定年を目前に妻から離婚を切り出され、「退職金も財産分与の対象になる」と聞いて驚きました。まだ受け取っていないお金まで分けることになるのでしょうか?

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定年を目前に妻から離婚を切り出され、「退職金も財産分与の対象になる」と聞いて驚きました。まだ受け取っていないお金まで分けることになるのでしょうか?
まだ会社を退職しておらず、退職金も受け取っていないのに「離婚したら分けなければならない」と聞くと、納得しにくいかもしれません。しかし、将来受け取る退職金でも、支給されることが確実に見込まれ、婚姻中の勤務によって形成された部分については、財産分与の対象になることがあります。
 
特に定年が目前なら、何十年も先の退職金より支給の見込みを判断しやすいでしょう。ただし、将来の退職金全額を単純に2分の1にするわけではありません。
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退職前でも将来の退職金が財産分与の対象になることがある

財産分与は、夫婦が婚姻中に協力して築いた財産を、離婚時に清算する制度です。預金や住宅だけでなく、退職金も対象になる場合があります。
 
法テラスは、将来退職金を確実に受け取れると見込まれる場合には、財産分与の対象にできると説明しています。退職金には、在職中に働いたことに対する「賃金の後払い」のような性質があると考えられているためです。
 
たとえば65歳定年の会社員が64歳で、会社に明確な退職金規程があり、長年勤務しているケースです。1年後に支給される可能性が非常に高いのであれば、「まだ銀行口座へ振り込まれていない」という理由だけで財産分与から外れるとは限りません。
 
反対に、退職まで20年以上あり、会社の経営状況や将来の制度変更などによって受給できるか不透明なケースでは、評価が難しくなることがあります。
 
今回のように「定年目前」であることは、退職金が対象になるかを考えるうえで重要な事情です。
 

対象になるのは婚姻生活中に形成した退職金部分が基本

退職金が財産分与の対象になるとしても、将来受け取る金額をすべて妻と半分にするとは限りません。
 
たとえば、22歳で会社へ入社し、30歳で結婚した人なら、結婚前の8年間については夫婦が共同で形成した財産とは言いにくいでしょう。
 
裁判所が財産一覧表を作成する際の案内では、退職金について、財産分与の基準時に退職したと仮定した場合の金額を出し、勤務期間に占める婚姻・同居期間の割合を掛ける方法が一般的な計算方法として示されています。
 
たとえば、財産分与の基準時(一般的には別居時)に、退職した場合の退職金が1800万円、全勤務期間が30年、そのうち婚姻して同居していた期間が25年だったとします。
 
この例においては、

1800万円 × 同居期間割合(25年÷30年)= 1500万円

が、婚姻期間に対応する退職金部分の目安になります。
 
さらに財産分与全体では預金、不動産、保険などほかの財産も含めて調整するため、「1500万円の半分を退職日に必ず現金で妻へ渡す」と機械的に決まるわけではありません。
 

会社から妻へ退職金の半分が自動的に振り込まれるわけではない

「財産分与の対象になる」と聞くと、会社が退職金を半分にして妻へ直接支払うようなイメージを持つかもしれません。
 
通常はそうではありません。財産分与は夫婦間で財産を清算する問題です。夫婦で話し合い、「自宅は妻が取得する代わりに退職金分は調整する」「預金を多めに妻へ渡し、退職金は夫が取得する」など、ほかの財産と合わせて決めることもできます。
 
金額相当としては、財産分与の対象となる預金や住宅、退職金などを、夫婦で半分ずつ分けるという考えが原則となります。
 
2026年4月施行の改正民法より、「2分の1ルール」が明文化されています。法務省は、「直接収入を得るための就労だけでなく、家事労働や育児の分担など様々な性質のものが含まれることから、寄与の程度は、原則として夫婦対等(2分の1ずつ)」となることを説明しています。
 
話し合いがまとまらなければ、家庭裁判所の調停などで財産分与について話し合うことができます。
 
退職金を確認するときは、勤務先の退職金規程や退職金見込額証明書などを用意します。定年直前なら金額が大きくなることもあるため、預貯金だけを先に分けてしまわず、退職金を含む財産一覧を作ってから協議するのがおすすめです。
 

まとめ

まだ受け取っていない退職金でも、将来受け取れることが確実に見込まれる場合には、離婚時の財産分与の対象になる可能性があります。定年を目前にしており、会社に退職金制度がある場合は、対象として検討されやすいでしょう。
 
ただし、将来受け取る退職金の全額をそのまま半分にするわけではありません。基本的には、婚姻生活中の勤務によって形成された部分を算出し、預金や不動産などほかの夫婦共有財産も含めて最終的な分与額を調整します。
 
また、2026年4月1日以降に離婚した場合、財産分与を家庭裁判所へ請求できる期間は離婚後5年に延長されています。
 
退職金は数百万円から数千万円になることもあります。離婚条件を決める前に、勤務先から退職金の見込額が分かる資料を取り寄せ、何年分が婚姻期間に対応するのかを整理しましょう。金額が大きい場合は、ほかの財産との調整も含めて専門家へ相談すると安心です。
 

出典

日本司法支援センター法テラス 将来受け取る予定の退職金(退職手当)は、財産分与の対象になりますか?
裁判所 婚姻関係財産一覧表の作成に当たっての注意事項
法務省 父母の離婚後の子の養育に関するルールが改正されました
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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