定年後は「函館の海の見える丘」で暮らしたい…2025年は「猛暑日ゼロ」!? 函館山のふもと「青柳町」「弥生町」の中古住宅はいくらから買える?「函館の西部は安い」の実態とは―在住者の実感も交え解説
FP2級、北海道在住ライター
目次
青柳町・弥生町の中古住宅はいくらで売買されているのか
「函館の西部は安い」とよく耳にしますが、数字で見るとどうなのでしょうか。国が公表する土地の価格と、実際の取引記録の両方から確かめていきます。
公示地価は1平方メートルあたり4万6600円
国土交通省の不動産情報ライブラリによると、青柳町の令和8年の公示地価は1平方メートルあたり4万6600円です。1坪あたりに直せば、およそ15万4000円になります。
2025年の取引は8件、250万円から3100万円まで
では、いくらで売買されているのでしょうか。同サイトに2025年の取引として記録されている戸建てを、図表1にまとめました。
図表1 2025年に青柳町・弥生町で記録された戸建ての取引(面積の単位は平方メートル)
| 所在 | 取引価格 | 土地面積 | 延床面積 | 建築年 |
|---|---|---|---|---|
| 弥生町 | 250万円 | 60 | 70 | 1986年 |
| 青柳町 | 830万円 | 270 | 80 | 1961年 |
| 青柳町 | 870万円 | 250 | 115 | 1979年 |
| 青柳町 | 1200万円 | 390 | 175 | 1992年 |
| 青柳町 | 1500万円 | 290 | 210 | 1981年 |
| 青柳町 | 1600万円 | 280 | 155 | 1992年 |
| 青柳町 | 2900万円 | 275 | 150 | 2020年 |
| 弥生町 | 3100万円 | 230 | 130 | 2001年 |
国土交通省 不動産情報ライブラリより筆者作成
8件のうち3件が1000万円を下回りました。土地は青柳町で250から390平方メートル、坪に直せば76坪から118坪あります。安いほうには築40年を超える家が並びますが、1986年築が250万円、1981年築が1500万円と、築年だけで価格が決まるわけではありません。土地の広さや道路の条件も影響します。
なお共同住宅と関係者間取引、土地だけの取引は除いています。またこのデータは当事者へのアンケートをもとにしており、すべての取引が載るわけではありません。
記録的猛暑の2025年、函館の猛暑日は0日だった
写真1
筆者撮影
避暑地としての函館の魅力は、感覚的な印象ではなく、実際の数値データによって裏付けることができます。2025年の夏、日本各地で記録的な猛暑となりましたが、その年の函館がどうだったのかを、気象庁のデータで確かめます。
猛暑日0日、最低気温25度以上の日も0日
2025年の夏に函館と東京でそれぞれ何日暑かったのかを、図表2にまとめました。
図表2 2025年夏(6月から8月)の暑さの日数
| 項目 | 函館 | 東京 |
|---|---|---|
| 猛暑日(最高気温35度以上) | 0日 | 25日 |
| 真夏日(最高気温30度以上) | 27日 | 69日 |
| 最低気温25度以上の日 | 0日 | 45日 |
気象庁 2025年の猛暑日・真夏日などの日数より筆者作成
気象庁の資料によると、2025年夏の函館は最高気温35度以上の猛暑日が0日、最低気温25度以上の日も0日でした。同じ夏の東京は猛暑日が25日です。
ただし、函館も昔ほど涼しくはない
一方で、昔のままの涼しさかというとそうでもありません。8月の平均気温は2023年が26.5度、2024年が24.7度、2025年が24.9度と推移しています。内見のときは断熱や風通しも確かめておきたいところです。
改修費は最大200万円補助、ただし「夏だけ住む人」は対象外
写真2
筆者撮影
函館市には、空き家を買って移り住む人向けの補助金があり、青柳町も弥生町も対象地区に入っています。ただし、条件をよく確認せずに読み飛ばしてしまうと、想定していた使い方ができなくなることがあります。
改修費の3分の2、上限200万円が補助される
函館市の空家等改修支援補助金は、市外から移住して空き家を買い、自ら住むために行う改修工事が対象です。補助率は対象経費の3分の2以内で、限度額は200万円。工事費は合計100万円以上から。青柳町、住吉町、弥生町はいずれも対象地区です。
「別荘には使えない」という条件に注意
見落とされがちなのが、住まい方をめぐる条件です。市が定める主な要件には、次のようなものがあります。
・市外から転入し、転入前に3年以上市外に住んでいること
・入居した日から10年以上、その住宅を所有して住み続けること
・居住期間中は別荘や貸家として使わないこと
夏だけ函館で過ごす二拠点生活を考えている場合、この補助金は使えないことになります。
買ったあとにかかるお金と、坂と雪
住宅を購入した後も、税金や生活環境に関するコストを考えておく必要があります。まず固定資産税についてですが、住宅が建っている土地には軽減の特例があり、函館市の場合、1戸あたり200平方メートルまでの部分は評価額の6分の1に減額されます。
住宅の状態によっては修繕費がかかる可能性もあるため、購入前の念入りな確認が必要です。加えて、火災保険などの費用も計算に入れる必要があるでしょう。
また、西部地区は斜面沿いに住宅が並ぶ地形のため、冬場は坂道の上り下りや雪かきといった負担がついて回る点も見逃せません。
車を手放しても、市電が足になる
函館市電の運賃は2025年12月1日に改定され、2キロまで250円、7キロを超えると300円になりました。青柳町には2系統の青柳町電停、弥生町には5系統の大町電停や函館どつく前電停があり、いずれも函館駅前や五稜郭公園前へ乗り換えなしで行けます。
同じ日から、70歳以上を対象にした高齢者市電全線定期乗車券も始まりました。1ヶ月6000円で、通常の全線定期1万2600円の半額以下です。ただし販売は駒場乗車券販売所に限られます。
数字で確かめてから、あの坂道を歩いてみる
函館市によると、市内の空き家は令和7年度末で1756棟です。年間で約100棟が取り壊される一方、約120棟が新たに生まれています。もっとも、これは市が把握する空き家の総数で、すべてが売りに出るわけではありません。それでも価格や気候、補助金は公的な資料でここまで確かめられます。数字を手元に、あの坂道を歩いてみてください。
執筆者 : 木彫りグマ
FP2級、北海道在住ライター



