賃貸住宅の設備点検で、管理会社から「平日の昼間に部屋へ入る」と連絡がありました。仕事を休んで立ち会う必要がある場合、“休業分の負担”や“交通費”を請求することはできないのでしょうか?

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賃貸住宅の設備点検で、管理会社から「平日の昼間に部屋へ入る」と連絡がありました。仕事を休んで立ち会う必要がある場合、“休業分の負担”や“交通費”を請求することはできないのでしょうか?
賃貸住宅の消防設備や給排水設備などの点検が平日の日中に指定されると、会社員にとっては困ります。立ち会うために有給休暇を使ったり、仕事を休んだりすれば、「管理会社の都合なのだから補償してほしい」と感じるでしょう。
 
しかし、通常の設備点検に立ち会ったからといって、休業分の給与や交通費を管理会社へ当然に請求できる制度があるわけではありません。まずは、本当に本人の立ち会いが必要なのか、日程変更や代理対応ができないか確認しましょう。
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管理会社が自由に部屋へ入れるわけではない

賃貸住宅であっても、入居中の部屋は借主が生活している空間です。貸主や管理会社だからといって、通常は本人の意思を無視して自由に入室できるわけではありません。
 
国土交通省の賃貸住宅標準契約書では、建物の管理上特に必要がある場合などに貸主が室内へ立ち入る際、原則として事前に借主の承諾を得る考え方が示されています。ただし、火災による延焼防止など緊急の必要がある場合は例外です。
 
一方で、民法では、貸主が賃貸物を保存するために必要な行為をしようとする場合、借主はそれを拒めないとされています(第606条第2項)。そのため、消防設備の点検、配管の確認、漏水調査など、建物の安全を守るために必要な点検まで一切拒否できるとは限りません。
 
また、同省の賃貸住宅標準契約書には、建物の管理上特に必要がある場合、「借主は正当な理由がある場合を除き、(貸主の)立ち入りを拒否できないこととしている」という記載もあります。「仕事があるから永久に入室を認めない」という対応ではなく、自分が対応できる日時や方法を管理会社と調整することが大切です。
 

仕事を休んでも休業補償が当然に発生するわけではない

設備点検のために平日の昼間を指定され、立ち会うため会社を休んだとしても、その給与分を管理会社が自動的に補償する仕組みは一般的ではありません。
 
管理会社からの案内に「立ち会いによる休業損害や交通費を補償する」と書かれていたり、特別な合意があったりすれば別ですが、通常の点検であるだけなら、休んだ1日分の給与を当然に請求できるとは言いにくいでしょう。
 
そのため、仕事を休む前に「本人の立ち会いは本当に必須ですか」と確認してください。管理会社の担当者が合鍵で入り、点検後に施錠する対応や、家族が立ち会う方法が認められることもあります。
 
休日、朝の早い時間帯、夕方など別の日程が設定されている場合もあります。「平日12時しか無理です」と最初に言われても、事情を説明すれば別日を調整してもらえる可能性があります。
 

休む前に日程変更や代理立ち会いを相談する

負担を減らすには、まずは電話や書面、メールで希望を伝えましょう。
 
「平日は勤務しているため立ち会えません。土曜日への変更は可能でしょうか」「家族が代理で立ち会っても問題ありませんか」「不在時に管理会社の立ち会いで点検できますか」と具体的に相談します。
 
不在時の入室を認める場合は、貴重品を片づけ、点検する場所だけを明確にしておくと安心です。入室する会社名、担当者、時間帯、点検内容も確認しておきましょう。可能なら点検終了後に報告書やメールをもらいます。
 
反対に、管理会社が何度相談しても合理的な日程変更を認めず、立ち会いを必須とし、結果として火災など大きな損害が発生したような特殊なケースでは、責任について問われる余地が出ることもあります。たとえば、火災報知機の点検を怠り、機能しなかったために火事が燃え広がったと判断されかねないからです。
 
また、火災が起こらなくても、設備点検を断り続け、賃貸住宅の管理規約に違反していると見られれば、最終的には退去を求められる可能性も否定できません。
 
設備点検立ち会いのための休業補償がないとはいえ、賃貸住宅標準契約書や民法上、そして安全な暮らしを守るために、協力する姿勢が大切だといえます。仕事の都合上難しければ、日程の変更や代理人・管理人の立ち会いが可能かを確認し、対応しましょう。
 

まとめ

賃貸住宅の設備点検で仕事を休んだとしても、休業分の給与や交通費を管理会社へ当然に請求できるとは限りません。通常の必要な設備点検では、入居者にも一定の協力が求められます。
 
ただし、管理会社がいつでも無断で入室できるわけでもありません。緊急時を除き、原則として事前の連絡や承諾を踏まえて進める必要があります。
 
仕事を休む前に、日程変更、家族による代理立ち会い、不在時の管理会社立ち会いが可能か確認しましょう。お互いに負担が少ない方法を相談することで、有給休暇や交通費を使わずに済む可能性があります。
 

出典

国土交通省 「賃貸住宅標準契約書(改訂版)」 解説コメント
e-Gov 法令検索 民法
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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