お盆は実家に帰省中ですが、親に「滞在費」としてお金を渡すべきでしょうか? 渡す場合の数日分の相場や、スマートな渡し方を知りたいです。
一方で、「お金を渡すとかえって水くさいのでは」と考えてしまい、滞在費を渡すことをためらう方もいらっしゃると思います。
そこで今回は、実家への帰省で滞在費を渡すべきか、渡す場合はいくらくらいを目安にすればよいのか、またどのように渡すとよいのかをFPの視点から解説します。
1級ファイナンシャルプランニング技能士・CFP®認定者/中小企業診断士
新卒で警察官としてキャリアをスタート。その後、都内税理士法人で勤務し、多くの企業の経理業務を手がけた経験を活かして独立しました。現在は、「会社のお金」と「家庭のお金」をワンストップで相談できるパートナーとして活動しています。
小学生の子どもを育てるママでもあり、ライフプラン作成やキャッシュフロー分析など、個人やご家庭向けの具体的で実用的なアドバイスを提供しています。
企業経理相談や経営分析にも精通しており、これまでの経験を基に、経営者が抱えるお金の悩みに幅広く対応。さらに、執筆やセミナー活動も行い、「知って得するお金の知識」を届けています。お金の管理や経営に関するお悩みがある方は、ぜひお気軽にご相談ください。
帰省時の滞在費の考え方
まず、帰省する際の滞在費についてですが、必ず親に渡さなければならないものというわけではなさそうです。親子間のお金のやり取りは、「高齢になった親を成人した子どもが経済的に支える」という一方向のものとは限りません。
参考になるのが、内閣府の「令和6年度 高齢者の経済生活に関する調査」です。
全国の60歳以上の男女を対象に、同居・別居を問わず、子や孫の生活費を負担しているかを調査した結果、「子や孫の生活費をほとんど負担している」が6.6%、「一部を負担している」が18.6%で、合わせて25.2%が子や孫の生活費を負担していました。
60歳以上でも、4人に1人程度が子や孫を経済的に支援していることがわかります。
もちろん、経済状況は家庭によって異なります。親世帯が年金を中心に生活しており、子どもや孫が帰省すると食費などの負担が大きくなる家庭もあれば、普段から子や孫を経済的に援助している家庭もあるでしょう。
そのため、「大人になったのだから、実家に泊まるならお金を払うべき」と一律に考える必要はありません。普段から親子の間でどのようなお金のやり取りがあるのか、親の家計状況はどうかなど、それぞれの家庭の事情に合わせて判断するとよいでしょう。
滞在費を払いたい場合の考え方
では、帰省を迎えてくれる親に対して滞在費を渡したい場合、いくらくらいがよいのでしょうか。
実家への滞在費には、ホテルのように「1泊○円」という決まった相場があるわけではありません。そのため、「数日泊まるなら○円」と一律に考えるよりも、自分たちが帰省することによって実家に追加でかかる費用を目安に、金額を決める方法が考えられます。
例えば、食事のための食材費や飲み物代、エアコンの使用などによって増える水道光熱費です。子どもを含めて家族4人で帰省すれば、親2人だけで暮らしている場合と比べて、用意する食事の量も増えます。
数日間の滞在であれば、「1泊いくら」と考えるよりも、滞在人数と日数をもとに、普段より多くかかる食材費や飲み物代などを見積もり、そこに水道光熱費などを加味して金額を決めると考えやすいでしょう。
毎食を実家で食べるのか、外食が多いのかによっても負担額は変わるため、それぞれの帰省の過ごし方に合わせて考えることが大切です。
また、帰省中に家族みんなで外食をしたり、観光施設などへ出かけたりする場合、親がその費用まで負担してくれる家庭もあるでしょう。こうした支出も含めて親の負担が大きくなりそうであれば、その分を自分たちで負担する方法もあります。
つまり、実家への滞在費には明確な相場があるわけではありません。金額だけで考えるのではなく、「今回の帰省によって、親にどのくらい追加の負担がかかりそうか」を基準に考えてみるとよいでしょう。
スマートな渡し方は?
「お金を渡したいけれど、親が受け取ってくれない」という家庭もあるでしょう。その場合は、無理に現金を渡す必要はありません。
例えば、帰省中にスーパーへ買い出しに行ったときに、「今日は自分が払うよ」と会計を負担する方法があります。家族で外食をしたときの食事代や、観光施設などへ出かけた際の入場料を支払うのもよいでしょう。
こうした方法なら、「滞在費」として現金を渡すよりも、親も受け入れやすいかもしれません。
もちろん、現金で渡すことが悪いわけではありません。「みんなでお世話になるから、食費の足しにして」などとひと言添えて渡せば、感謝の気持ちも伝わります。
さらに、滞在費とは別に、帰省時に手土産を持参するのも一つの方法です。自分たちが暮らしている地域のお菓子や名産品、親の好きなお酒などを選べば、単なる費用負担ではなく、「帰省を迎えてくれたことへのお礼」として気持ちを伝えられるでしょう。
おわりに
実家への帰省には、ホテルの宿泊料のような明確な料金はありません。そのため、「数日泊まったらいくら払う」という正解もありません。
大切なのは、親の年齢だけで判断するのではなく、家計状況や普段の親子間のお金のやり取り、帰省する人数や日数などを総合的に考えることです。
滞在費を渡したい場合も、現金だけが方法ではありません。食事代や買い物代を負担する、一緒に出かけた際の費用を支払う、喜んでもらえそうな手土産を用意するなど、さまざまな形があります。
「実家だから何もしなくていい」「大人なのだから必ずお金を払わなければ」と決めつけるのではなく、自分たちの帰省によって親にどのような負担が増えるのかを少し想像してみましょう。
そのうえで、それぞれの家庭に合った方法で感謝の気持ちを示すことが、親子双方にとって気持ちのよい帰省につながるのではないでしょうか。
出典
内閣府 令和6年度 高齢社会対策総合調査(高齢者の経済生活に関する調査)の結果(全体版)
執筆者 : 富澤佳代子
1級ファイナンシャルプランニング技能士・CFP®認定者/中小企業診断士
