毎日通勤で使うと、車の税金と燃料費を上回りました。買い物と通院が中心なら8万円台です。毎日通う予定があるかが分かれ目になります。
 

免許を返納すると、1ヶ月3000円で乗り放題に

2025年12月1日から、対象者を限定した市電の全線定期券が登場しました。要点は次の3つです。
 

・免許返納者向けは1ヶ月3000円で、通常価格から最大76%の割引
・70歳以上向けは1ヶ月6000円で、最大52%の割引
・販売は駒場乗車券販売所のみで、函館バスの案内所では取り扱っていない

 
返納者向けは、運転経歴証明書の交付日から6ヶ月までが購入できる期間です。70歳以上向けは市の高齢者交通料金助成事業の対象外となります。
 

金額に表れない「冬」と「住む場所」の壁

ここまでは金額の比較でした。ただし車を手放せるかどうかは、金額だけでは決まりません。市の資料からは、住む地区と季節で条件が大きく変わる様子が読み取れます。
 

バス停までの距離は、地区によって大きく違う

市の資料には、バス停から半径300メートル、徒歩5分ほどの範囲に住む人の割合が示されています。地区ごとに並べると図表3のとおりです。
 
図表3

地区 バス停300メートル圏の人口カバー率
市全域 76.1%
西部地区 79.5%
中央部地区 85.8%
北部地区 57.4%
東部地区 53.9%

函館市 函館市地域公共交通計画より筆者作成
 
北部地区と東部地区は6割を下回りました。西部地区の函館山山麓も急な斜面が多く、電停まで遠い場所があります。五稜郭を含む中央部地区は最もカバー率が高いものの、五稜郭バス停には65系統が乗り入れ、路線の複雑さも課題です。
 

高校生は、冬になると自転車から市電・バスへ移る

季節の変化がわかりやすいのが通学です。市の調査では夏は自転車が5割近くを占めますが、冬は路線バスと市電が3割ほどに増えました。通学時間も冬は長く、約5割が30分以上です。通勤者が公共交通へ移る条件も、運行本数の次は冬場の定時性でした。
 

まとめ

函館で車を手放せるかは、住む場所と暮らし方で答えが変わります。毎日の通勤で市電を使うなら、車の税金と燃料費を上回る場合もあります。買い物と通院が中心なら、公共交通のほうが負担は軽くなりそうです。
 
一方でバス停から離れた地区では、冬の移動そのものが変わります。物件を決める前に、通う場所と最寄りの電停・バス停を地図で確かめてみてください。
 

出典

函館市 函館市地域公共交通計画
 
執筆者 : 木彫りグマ
FP2級、北海道在住ライター

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