近所の飲食店が「キャッシュレス決済をやめて現金のみ」に変わっていました。利用者には不便なのに、店側に何かメリットがあるのでしょうか?
しかし、小規模な飲食店にとってキャッシュレス決済には、決済額に応じた手数料、月額料金、端末費用、入金までの時間といった負担があります。
現金だけにすれば、こうした費用を抑えられるのがメリットです。ただし、利用者を逃す可能性や現金管理の手間もあるため、必ず現金のほうが得というわけではありません。
ファイナンシャルプランナー
FinancialField編集部は、金融、経済に関する記事を、日々の暮らしにどのような影響を与えるかという視点で、お金の知識がない方でも理解できるようわかりやすく発信しています。
編集部のメンバーは、ファイナンシャルプランナーの資格取得者を中心に「お金や暮らし」に関する書籍・雑誌の編集経験者で構成され、企画立案から記事掲載まですべての工程に関わることで、読者目線のコンテンツを追求しています。
FinancialFieldの特徴は、ファイナンシャルプランナー、弁護士、税理士、宅地建物取引士、相続診断士、住宅ローンアドバイザー、DCプランナー、公認会計士、社会保険労務士、行政書士、投資アナリスト、キャリアコンサルタントなど150名以上の有資格者を執筆者・監修者として迎え、むずかしく感じられる年金や税金、相続、保険、ローンなどの話をわかりやすく発信している点です。
このように編集経験豊富なメンバーと金融や経済に精通した執筆者・監修者による執筆体制を築くことで、内容のわかりやすさはもちろんのこと、読み応えのあるコンテンツと確かな情報発信を実現しています。
私たちは、快適でより良い生活のアイデアを提供するお金のコンシェルジュを目指します。
キャッシュレスでは売上の一部が手数料になる
キャッシュレス決済を導入した店は、通常、決済事業者へ手数料を支払います。
たとえばPayPayの加盟店向け料金では、2026年現在、条件により決済額の1.60%または1.98%などの決済システム利用料が設定されています。クレジットカードなどでは、サービスによって2%台から3%台になる場合もあります。
仮に月150万円の売上がキャッシュレス決済で、その手数料が2%なら、月3万円、年間36万円です。3%なら年間54万円になります。利益率の低い飲食店にとって、無視しにくい金額です。
経済産業省は「キャッシュレス推進検討会 とりまとめ」の資料内で、加盟店から「手数料などの運営コストが増加した」という声があることを課題として挙げています。
「機器や通信トラブルが頻繁に発生した」、「キャッシュレス以外の選択肢がないことへの顧客からの苦情」といった課題も並ぶ中、「手数料などの運営コストが増加した」は約54%の店舗が回答しており、最も多く挙げられた課題となっています。
キャッシュレスをやめれば、少なくとも決済額に比例する加盟店手数料を減らせます。原材料費、人件費、光熱費が上がっている店にとっては、値上げを抑える方法の一つになるでしょう。
現金なら売上をその日のうちに使いやすい
現金払いには、店が代金をその場で受け取れるメリットがあります。
キャッシュレスの場合、客が支払ったお金が店の銀行口座へ入るまでに一定の期間が必要なサービスがあります。早期振込を利用すると、別途手数料が必要になるサービスもあります。
個人経営の飲食店では、その日の売上で翌日の仕入れ代を用意したり、短い周期で資金を回したりすることがあります。このような店では「売上はあるのに銀行口座にはまだ入っていない」という状態が負担になる場合があります。
さらに、複数のキャッシュレスサービスを使えば、入金日や手数料、売上データも別々になります。現金だけなら会計方法を一本化でき、端末トラブルや通信障害も気にする必要がありません。
ただし、現金にも両替、レジ締め、銀行への入金、数え間違い、盗難といったコストがあります。従業員が多い店では、むしろキャッシュレス化によって会計業務を効率化できる場合があります。
現金のみには「お客を逃す」デメリットもある
経済産業省は、2025年の国内キャッシュレス決済比率は58.0%(162.7兆円)まで上昇していることを報告しており、2030年までに65%にするという中間目標を掲げています(将来目標は80%)。半分を超える決済がキャッシュレスになっている現在、「現金をほとんど持ち歩かない」という消費者も珍しくありません。
そのため、現金のみへ戻すと、「財布に現金がないから別の店へ行こう」と判断される可能性があります。観光客や若い世代が多い店では、この影響が大きくなるでしょう。
反対に、常連客が中心で、客単価も低く、「この店に行くなら現金を持っていく」と理解されている店なら、キャッシュレスをやめても売上への影響が小さい場合があります。
つまり、現金のみが得かどうかは、手数料だけでは決まりません。手数料削減額と、キャッシュレスを使えないことで失う売上を比べる必要があります。
店によっては、QRコード決済だけ残す、利用の多いカードブランドだけ残すなど、決済手段を減らしてコストを抑える選択もできます。
まとめ
飲食店がキャッシュレス決済をやめて現金だけにする最大の理由は、決済手数料や月額費用などを減らせることです。売上規模によっては年間数十万円の差になることもあり、小さな店にとっては大きな負担です。
また、現金なら代金をその場で受け取れるため、資金繰りが分かりやすいというメリットもあります。
一方で、キャッシュレス決済には会計時間の短縮や現金管理の手間を減らせる利点があります。2025年のキャッシュレス決済比率は58.0%まで上昇しているため、現金のみでは利用客を逃すリスクもあります。
利用者には不便でも、店側は「手数料を払って客を増やすか」「現金に絞ってコストを下げるか」を経営判断しています。現金のみの店をよく利用するなら、会計前に支払方法を確認しておくと慌てずに済みます。
出典
PayPay株式会社 各種利用料一覧 加盟店様向けヘルプ
経済産業省 キャッシュレス推進検討会 とりまとめ
経済産業省 2025年のキャッシュレス決済比率を算出しました
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

