市営住宅に住む知人が新車の高級SUVを購入していました。高い車を買えるほど余裕がある場合でも、市営住宅の入居条件を満たすことがあるのでしょうか?
しかし、車の価格だけで市営住宅の資格を判断することはできません。公営住宅では、世帯収入や住宅に困窮しているかどうかなどが主な基準となり、高額な車の所有そのものが一律に退去理由になるとは限らないからです。
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市営住宅は主に「世帯収入」などで審査される
公営住宅は、国や地方公共団体が、住宅に困窮する低額所得者へ低廉な家賃で住宅を提供する制度です。このことは、公営住宅法第1条に定められています。
つまり、法律でも決められていることです。具体的な入居資格は自治体によって異なりますが、世帯の収入、居住地、住宅に困っている事情などが審査されます。
たとえば横浜市の2026年度の市営住宅では、成人であること、市内在住または在勤が6ヶ月以上であること、住宅に困っていること、住民税などの滞納がないこと、世帯収入が基準内であることなどが資格として挙げられています。
一般世帯の収入基準は、所得から所定の控除を行って計算した「世帯の月収額」で15万8000円以下、一定の高齢者・障害者・子育て世帯などは21万4000円以下です。給与の額面そのものではなく、公営住宅独自の方法で計算します。
重要なのは、高級車を所有していないことが、この主な申込資格の項目には入っていないことです。もちろん自治体ごとに条件が違うため、実際には住んでいる市の募集要項を確認する必要があります。
高級SUVを持っているだけでは収入は分からない
600万円や700万円する車に乗っているからといって、その人が現在も高所得とは限りません。
仮に新車を一括で買っていたとしても、以前から貯めていたお金で購入した場合もあります。公営住宅への入居には「貯蓄審査」があることがありますが、これは下限額に対してであり、貯金の上限額を定めるものではありません。
また、車は現金一括で買う人ばかりではなく、ローンや残価設定型クレジットを使う人もいます。また、中古車として安く購入した、親族から譲ってもらった、以前収入が高かった時期に購入した、といったケースも考えられます。
つまり、駐車場にある車の新車価格だけを見ても、現在の世帯所得は判断できません。
逆に、見た目では質素な生活をしていても、実際の所得が基準を超えているケースもあり得ます。そのため、公営住宅では車種ではなく、所得証明などを使って収入を確認します。
市営住宅に住んでいる人の生活ぶりを見て、周囲が「不正入居ではないか」と判断するのは難しいということです。制度上の問題があるかは、自治体が収入申告などをもとに確認します。
収入が増えれば家賃上昇や明渡しの問題が出る
市営住宅は、一度入居条件を満たせば、その後どれほど収入が増えても同じ家賃で住み続けられる制度ではありません。
公営住宅の家賃は、入居世帯の収入などを反映して決まります。自治体は入居者から収入申告を受け、翌年度の家賃を決める仕組みを設けています。
一定期間入居し、収入が基準を超えれば「収入超過者」として扱われ、家賃負担が増えたり、公営住宅を明け渡すよう努めることを求められたりします。さらに高い収入が一定期間続く場合は、高額所得者として明渡し請求の対象になる制度もあります。
したがって、高級SUVに乗っていることよりも、「実際の世帯所得を正しく申告しているか」が重要です。所得を隠したり、実際には同居している収入のある家族を届け出なかったりしていれば、別の問題になります。
気になる場合でも、個人で収入を詮索したり本人を問い詰めたりするのは避けましょう。不正利用を疑う具体的な事情があるなら、市営住宅を管理する自治体の窓口へ確認するのが適切です。
まとめ
市営住宅に住んでいる人が新車の高級SUVを所有していても、それだけで入居資格に違反しているとは言えません。公営住宅では、主に世帯収入、住宅困窮の状況などによって資格が判断され、車両価格だけで判断する仕組みではないためです。
高級車でも、ローンで購入した、以前から保有していた、親族から譲り受けたなどさまざまな事情が考えられます。車を見ただけでは現在の所得は分かりません。
一方で、入居後に所得が増えれば、家賃が上がったり、収入超過者・高額所得者として明渡しが問題になったりすることがあります。
市営住宅の公平性を考えるうえでは、「何にお金を使っているか」ではなく、世帯収入が正しく申告され、自治体の基準に沿って入居しているかを見ることが大切です。
出典
e-Gov 法令検索 公営住宅法
横浜市 市営住宅の入居者募集
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

