子どもが書店で絵本を読んでいる途中、ページを破ってしまいました。店員から「買い取りをお願いします」と言われたのですが、わざとではなくても定価で購入する必要があるのでしょうか?
ただし、法律上「破った瞬間に必ず定価でその本を買う」という全国一律のルールがあるわけではありません。子どもの年齢や状況、親の監督状況、本がどの程度傷んだかによって考え方が変わります。
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わざとでなくても店に損害を与えれば賠償が問題になる
民法709条では、故意だけでなく過失によって他人の権利などを侵害し、損害を与えた場合にも損害賠償責任が生じると定めています。
過失とは、簡単にいえば、注意すれば防げたのに不注意で損害を起こしたようなケースです。たとえば絵本を普通にめくっていて、製本不良で自然にページが外れた場合と、子どもがページを強く引っ張って破いた場合では事情が違います。
後者なら、店の商品へ損害を与えたとして賠償が問題になる可能性があります。「子どもだから何を壊しても責任がない」というわけでもありません。
一方、民法712条では、未成年者が自分の行為の責任を理解できるだけの知能を備えていなかった場合、本人は賠償責任を負わないとしています。
小さな子どもで本人に責任能力がない場合には、民法714条により、監督する義務を負う親などの責任が問題になることがあります。ただし、親が必要な監督を怠っていなかった場合などには例外もあります。
「買い取り」は解決方法の一つで定価が自動的に決まるわけではない
書店から「買い取ってください」と言われるのは、実務上分かりやすい解決方法です。たとえば定価1500円の新品絵本のページが大きく破れ、店頭で新品として販売できなくなったとします。店側には商品の価値が損なわれたという損害があります。
そのため、店が「1500円を支払って、その本を持ち帰ってください」と提案すること自体は不自然ではありません。利用者にとっても、損害額を巡って話し合うより、商品を買い取って持ち帰るほうが簡単な場合があります。
ただし、法律上、事故で商品を傷つければ必ず「売買契約が成立し、定価で買わなければならない」と決められているわけではありません。
問題になるのは、店に実際どの程度の損害が生じたかです。たとえば気にならないほど小さな傷だけで通常どおり販売できる場合や、もともと商品に破損があった場合まで、当然に新品定価全額を負担するとは限りません。
金額に疑問があるなら、「この状態だと販売できないということでしょうか」「買い取り以外の対応はありますか」と店員へ確認してよいでしょう。
店から離れず事情を説明してその場で確認する
子どもが本を破ってしまったら、見つからないよう棚へ戻して帰るのは避けましょう。まず店員へ「子どもが読んでいて誤ってこのページを破ってしまいました」と伝えます。破損部分の状態も一緒に確認してください。
店から買い取りを求められ、金額が本の定価程度で、本当に販売できないほど破れているのであれば、買い取って解決するのも現実的な方法です。反対に、数千円の商品なのに何万円もの「迷惑料」を請求された場合などは、金額の根拠を確認する必要があります。
それぞれ状況が異なるように、一律の対応があるわけではありません。判断に困ったら、全国の消費生活センター(消費者ホットライン188番)に通話料のみで相談することもできます。相談自体は無料です。
また、商業施設やその他日常生活で子どもが他人の物を壊した場合、個人賠償責任保険で補償されることがあります。
火災保険、自動車保険、クレジットカードなどへ個人賠償責任特約が付いている場合もあるため、高額な商品を壊した場合は保険内容を確認するとよいでしょう。
ただし、保険を使えるかは契約条件によります。まず店へ事情を報告し、その後保険会社へ連絡してください。
まとめ
子どもが書店の絵本を破った場合、わざとではなくても店に損害が生じれば、賠償が必要になる可能性があります。特に小さな子ども本人に責任能力がない場合は、親など監督義務者の責任が問題になることがあります。
一方、「破損=法律上必ず定価で購入」と決まっているわけではありません。定価での買い取りは、販売できなくなった商品について店と利用者が解決する一つの方法です。
子どもが破ってしまったら隠さず店員へ伝え、破損状況と請求額を確認しましょう。
本当に新品として売れない状態なら、買い取って持ち帰ることで円満に解決できるケースもあります。大きな損害なら個人賠償責任保険も確認しておくと安心です。
出典
e-Gov 法令検索 民法
消費者庁 消費者ホットライン
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
