入院した父が「大部屋を希望していた」のに、満床という理由で個室に移されました。病院側の都合なのに「差額ベッド代1日2.5万円」を支払う必要はありますか?
今回は、保険外併用療養費制度の概要と差額ベッド代の支払いについて分かりやすく解説します。
ウィングFP相談室 代表
CFP(R)認定者、社会保険労務士
元航空自衛隊の戦闘機パイロット。在職中にCFP(R)、社会保険労務士の資格を取得。退官後は、保険会社で防衛省向けライフプラン・セミナー、社会保険労務士法人で介護離職防止セミナー等の講師を担当。現在は、独立系FP事務所「ウィングFP相談室」を開業し、「あなたの夢を実現し不安を軽減するための資金計画や家計の見直しをお手伝いする家計のホームドクター(R)」をモットーに個別相談やセミナー講師を務めている。
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保険外併用療養費制度とは
保険外併用療養費制度とは、健康保険の適用を受けない先進的な医療などについて、安全性・有効性等を確認するための一定のルールを設け、そのルールに沿って保険診療との併用を認める制度です。保険外併用療養費制度は、「評価療養」「患者申出療養」「選定療養」に分類されています(※1)。
1. 評価療養
将来的に健康保険の対象とするかどうかについて、有効性や安全性などの評価が必要な医療を評価療養といいます。評価療養には、先進医療や未承認医薬品の治験などが含まれます。
2. 患者申出療養
国内でまだ承認されていない医薬品などの使用を希望する患者からの申し出をもとに、一定の条件のもとで保険診療と保険外診療の併用を認める仕組みです。
3. 選定療養
将来の保険適用を前提としない医療について、患者が追加の費用を負担することで、保険診療と保険外診療と保険診療を組み合わせて受けられる仕組みです。選定療養には、特別の療養環境(差額ベッド)や大病院の初診・再診などが含まれます。
差額ベッド代について
保険外併用療養費制度における選定療養の一つとして「特別の療養環境」があり、特別療養環境室の利用料として自己負担とは別に支払うのが差額ベッド代です。
1. 特別の療養環境とは
差額ベッド代を徴収してもよい病室について、厚生労働省は以下の4つの条件を示しています(※2)。
(1)病室の病床数は4床以下であること
(2)病室の面積は1人当たり6.4平方メートル以上であること
(3)病床ごとのプライバシーの確保を図るための設備を備えていること
(4)特別の療養環境として適切な設備を有すること
なお、特別の療養環境を選択するのはあくまで患者であることから、患者に十分な情報提供を行い、患者の自由な選択と同意に基づいて提供しなければならないとされています。
2. 差額ベッド代を徴収してはならない場合
厚生労働省では、特別の療養環境を提供しても、差額ベッド代を徴収してはならない場合として、以下の例を挙げています(※2)。
(1)同意書による患者の同意確認を行っていない場合
(2)患者本人の「治療上の必要」(集中治療の実施、免疫力の低下など)により特別療養環境室へ入院させる場合
(3)病棟管理の必要性(特別療養環境室以外の病室の病床が満床)などから特別療養環境室に入院させた場合であって、実質的に患者の選択によらない場合
まとめ
保険適用を受けない個室などの特別療養環境室を利用した際に支払う差額ベッド代は、あくまでも患者が希望して、利用することに同意した場合に徴収されます。差額ベッド代のかからない病室が満床で特別療養環境室を使用した場合は、差額ベッド代を支払う必要はありません。
ただし、不用意に特別療養環境室の使用に関する同意書に署名してしまうと、差額ベッド代を支払うことになる可能性もあるので注意しましょう。
出典
(※1)厚生労働省 保険外併用療養費制度について
(※2)厚生労働省 保医発0327第6号 令和8年3月27日「療担規則及び薬担規則並びに療担基準に基づき厚生労働大臣が定める掲示事項等」及び「保険外併用療養費に係る厚生労働大臣が定める医薬品等」の実施上の留意事項について」の一部改正について
執筆者 : 辻章嗣
ウィングFP相談室 代表
CFP(R)認定者、社会保険労務士

