【実録】「セルフレジの読み取りミス」で“万引き”しそうになりヒヤリ!「店員さんも気付いてなかった…」実際“セルフレジ導入”で万引きは増えた? 省人化は進んでも「見過ごせない課題」
会社員のAさんも先日、スーパーで袋にいくつかの商品を読み取り・袋に入れる流れの中で「あれ? この商品、今読み取りの音が鳴らなかったのでは?」と気付き、慌てて読み取り直したそうです。「店員さんは気づいていなかったし、万引する人もいるのでは」と、ふと不安を覚えたといいます。
本記事では、セルフレジがなぜここまで広まったのか、そして普及によって万引が本当に増えたのか、さらに不正が店舗経営へ与える影響までを、データを交えて分かりやすく解説します。
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セルフレジはなぜ普及したの?
セルフレジがこれほど広まった背景には、小売業界を長らく苦しめてきた深刻な人手不足と人件費の上昇があります。少子高齢化が進む日本では、特に地方でパートやアルバイトの確保が難しく、レジ業務の担い手が足りていないのが実情です。
セルフレジを導入すれば、1人のスタッフで複数台を管理でき、浮いた人員を品出しや接客へ回せる利点も生まれます。会計や精算だけをセルフ化するセミセルフレジなら、レジの回転率が上がり、混雑の緩和にもつながります。
物価高でコスト削減が強く求められる今、省人化を実現するセルフレジは、多くの店舗にとって避けて通れない選択肢になったといえるでしょう。
セルフレジの普及で万引は増えた?
セルフレジの普及にともなって、万引や意図しないスキャン漏れによる商品ロスは、確実に増加傾向にあります。全国万引犯罪防止機構「第14回 全国小売業不明ロス・店舗セキュリティ実態調査」によると、セルフレジ導入に伴って万引が増えたと回答した企業が全体の25%を占めています。
また、欧州の小売調査団体「ECR Retail Loss」の調査報告書によると、セルフレジ導入後1年間の店舗ロスが平均22%増加し、セルフレジのある店舗は、ない店舗よりロスが平均33%高かったとも報告されています。
実際に、冒頭のAさんも近所のスーパーで「8月から出口でレシートのバーコード読み取りを始める」という張り紙を見たそうです。こうした取り組みは、相次ぐ被害を受けた対策と考えられ、「うっかりか故意か」の線引きの難しさが、店舗を深く悩ませているのが現状です。
セルフレジ不正がもたらす経営への悪影響とは?
セルフレジ不正がもたらす最大の悪影響は、ほんのわずかなロスの増加でも、店舗の利益を大きく削り取ってしまう点にあります。
日本の小売業の平均利益率はおよそ2%とされ、製造業の半分ほどしかない薄利体質であることが知られています。利益率が2%の企業では、ロス率がわずか0.1%悪化するだけでも、営業利益が目に見えて圧迫されてしまうのです。
AIカメラや重量センサーといった対策設備には相応の費用がかかるため、中小の店舗ほど深刻な負担に直面しているのです。
まとめ
セルフレジは、深刻な人手不足と人件費の上昇という切実な事情を背景に、多くの店舗へ急速に広がってきました。買い物の待ち時間を減らし、店舗の省人化を進める便利な仕組みである一方で、裏側では見過ごせない課題も生まれています。
利用する側としては、全商品を確実にスキャンし、レシートで買い忘れや通し忘れがないかを確認する習慣が、思わぬ疑いから身を守る何よりの備えになります。便利さと安心を両立させるために、一人ひとりの小さな心がけが求められているのではないでしょうか。
出典
特定非営利活動法人全国万引犯罪防止機構 第14回 全国小売業不明ロス・店舗セキュリティ実態調査について
ECRリテールロス Self-checkout loss report 2026
執筆者 : 高柳政道
FP1級、CFP、DCプランナー2級
