マンションの廊下に届いた荷物を一時的に置いていたら、管理会社から「共用部分には置けません」と注意されました。すぐ片づける予定でも“撤去費用”を請求されることはあるのでしょうか?
短時間のつもりでも、避難や通行の妨げになることがあります。すぐに撤去費用を請求されるとは限りませんが、放置が続けば実費請求の可能性はあります。
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共用廊下は自宅の延長ではない
マンションの玄関前の廊下は、専有部分ではなく共用部分です。自分の部屋の前でも、自由に物を置いてよい場所ではありません。
国土交通省は、マンションの管理規約を作成・改正する際のひな型として、マンション標準管理規約を示しています。実際のマンションでは、この管理規約や使用細則に基づいて、共用部分の使い方が決められています。多くのマンションでは、共用廊下に私物を置くことを禁止または制限しています。
理由は、見た目だけではありません。廊下は日常の通路であり、火災や地震のときの避難経路でもあります。荷物、ベビーカー、自転車、傘立て、植木鉢などが置かれると、車いすやベビーカーの通行を妨げたり、避難時につまずいたりするおそれがあります。
消防法でも、廊下、階段、避難口など避難上必要な施設について、避難の支障になる物件が放置されないよう管理する趣旨の規定があります(第8条の2の4)。小さな荷物でも、積み重なると安全面で問題になります。
一時的でも注意されることはある
「すぐ片づける予定だった」と思っていても、管理会社から見れば、いつ片づけるか分かりません。ほかの住民から苦情が入れば、管理会社は注意せざるを得ません。
つまり、「家に入りきらないから、いったん置いておこう」と意図的に置かれた荷物も、「玄関前の置き配の荷物」も、通行や避難を阻害する可能性があるのは同じです。他人から見ればその区別はつきません。
特に、置き配の大型段ボール、家電、家具、飲料ケースなどは目立ちます。数時間だけでも通行の妨げになれば、注意の対象になります。雨の日に段ボールが濡れて破れたり、強風で動いたりすれば、さらに危険です。
国土交通省は「マンションにおける置き配」について、令和7年にマンション管理センター等の関係団体宛に通知を行っています。避難の支障とはならないような小さなものが一時的に置かれる場合は問題になりにくい一方で、置き配に関する規則を定めることを、マンションの管理側に求めています。
たとえば、「24時間以上の放置は禁止」、「●時~●時の間のみ置き配の利用可」、 「ルールに違反した場合は荷物を移動してよい」などが、使用細則(規則)を定めるポイントとして挙げられています。置き配に関するルールがマンションで決められているなら、それに従う必要があります。
置き配がわるいというわけでは決してありません。むしろ、国は「置き配の普及促進」のためにこの通知を行っています。
一人を例外として認めると、ほかの住民も「自分も置いてよい」と考えやすくなります。管理会社や管理組合は、ルールを公平に運用する必要があります。そのため、短時間でも注意されることがあります。
ただし、注意された段階ですぐ片づけたなら、ただちに撤去費用を請求されることは多くないでしょう。問題になりやすいのは、注意後も放置する、連絡が取れない、危険物や大型荷物で通行を妨げる、何度も同じことを繰り返す場合です。
撤去費用は規約や対応経緯で変わる
撤去費用を請求されるかどうかは、マンションの管理規約、使用細則、掲示や通知、荷物の状態によって変わります。
たとえば、管理会社が何度も注意したのに片づけない場合、管理組合が撤去し、その実費を請求することがあります。大型荷物を運ぶために業者を呼んだ、保管場所を確保した、廃棄費用がかかった場合は、その費用負担が問題になります。
一方で、宅配された荷物を数十分置いていただけで、すぐに片づけた場合に、高額な撤去費用を請求されるのは通常考えにくいです。もし請求されたら、根拠となる規約、撤去日時、作業内容、費用明細を確認しましょう。
今後の対策としては、宅配ボックス、置き配不可設定、在宅時間指定、玄関内への即時移動などが考えられます。重い荷物をすぐ運べない場合は、管理会社へ事前に相談し、短時間だけ搬入する事情を伝えておくとトラブルを減らせます。
まとめ
マンションの廊下は共用部分であり、自宅前であっても自由に荷物を置ける場所ではありません。すぐ片づけるつもりでも、通行や避難の妨げになるため、管理会社から注意されることがあります。
一度注意されてすぐ片づけた場合、ただちに撤去費用を請求される可能性は高くありません。しかし、放置を続けたり、何度も繰り返したり、大型荷物で危険がある場合は、撤去や保管にかかった費用を請求されることがあります。
まずは自分のマンションの管理規約と使用細則を確認しましょう。宅配ボックスや時間指定を活用し、荷物はできるだけ玄関内に入れることが大切です。共用部分を空けておくことは、住民全員の安全を守るためのルールです。
出典
国土交通省 マンション標準管理規約
e-Gov 法令検索 消防法
国土交通省 マンションにおける置き配の普及促進に向けた取組のポイントについて(周知)
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

