帰宅したら、上の階からの水漏れで家具や家電がぬれていました。管理会社には「まず保険会社に相談して」と言われましたが、修理や買い替え費用は誰が負担するのでしょうか?
また、自分が加入している火災保険で先に補償を受けられる場合もあります。管理会社から保険会社への相談を勧められても、それだけで「被害者が自己負担する」という意味ではありません。まず原因調査と被害の記録を進めましょう。
ファイナンシャルプランナー
FinancialField編集部は、金融、経済に関する記事を、日々の暮らしにどのような影響を与えるかという視点で、お金の知識がない方でも理解できるようわかりやすく発信しています。
編集部のメンバーは、ファイナンシャルプランナーの資格取得者を中心に「お金や暮らし」に関する書籍・雑誌の編集経験者で構成され、企画立案から記事掲載まですべての工程に関わることで、読者目線のコンテンツを追求しています。
FinancialFieldの特徴は、ファイナンシャルプランナー、弁護士、税理士、宅地建物取引士、相続診断士、住宅ローンアドバイザー、DCプランナー、公認会計士、社会保険労務士、行政書士、投資アナリスト、キャリアコンサルタントなど150名以上の有資格者を執筆者・監修者として迎え、むずかしく感じられる年金や税金、相続、保険、ローンなどの話をわかりやすく発信している点です。
このように編集経験豊富なメンバーと金融や経済に精通した執筆者・監修者による執筆体制を築くことで、内容のわかりやすさはもちろんのこと、読み応えのあるコンテンツと確かな情報発信を実現しています。
私たちは、快適でより良い生活のアイデアを提供するお金のコンシェルジュを目指します。
上階の住人に原因があれば損害賠償を求められる場合がある
たとえば、上階の住人が浴槽へ水をためたまま放置し、水があふれて階下まで漏れたとします。
このように上階の住人の不注意によって水漏れが発生したのであれば、民法上の不法行為として、家具や家電などの損害を賠償する責任が生じる可能性があります。
上階の住人が個人賠償責任保険へ加入していれば、本人が全額を現金で払うのではなく、保険会社を通して補償してもらえる場合があります。
個人賠償責任保険では、たとえば自宅の風呂場から水を漏らし、階下の住戸の家財に損害を与えたケースなどが補償対象となることがあります。ただし、「上から水が来た=上階住人が必ず悪い」とは限りません。
床下や壁の中にある共用配管が破損した場合などは、上階の住人自身にも原因が分からないことがあります。そのため、最初に漏水箇所を調べることが重要です。
共用部分が原因なら管理組合などの責任が問題になる
奈良県は、マンションで漏水箇所が分からない場合、まず専有部分と共用部分のどちらが原因なのか調査する必要があると案内しています。
上階の住戸内にある設備の使い方や専有部分の配管に原因があれば、上階側の居住者の責任が問題になります。一方、共用部分の配管などに原因があれば、共用部分を管理する側(マンションの管理組合)の責任が問題になります。
ここで注意したいのが、「管理会社」と「管理組合」は同じではないことです。国土交通省近畿地方整備局によると、それぞれの定義は以下のようになっています。
■管理組合とは
「区分所有法」第3条(区分所有者の団体)若しくは同法第65条(団地建物所有者の団体)に規定する管理組合のことです。
■管理会社とは
マンション管理業者登録簿に登録を受けてマンション管理業を営む者のことです。また、国土交通省の公式Webサイトには、
『「マンション管理業」とは、管理組合から委託を受けて「管理事務」を行う行為で業として行うもの』
と定義されている、と説明があります。つまり、両者は明確に区別されています。
簡単に言えば、「管理会社」は「管理組合」から管理業務を委託されている存在にすぎません。したがって、事故が起きたからといって「管理会社」自身が当然に損害を賠償するわけではありません。共用部の管理主体は「管理組合」です。
したがって、管理会社から「保険会社へ連絡してください」と言われても、それだけで管理側に責任がないと決まったわけではありません。
「漏水原因の調査はいつ行うのか」「専有部分と共用部分のどちらが原因なのか」「マンション側の保険は利用できるのか」を確認しましょう。
自分の火災保険から先に補償を受けられることもある
自分が加入している火災保険も確認してください。火災保険の中には、給排水設備の事故などによって生じた水濡れを補償する商品があります。
家財も保険の対象にしていれば、水漏れによってぬれたり壊れたりした家具や家電について補償を受けられる可能性があります。そのため管理会社が「まず保険会社へ」と案内すること自体は不自然ではありません。
ただし、保険を使えるとしても、家具や家電の新品価格が必ずそのまま支払われるわけではありません。契約が再調達価額を基準としているか、時価を基準としているか、自己負担額があるかなどによって変わります。
被害を発見したら、片付ける前に写真を撮りましょう。部屋全体、水が落ちてきた天井、ぬれた家具や家電、型番などが分かる写真を残します。
家電は水にぬれると感電や発火のおそれもあるため、無理に電源を入れて動作確認しないようにしてください。修理業者へ見てもらい、修理可能か、買い替えが必要かを書面で確認すると保険手続きにも役立ちます。
まとめ
上階からの水漏れで家具や家電が壊れた場合、費用負担は水漏れの原因によって変わります。上階住人の不注意が原因ならその住人、共用配管などが原因なら共用部分の管理・所有関係に応じた責任が問題になります。
一方、自分の火災保険でも、給排水設備の事故による水濡れが補償される場合があります。「自分の保険を使う=自分が悪い」という意味ではありません。
まず被害写真を撮り、管理会社へ原因調査を依頼すると同時に、自分の保険会社にも事故を連絡しましょう。家具や家電をすぐ捨てず、購入時期、価格、型番、修理見積もりを残しておくことが、適切な補償を受けるためのポイントです。
出典
奈良県 マンションにおける事故について
国土交通省 近畿地方整備局 マンション管理に係るQ&A
国土交通省 マンション管理業について
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
