スーパーの駐車場で隣の車に少しぶつけてしまいました。相手がいなかったのでそのまま帰ったのですが、後から請求されることはありますか?
それに対して、「見つからなければ大丈夫」「黙っていれば後から請求されることもないよ」などと回答することはできません。本記事では、後々「当て逃げ」が発覚するとどうなるのかを中心に確認していきます。
ファイナンシャル・プランナー
住宅ローンアドバイザー ,宅地建物取引士, マンション管理士, 防災士
サラリーマン生活24年、その間10回以上の転勤を経験し、全国各所に居住。早期退職後は、新たな知識習得に貪欲に努めるとともに、自らが経験した「サラリーマンの退職、住宅ローン、子育て教育、資産運用」などの実体験をベースとして、個別相談、セミナー講師など精力的に活動。また、マンション管理士として管理組合運営や役員やマンション居住者への支援を実施。妻と長女と犬1匹。
当て逃げが発覚するのはなぜか?
被害者である車の持ち主がスーパーでの買い物を終えて、車に戻ってみると身に覚えのない車の損傷を発見しました。その時点では、どの車が当て逃げしたのかは分からないケースが多いですが、隣に駐車していた車が見当たりません。
このままでは済ませたくない被害者は、警察に通報し、被害届を提出することで捜査が開始されます。その際に加害者(車)を特定する方法には、主に以下のような方法があります。
(1)防犯カメラによる加害者(車)の特定
スーパーの駐車場や近隣道路沿いに防犯カメラが設置されているため、自動車ナンバーが特定できれば、加害者車両の特定は比較的容易です。
また、事故発生後の逃亡経路などを「Nシステム」(自動車ナンバー自動読取装置)の記録によって特定する場合もあります。
(2)ドライブレコーダーの映像
昨今はドライブレコーダーの搭載率が高まり、半数以上の車両に搭載されているといわれています。被害者車両にドライブレコーダーが搭載されていれば、事故発生時の衝撃によりカメラの映像が残されることになります。
(3)目撃情報からの特定
スーパーの駐車場という多くの人々が利用する場においては、目撃者がいないケースのほうが珍しいでしょう。目撃者がスマホで動画を撮影していたり、その情報がSNS等に投稿されていたりするケースも珍しくありません。
(4)車両の車体の損傷や塗料痕による分析
事故の大小にもよりますが、事故現場に残された加害者車両の破片や塗料の色を分析して車種や年式を絞り込み、車が特定されるケースもあります。また、近隣の自動車修理工場への修理依頼から発覚するケースもあります。
当て逃げをした人の法的責任
事故を起こした時点で警察に通報し、適切に対処した場合には、通常は被害者の車両の損害を賠償することで解決されます。ただし、加害者から被害者への誠意ある謝罪も欠かすことはできません。
また、示談交渉などが必要な場合や自分でやる自信がない場合には、加害者が加入している保険会社を通じて、示談交渉を進めることが可能な場合もあります。
今回の事例は、物損事故があったことを知ったうえでの「当て逃げ」ですので、さらに刑事責任が問われ、罰則が科される可能性が高いです。
物損事故の場合は、道路交通法第72条の危険防止措置義務(運転者が運転を停止して道路の危険を防止する措置を講じる義務)や報告義務(警察に事故を報告する義務)の違反を問われることとなります。
危険防止措置義務違反は、1年以下の拘禁刑または10万円以下の罰金、報告義務違反では、3ヶ月以下の拘禁刑または5万円以下の罰金が科される可能性があります。
さらに、行政上の責任として、危険防止措置義務違反は付加点数5点、安全運転義務違反は2点の交通違反点数が加算され、累計で6点以上になると免許停止処分となります。
ただし、事故に気づいた時点で速やかに警察に連絡すれば、報告義務違反の責任は問われにくくなり、当て逃げでも、できるだけ早く警察に連絡することで自首扱いとなったり、悪質ではないと判断されたりした場合には、重い処罰を免れることがあります。
まとめ
タイトルの質問者は、「後々バレる可能性があるのか」、「修理代を請求されてしまうのか」という民事責任だけを心配しているようですが、「当て逃げ」による事故の規模が大きい場合や、悪質なケースでは刑事責任が問われ、「前科者」となってしまったり、逮捕されたりする可能性もあります。
冒頭に記載したとおり、なぜこのような質問をされるのか、その意図が分かりません。「相手の方がいなかったので」「ほんの出来心で」などと、言い訳してもそれは後の祭りです。そのため、即座に警察や、状況によっては弁護士などの専門家に相談することをお勧めいたします。
出典
デジタル庁 e-Gov 法令検索 道路交通法 第七十二条(交通事故の場合の措置)
警察庁 車社会に潜む身近な犯罪 当たり屋
神奈川県警察 点数制度による運転免許の取消し・停止
執筆者 : 高橋庸夫
ファイナンシャル・プランナー

