70代の父が「売却後も住めるから安心」と自宅を“リースバック”。ところが家賃を「6万円→8万円」にすると言われて困惑…。値上げを断ったら退去しなければならないのでしょうか?
一方、売却後は自宅の所有者ではなく「借主」になるため、住み続けるには家賃を払わなければなりません。では、月6万円だった家賃を8万円にすると突然言われた場合、値上げを断ると退去しなければならないのでしょうか。
今回の記事では、リースバックの仕組みと家賃を値上げされた場合の対応について解説します。
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目次
リースバックは自宅を売却した後に家賃を払って住み続ける仕組み
リースバックとは、自宅を事業者などへ売却すると同時に賃貸借契約を結び、家賃を払って同じ家に住み続ける仕組みです。
例えば、70代の父親が老後資金を確保するために自宅を1000万円で売却したとします。通常の売却なら引っ越しが必要ですが、リースバックなら契約内容によっては売却後も同じ家で生活できます。
ただし、売却後の自宅は自分の所有物ではありません。東京都消費生活総合センターによると、リースバックでは売却額が通常の売却より低くなることが多いほか、家主が変わり、家賃の増額や更新条件の変更を求められる可能性もあります。
また、賃貸借契約には「普通借家契約」のほか、原則として契約期間の満了で終了する「定期借家契約」もあります。定期借家契約の場合、再契約できなければ住み続けられません。
そのため、「売却後も住める」という点だけでなく、「いくらで、いつまで住めるのか」を確認することが重要となります。
家賃6万円から8万円への値上げを断っても直ちに退去する必要はない
独立行政法人国民生活センターは2026年8月、リースバックで約1000万円で自宅を売却し、月7万円の家賃で住んでいたところ、約10万円への値上げを求められた事例を公表しています。
7万円から10万円になると、毎月3万円、年間では36万円の負担増です。しかし、値上げを求められたからといって、提示された金額を必ず受け入れなければならないわけではありません。
家賃の変更は貸主と借主双方の合意によって決まるため、値上げに納得できない場合、直ちに応じる必要はありません。
一方、借地借家法第32条では、土地や建物にかかる税負担や経済事情が変化した場合、近隣の同じような物件と比べて家賃が不相当になった場合などには、貸主が家賃の増額を請求できるとしています。そのため、「同意しなければ絶対に値上げされない」とも限りません。
また、住み続けられるかは賃貸借契約の種類や内容によっても異なります。値上げを断っただけで直ちに退去しなければならないと考えず、まず契約書を確認することが大切です。
家賃の値上げを求められたら理由と契約内容を確認しよう
家賃を6万円から8万円にすると通知された場合、まずは貸主に値上げの理由や金額の根拠を確認しましょう。
例えば、「周辺の家賃が上がった」という理由なら、近隣の似た物件の家賃を調べて比較する方法があります。あわせて、リースバック契約時の売買契約書や賃貸借契約書を確認し、家賃の改定条件や契約期間、更新・再契約についてどのように定められているか確認しましょう。
すぐに値上げへの同意書などへ署名することは避け、納得できない点があれば貸主と話し合うことが重要です。
自分たちだけで判断するのが難しい場合は、消費者ホットライン「188」などへ相談できます。話し合いで解決できなければ、民事調停などを利用して解決を目指す方法もあります。
まとめ
リースバックには、住み慣れた自宅からすぐに引っ越さず、まとまった資金を得られるメリットがあります。しかし、同じ家賃でずっと住めるとは限りません。
例えば、家賃が月6万円なら年間72万円ですが、月8万円なら年間96万円です。10年間では単純計算で240万円もの差になります。老後の収支を考える際は、将来的な家賃負担も考えておく必要があります。
契約前には売却価格だけを見るのではなく、毎月の家賃、値上げの条件、契約期間、更新・再契約の条件まで確認しましょう。
すでに値上げを求められている場合も、慌てて同意したり退去を決めたりせず、まずは契約内容と値上げの根拠を確認することが大切です。判断に迷ったときは、消費生活センターや法律の専門家などへ相談しながら対応しましょう。
出典
東京都消費生活総合センター 東京暮らしねっと リースバックって何?家を売っても住み続けられるの?
独立行政法人国民生活センター 自宅の「リースバック」トラブルにご注意!
e-Govポータル法令検索 借地借家法(平成三年法律第九十号) 第三章 借家 第二節 建物賃貸借の効力 (借賃増減請求権)第三十二条
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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