駐車場で“隣の車のドア”が、強風で「新車のハリアー」にぶつかり“深い凹み”に! しかも「風のせいだからお互いさま」と開き直られたのですが、修理費“15万円”は泣き寝入りになりますか?
本記事では、風でドアがぶつかった場合の責任の考え方や、過去の裁判例、今後のトラブルに備えるドライブレコーダーや保険の対策について解説します。
FP1級、CFP、DCプランナー2級
風のせいで車のドアがほかの車にぶつかった場合の責任は?
強風にあおられてドアがとなりの車にぶつかった場合でも、ドアを開けた側に賠償責任が生じるケースは少なくありません。民法709条では、故意または過失によって他人の権利や利益を傷つけた人に、生じた損害を賠償する義務があると定められており、他人の財産を過失によって傷つけた場合はこれが適用されると考えられます。
台風のような完全な不可抗力であれば過失が認められず、賠償請求が難しくなると考えられますが、ドアを開ける際には周囲の安全を確かめ、強風にあおられないよう手で押さえる注意義務が求められます。風の影響を受けると予測できたのに手を離していた状況なら、過失があると判断される可能性が高まります。
「風のせいだからお互いさま」という主張だけで責任を免れるのは、実際にはかなり難しいと言えるでしょう。
過去の判例ではどうなっている?
過去の判例では、停止中の車にドアをぶつけた側の過失が、原則として大きく認定される傾向にあります。ドア開放事故は、過失割合の基準ともなる専門書(判例タイムズ)の自動車同士の項目に掲載がありません。
ただ、駐車場で完全に停止していた車に、駐車時などに車をぶつけた場合は、ぶつけた側がほぼ全額を負担するのが通常の扱いです。実際、はみ出して駐車していた被害車に接触した事案でも、裁判所は安全に駐車させる注意義務を重視し、ぶつけた側の過失を100パーセントと認めました。
保険会社の実務現場でも、駐車場で停止中の車にドアを開けて接触させた案件が、開けた側100対被害者0で解決した例として報告されています。強風という事情があっても、駐車場で完全に停止している車に損害を与えた場合は、責任がゼロになるとは限らない点に注意しておきましょう。
トラブルを見越したドラレコ・保険の対策とは?
駐車中のトラブルに備えるには、駐車監視機能付きのドライブレコーダーと保険の見直しを組み合わせるのが効果的です。
エンジンを切ったあとも録画を続ける駐車監視機能がついたドライブレコーダーがあれば、当て逃げやドアパンチの瞬間を記録し、相手の車やナンバーを証拠として残せます。ただし、バッテリーへの負荷がかかるため、電圧監視機能付きのモデルを選ぶと安心です。
自分の車の修理には車両保険が役立ちますが、修理のために保険を使うと3等級下がり、以降の保険料が高くなる点には注意が必要です。保険を使わず自費で対応したほうが負担を抑えられる場合もあるため、修理費と保険料の差をよく比べて決めましょう。
また、相手が特定できない当て逃げでは一般型でないと補償されないケースもあるため、契約内容の確認をおすすめします。
被害を根本から減らすには、駐車する場所の工夫も欠かせません。具体的には、次のような駐車場所を選ぶと安心です。
1. 駐車スペースの幅に余裕がある駐車場を選ぶ
2. 風の影響を受けにくい、建物に囲まれた場所に停める
3. 左右どちらかに壁や柱がある区画を選ぶ
相手が「お互いさま」などと支払いを拒む場合は、次の手段を順番に検討しましょう。
・まずは自身の保険に「弁護士費用特約」があるか確認し、あれば専門家に交渉を任せる
・特約がない場合、内容証明郵便で請求の意思を明確に伝える
・それでも応じなければ、60万円以下を対象とする少額訴訟を検討する
まとめ
強風にあおられてとなりの車のドアがぶつかった場合でも、「風のせいだからお互いさま」という理由だけで相手方が責任を免れるのは難しく、ドアを開けた側に賠償義務が生じるケースは少なくありません。ドアを開ける際の安全確認や保持の注意義務が問われるためです。
今後のトラブルに備えるなら、駐車監視機能付きのドライブレコーダーで証拠を残し、車両保険や駐車場所の工夫で被害を抑える対策が有効です。相手が支払いに応じないときは、内容証明や少額訴訟という手段もあります。泣き寝入りを避けるため、まずは警察と保険会社への連絡から落ち着いて進めていきましょう。
執筆者 : 高柳政道
FP1級、CFP、DCプランナー2級
